透き通るほど青い人々よ

國灯闇一

文字の大きさ
35 / 42

Q35話 嫌な予感に限って当たるのどうにかしてくれ

しおりを挟む
 翌日。学校の中では祭りの装いが目立ち始めている。
 教室との敷居となる廊下側の壁には、四方形の旗が掲げられている。
 クラスごとに熱の入りようが見えるのはちょっと面白いかもしれない。
 
 この時期、多かれ少なかれ体育祭を心待ちにしている。
 ソワソワするのもわかるが、どこか違う。
 僕が空間に入り込んだ途端、空気がぬめり気をびていくみたいだった。
 すれ違う視線が一瞬かち合い、外される。幾万回この瞬間を繰り返したか。
 大した意味はないものがほとんどだ。
 だが、今回は違う気がするのだ。
 別の意味を含んだ視線に感じて仕方がない。
 
 僕自身が変化したから、そう思うのかもしれない。
 ここまで、僕は中宮の治療費をどうにかしようだなんて大それたことをしている。身をわきまえ、おおよそ手が届きそうなところにしか手を伸ばしてこなかった。
 そんな人間が何かを得ようと慣れないことをしているのだから、自意識過剰になっても不思議じゃない。ただ、この変化は認識だけの問題なのか?
 
 気のせいで済ませられないことが起こっているんじゃないか。
 そう思うのは、あの大量の通知が原因じゃないかと感じているからにほかならない。
 結局、僕はあの通知の詳細を確認しなかった。
 いつ確認しようと大して変わらない。
 夜も遅かったので無理に見る必要もないだろうと今日を迎えていた。
 しかし、こうも周りの視線が意味ありげだと、確認したくなってきた。
 そう思った矢先だった。
 
 尋常じゃない通知の中で異端なメッセージが届いた。
 メッセージの主は生徒会長だった。
 今日の昼休憩に生徒会室に来てほしいとのことだった。
 このメッセージの前には、【緊急】の文字が入っていた。
 無視するわけにもいかず、軽く食事を済ませて生徒会室に向かった。

 食後の余韻をぶら下げて、ドアの前に来た。
 生徒会に入ってもいないのに、こんなに生徒会室に来る人はなかなかいないんじゃないか。
 ふとそう思いながら、ドアを開ける。
 いつかのように部屋の中には会長しかいなかった。
「来てくれてありがとう。平井君」
 会長は食べ終えた後らしく、弁当が開きっぱなしになっていた。
 
 会長はそそくさと弁当を片づけながら僕に座るよう促した。
 会長が座っていた席から左斜め辺りに、僕は腰かけた。
「君がどこまで知っているのかはわからないけど、一応聞いておきたくてね」
 会長はいつもと変わらないゆったりとした口調で話し出す。
「はい?」
「? 知らないのかい?」
「すみません」
 会長はいつになく真剣な顔で言った。
「平井君。これは僕の見解だ。必ずそうなるとは限らない。だけど、これから起きる可能性は高いよ」
 会長は僕が避けていた情報をすべて明らかにした。

 あの大量の通知は、僕の投稿した動画がバズったからじゃない。
 僕のチャンネルは一部で話題になっていた。
 ほんの一部でしかない。
 ただ、僕の投稿している動画は、はたから見れば同情を誘って金銭をう詐欺師に映るのだろう。そういう見方をする人たちもいるのは知っている。それはつまり、僕らのやっていることに異を唱え、どうにかして潰してやりたいと思っている人たちもいるってことだ。
 
 そうした声に応じた形で、1つの動画が投稿されていた。
 投稿主はインフルエンサーや芸能人など、あらゆる人のスキャンダルを取り扱うゴシップチャンネルだった。
 その動画のタイトルは『ウソだらけ! 病弱ビジネスライバーのプリンセスに疑惑! 証言者が語る――――あの娘の下着を買いました』
 僕は会長に教えられた動画を再生した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~

あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。 それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。 彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。 シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。 それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。 すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。 〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟 そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。 同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。 ※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...