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しおりを挟む針葉樹が並ぶ森は、深い霧に包まれていた。月の明かりも差し込まず、泥濘んだ道の纏わりつくような足元が、陰鬱とした空気をより暗くする。
(結界の中と言っても清澄な空気ではないのか…)
ヒューゴは期待外れだと少しだけ気落ちした。だが、聖域とすら呼ばれるクォーツ王国の結界は確かに存在していて、その証拠に空気中に漂う小さな煌めきが、時折視界に弾けて消えてゆく。
4人は無言だった。それがこの暗晦とした空気のせいなのか、息を潜める盗賊としての癖なのか、オーウェンにも判断は出来なかった。少しだけ息苦しさすら感じてヒューゴが細く長く息を吐いた時、緊張の糸が切れたようにリオルが振り返った。
彼がくいっと顎で促したその先を見て、ヒューゴは怪訝そうな顔をした。
「館…っすね」
ぽつり、ニコルが零す。
鬱蒼と深い緑が生い茂る中に、重々しい鉄槍を携えた塀が立っている。まるで城壁のようなその塀の中には、小さな井戸と小さな畑、そして白亜の館が建っている。灯りの溢れる窓は、カーテンに隠されていて中の様子は見られそうにない。
だが、それはそこに人が暮らしているということ。
「オーウェン、行けるか?」
頷き、オーウェンは軽やかに館の塀を越えてゆく。相変わらずあの身体能力は羨ましい。小柄な体をコンプレックスとしているオーウェンだから、彼にそれを伝えることは出来ないが。
改めて館を見れば、薄暗い場所に削ぐわないその白さが不気味に感じられて、ニコルは少しだけ身震いした。ヒューゴは何かを考えるように顎に手を添えて思考に耽っているし、リオルは相変わらず何を考えているか分からない。
(なんか幽霊とかいそう…。大丈夫かな?オーウェン)
オーウェンはすぐに戻って来た。ササッと肩についた葉を払い、肩を竦める。
「警備はなし。人の気配は4~5人ってとこかな。4人は普通に食事をしていて、どっかのお嬢様の悪口を延々と話してる」
「悪口?」
「不気味だとか死ねば良いとか。いいとこのメイドってあんな口聞くんだな。俺知らなかったよ」
「普通ならあり得ませんがね。…それにしても、この規模の館の割に人が少なすぎるのが気になりますが」
「そうなんだよなぁ。しかもほとんど1階の広間にいるみたいだ。ひとりだけ別室にいる。それが噂のお嬢様なのか別人なのかは、中に入ってないしまだ見てないけど」
「ならとりあえず広間行くか」
正攻法で取り合ってもらえるとは最初から思っていない。相手がどんな人間なのか知らないが、盗賊の自分達を受け入れてもらえるはずがない。だから、相手がどういう人間なのか見定める。それがリオルのやり方だ。
噂話や評判だけで相手を決めつけることがないのは、リオルの良い所だとニコルは思う。常に自分で見たものを信じるリオルだからこそ、一緒にスラムを出ようと思ったのだから。
足音を顰めて敷地に入ると、その異様な空気は更に増した。池は水草に溢れ、花壇は踏み荒らされている。畑には雑草が伸びきっていて、手入れされている様子もない。噴水には枯葉が浮かび、排水が詰まっているのか異臭が漂っている。美しい白亜の館だと思っていたそこが、突然廃墟の館に変化したように、ニコルは感じた。この陰鬱な森の中、この廃墟は住人の性格を良く著している。
「行くぜ」
言うが早いか、リオルは窓を開けた。立て付けの悪い窓は鈍い音を立てながら招かれざる客を導く。音に気付いたメイドが悲鳴を上げたと同時に、オーウェンとニコルは彼女達の背後を取った。ヒューゴはぐるりと広間を見渡す。食堂らしきその部屋は、やけに小綺麗で庭とは裏腹に整理されている。良く使われる部屋なのだろうということは明らかだった。
「悪ィな。ちーっと道に迷っちまって」
「な、なななっ何なの貴方達!?」
甲高い声が耳に痛く響く。
「そう慌てんなって。この館の主人に挨拶をしたいだけだ。道に迷った哀れな旅人を泊めてくれないか?ってな」
「ひいっ…!」
小さな悲鳴をあげて、メイドは座り込んだ。完全に腰が抜けたのか、ガタガタと情けなく震えながら、なんとかリオルを見上げている。刃物を出した訳でもないのに、とどこか冷めた瞳で見ていたヒューゴが一歩近寄るだけで、また小さな悲鳴が上がった。
令嬢の悪口を言い合って傷を舐め合う、醜い人間の集団だ。その器量の悪さに呆れるほどの溜息も出そうになかった。
「あーぁ。まだ何もしてないのに」
「ここの主人に会わせてもらえますか?」
「あ、あの女なら3階の角部屋にいるわ!」
「あぁ、あの灯りの点いてた部屋っすね」
ニコルは少しだけ離れた部屋の灯りを思い出した。この部屋からは随分と遠く離れた部屋だった筈だ。
「そ、そうだわ!殺すならあの女を殺して頂戴!そうしたら私達も王都に帰れるんだから!」
「こ、こらミリー!口を慎みなさい!」
「だってそうでしょう!あの化け物がいるせいで、あたし達までこんな僻地にいるんだから!あんなのただの穀潰しじゃない!」
そうだそうだ、と次第に3人のメイドの声が大きくなり、諭した執事が口籠る。どうやら、その主人のことを4人は快く思っていないらしい。忠誠心も何もないのだろう。良くある話だとヒューゴは退屈そうに目を閉じる。
「そ、そうよね…っ、盗賊なら人くらい殺せるでしょ?お願いできないかしら?」
女が強請るようにリオルに手を伸ばす。白く細い指が触れるその瞬間、ミリーの視界に紅い線が散った。リオルが振り払った腕が舞い、尊敬する先輩の首が壁を殴打する。
「簡単だぜ?てめぇらみたいなクズなら幾らでも殺して来たからな」
「相変わらず、ウチの首領は手が早いなぁ」
「短気なのは承知の上でしょう。それに、賊に殺人を依頼する位ですから、自分の命も賭けて貰わないと」
「この部屋はもう使えそうにないっすねー」
紅く染まる部屋を無感情に見下ろして、4人はもう一度刃を振り下ろした。元々自衛の能力もなかったのだろう。抵抗もなく、ただ奇怪な声を上げて息絶えた4人。再び静寂が戻り、温かな食事の香りの中に血臭が漂って嘔気すら覚える中、控えめなノック音が響いた。
小さな音を立てて、扉が開く。
「大きな音がしましたが、何かありましたか?」
白い簡素なワンピースに、白い肌。まるで枝のように細い四肢を剥き出しにして、少女が立っていた。
「あの…」
思い描いていたような姿形ではない少女の登場に、リオルは拍子抜けした。ゴテゴテの装飾や宝石をこれでもかと身に付けた派手な令嬢か、はたまた喚き散らす女主人でも現れるのかと思っていた。
現れたのは、手を掴んだだけで砕けてしまいそうな、人形のような華奢な子供。しかも肌は薄汚れていて、髪も艶がなく乱れている。目は閉じていてその色を見ることは叶わないが、乾燥した唇からは聞き取りにくい掠れた声を紡いでいる。
(スラムより酷ェな…)
「おま…っ?」
グイッと口を塞がれて、リオルは眉を寄せた。その張本人であるヒューゴの顔を見て、リオルは少しだけ目を瞬かせる。驚いたのだ。普段冷静沈着で動揺することのないヒューゴが、驚いている顔など中々見られるものではない。
「静かにしてて下さい、リオル」
「…知ってるのか?」
「えぇ……。俄には信じられませんが」
小さく告げて、ヒューゴは少女の前に立った。相変わらず目は閉じたままの少女は、ヒューゴの気配を感じたのか少しだけ顔を上げる。小首を傾げ、少しだけ身を引く彼女の防衛本能は正しい、なんて思いながら、オーウェンとニコルは顔を見合わせた。
こういう時はヒューゴに任せるのが得策だ。彼はこの中で誰よりも博識で状況判断も早い。
「セバス…?ではない?」
「はい。違います」
「っ…どちら様ですか?」
一歩後ろに下がった少女に、ヒューゴは微笑みかける。
「相変わらず胡散臭い笑顔だな」
余計なことを言うリオルを一度睨みつけてから、ヒューゴはもう一度少女に向き直る。目を閉じているか見えないだろうが、そっと腰を折って少女に視線を合わせると、ヒューゴは落ち着いた声で言った。
「初めましてお嬢様。我々はセバス殿達の代わりに本日付で配属されました」
「え?」
「本日より、お嬢様のお世話をさせて頂きます」
「はぁ!?」
ビクッと少女の肩が跳ねる。驚いたのは彼女なのに、自分よりも先に驚かれたらそれは驚くだろう。だが、ニコルの口を覆ったオーウェンの手が窒息させそうな程に強くて、ニコルは驚きよりも死の恐怖を感じた。
(これ以上迂闊に喋ればこのままオーウェンに殺される)
これは予感ではない。確実に殺される。リオルすら驚いている。しかし、異論を唱える様子はなく、ヒューゴのやり取りを黙認している。それはならば、ニコルは押し黙るしかなかった。
「新しい、執事?」
「はい。まずはお嬢様にご挨拶をさせて下さい。私はヒューゴと申します。そして」
自己紹介をしろ、と言うのだろう。目配せだけで言いたいことが分かる。こうなったら、挨拶をしない訳にはいかない。
「リオルだ」
「オーウェン」
「ニコルっス…」
「……口下手な人間ばかりですが、よろしくお願いします」
挨拶はヒューゴのお眼鏡に叶うものではなかったらしい。だが、いきなり見知らぬ少女に挨拶しろと言われて何を言えばいいのかも分からない。そもそも、世話をするとはどういうことなのか、説明してもらわないと納得も出来ない。
それもそのはず。リオルとニコルはスラム出身で面倒見こそ良いものの、貴族令嬢とは縁もゆかりも無い。オーウェンも商家の出身だが、兄達がいたから後継にもなれず浮いた存在だったのだ。突然女の子を、しかも幽霊のような不気味な子をお嬢様扱いなど、できる訳がない。
「あ、私は…」
「喉を痛めますから無理に話さないで下さい、シャーロット様」
少女は顔を上げた。名を言い当てられたからだろうか、どうやら半信半疑だったヒューゴのことを信じ始めているらしい。その体から震えがなくなるのを、リオルは確認した。
「あ、でも…、セバスや他の人達はどちらですか?まだお別れの挨拶もしていないんです」
使用人の方が身なりを整えていて、主人である彼女はこんなにも薄汚れていて。扱いが使用人以下だったのは明確なのに。それでも礼を尽くそうとするシャーロットにオーウェンは溜息を吐いた。世間知らずのお嬢様なのだろう。能天気というか、自分とは違う存在だと改めて感じさせる娘である。
「申し訳ありません。急なことだったので、セバス殿達は旦那様に呼ばれて王都に戻ってしまいました」
実際には今足元に転がっているのだが。
「そう、でしたか…」
少しだけ体が震えている。血臭を感じ取っているのだろう。口に出さないのは、彼女なりの警戒心なのか、それとも恐怖心なのか。どちらにせよ、賢明な判断だとリオルは思う。ここで迂闊な行動を取れば、賊としては彼女にも手を下さなければならなくなる。
「それより、今はここで鳥を捌いていた所でして。血の臭いが酷いでしょう?申し訳ありませんが自室でお待ち頂けますか?」
明らかな嘘だ。だが、幸か不幸か彼女は目を閉じている。…いや、目を開けられないのだろう。それにニコルが気付いたのは、彼女がこの惨状に顔色ひとつ変えないからだ。足元に転がる執事の頭に、何の反応も示さない。
「鳥を?えっ、と…ここは食堂ですよね?」
「えぇ。ニコルは鳥を捌くのが下手なので、総出で教えていたんです」
「え、僕っすか?」
突然名指しされ、ニコルは頬を引き攣らせた。
「今後はニコルが食事を作ります。不慣れなこともあるかと思いますが、大目に見てやって下さい」
「え…ぇえええぇぇっ!?」
寝耳に水。いや、そんなの無理だと一生懸命ヒューゴに訴えるが、リオルとオーウェンに口許を押さえつけられて、シャーロットの耳には雑音しか届かなかった。
----------
「で、どういうことか説明してくれんだよな?」
シャーロットを自室へと帰しつつ部屋を移動して、リオルは乱暴にソファに腰掛けた。同じようにオーウェンやニコルが座るが、いつもならヒューゴの味方をしてくれるオーウェンもリオルと同様説明を待っている。どこか鋭い雰囲気を持っているのは、少しだけ怒っているのかもしれない。彼らが納得できる説明をできるのか、正直ヒューゴには分からなかった。だが、それでも納得させなければならない。ヒューゴにはそうすべき理由がある。
「まず、彼女の名前はシャーロット。シャーロット・ディライト公爵令嬢です」
「ディライト公爵って、確かここの領主ッスよね?」
「つまり、領主の娘?」
ヒューゴは頷いた。
「第二子なので継承権はありませんが、姉のメアリー嬢が王太子の婚約者候補ですから、彼女がこのまま王家に入れば、シャーロット嬢がディライト家の後を継ぐことになりますね。本来ならば」
「上流貴族ってやつか。すげぇ権力者だな」
リオルは辺りを見渡した。静寂に包まれ、どこか埃っぽさのある部屋だが、その調度品はどれも高く売れるような代物ばかりだ。見たこともない花瓶、価値の分からない絵画、金が使われた飾り棚。きっと自分が生涯身を粉にして働いても手に入れられないような高価なものであることは、想像に固くない。
「超お嬢様ってことっすね」
「で?本来ならばってどういう意味?」
「これは俺が昔聞いた話ですが、今から8年前、ディライト家は王都への道中で賊に襲撃されています。その時、娘をひとり亡くしました。その娘の名前がシャーロットです」
社交界では前代未聞のゴシップだった。ディライト公爵といえば、他国にも影響力のある貴族だったし、王族の婚約者候補の娘がいるために、その名を知らぬ者はいないだろうと言われるようなやり手の貴族だった。少なくとも、ヒューゴにはそんなイメージがあった。
そんな公爵家が賊に襲われ、令嬢が亡くなった。当時は社交界に激震が走ったし、王国騎士団すら使って賊を捜索した。だが、結局手掛かりは得られず迷宮入りし、シャーロット嬢の葬儀は慎ましやかに執り行なわれた。子供サイズの棺が埋められるのを見るのは初めてだったから、ヒューゴ自身も鮮明に覚えている。
「…シャーロットは死んでるのか?」
「えぇ。現在ディライト公爵家にいるのは、メアリー嬢ただひとりです」
「じゃあ、あの子は誰なんだ?」
「彼女はシャーロット嬢です」
「や。だから、シャーロットは死んだんだろ?」
「えぇ。社会的には。少なくとも俺は、今までシャーロットは死んだと思っていましたよ。ですが、彼女は間違いなくシャーロットです」
「何で言い切れるんだ?」
「忘れる訳ないでしょう。あのシャーロットを」
リオルは瞠目した。あの秘密主義のヒューゴが優しい表情を浮かべているのだ。まるで、愛しい人を見るかのように。だがそれも一瞬のことで、ヒューゴは真剣で、苦しそうに、悲しそうに息を吐く。
「世間ではシャーロットは死んだとされています。ですが彼女はこの辺境の屋敷で生きている。しかも、使用人から冷遇され、恐らく彼女自身目が見えていない。…傷物令嬢など引き取り手もありませんからね。だからといって殺すまでは出来ず、この屋敷に軟禁していたのでしょう」
「目が見えない程度の理由で、社会的に殺されたってことか?」
無言は肯定だった。
シャーロットが目に障害を持っているのは、先程のやり取りからも明らかで。だって彼女は、賊である自分達を…いや、ヒューゴの「新しい使用人」という言葉に特に疑問を抱いた様子はなかったのだ。もし目が見えれば、燕尾服もスーツも着ていない、泥だらけの格好の自分達を使用人だと受け入れる筈がない。
「貴族にはよくある話です」
オーウェンは舌打ちした。気分の良い話ではないし、寧ろ憤りすら覚える。しかも彼女がもし本当に公爵令嬢だとしたら、あの見窄らしい格好は使用人のせいなのだろう。手入れもされず、見えない自分でできるだけの整容で、服も選べない状況で。彼女は置かれた環境でただ時を過ごすことを強いられて来たのか。
「あの嬢ちゃんさえ何とかすりゃ、ここは十分暮らせる場所って訳か」
「え?でもここ公爵家なんすよね?偉い人が来たりするんじゃないんすか?」
「あの使用人達や屋敷の杜撰さを見る限り、公爵家の人間は来ていないでしょう。精々物資や食材が送られて来る程度ですよ」
確かに、公爵家の人間が来るなら、手入れがもっと行き届いていても良いはずだ。だが、現状はどこも埃っぽい。恐らく使用人達は自分達が使う場所だけを掃除していたのだろう。食事だって、栄養あるものをシャーロットに与えていたかどうか怪しいくらいだ。
「なら、その物資さえ問題なく受け取れれば、衣食住問題ないってことか」
「流石に主人であるシャーロット嬢を殺すわけにはいかないので、彼女の世話をしながらにはなりますが」
「相手は目の見えない子供だし、何とかなんだろ。ヒューゴも堕とすチャンスじゃねーか」
「そういう下世話な想いはありませんよ」
「おいおい、隠すなよ」
「彼女はもっと崇高な存在です。他国にも名を轟かせる公爵家の御息女ですから」
これは揶揄うものでもないな、とニコルは思った。彼女と面識があるのか、はたまた一方的な認識なのか、ニコルには分からない。ただ、彼女の反応を見るに恐らく彼女はヒューゴが何者か気づいていなかった。
ヒューゴがそれで良いなら、口を出すことでもない。他人の恋路に興味もないし、本当に恋慕はないのかもしれないし、もしかしたらいずれ彼女は殺す対象になるかも知れないのだ。それなら、下手に感情移入してしまうのも面倒なことになる。
それに、ニコルにはもっと気掛かりなことがあった。
「今日くらい残飯ないっすかね…」
料理担当のニコル、その腕はからっきしである。
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