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第三Q 生き様を証明せよ
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「……でも、右手だけでバスケをやるのは難しいはずだ。このまま続けていても、絶対に頂点は取れない。悩んで、後悔したことも少なくないんじゃないのか? ジョーが辛い思いをしているっていうのに、俺だけ今まで通りバスケに打ち込むなんて……できるわけないだろ!」
「おい。俺の気持ちも、これから先の未来も勝手に決めつけるんじゃねえぞ。……バスケ、始めて良かったに決まってんだろ? 俺はバスケを始めたおかげで、お前が俺の前からいなくなった気持ちをようやく理解できたんだからよ」
合宿中、雪之丞は上手くプレーできない自分から目を背けたくて、果敢に挑戦することを恐れた。洛央との練習試合の後は部活に行きたくないという身勝手な理由で、チームメイトがインターハイ予選に向けて気持ちを一丸にしなければならないときにサボった。
これらの逃げた苦い記憶がなければ、もしかしたら今もこうして目も合わせず再び逃げようとする大吾のことを、強く責めてしまったかもしれない。人の弱さを身をもって知ることで成長できたのは、バスケットボールのおかげだった。
ようやく顔を上げた大吾に雪之丞はもう一度ボールを渡し、少し後ろから助走をつけて走り込んで「ヘイ!」と声をかけた。
大吾から返ってきたパスは進行方向に向かう雪之丞の胸元に正確に出され、とても取りやすかった。このワンプレーだけでも、大吾が優秀な選手だとわかる。強豪・洛央のスーパーエースと呼ばれるようになるまで、大吾は一体どれだけの努力を重ねてきたのだろう。
積み重ねてきた努力も、実績も、実力も、こんなことで絶たせてたまるか。
絶対に辞めさせねえぞ、大吾!
大吾の不安も呵責も吹き飛ばし、激励と安心を送るために雪之丞は高く跳んだ。そして言葉にできない想いをぶつけるように、全身全霊の力を込めて、丸いリングにボールを叩き込んだ。
渾身のダンクによる激しい音が、人気のない公園に響いた。雪之丞が着地してもまだ、リングはきしきしと音を立てている。
「……大吾。これでも俺に、バスケは無理だって言うつもりか?」
大吾は雪之丞が魅せた鮮やかなワンハンドダンクに心を奪われているのか、その場に立ち尽くして、ただじっと雪之丞が揺らしたゴールを見ていた。
「……でも、俺は……俺のせいで、ジョーは!」
「大吾のせいじゃねえ。勿論、ミサのせいでもねえ。あのときは咄嗟に体が動いたんだよ。……さっきも言ったろ? 謝るより俺の優しさを褒め称えろって」
雪之丞は笑い、地面に転がったボールを拾って大吾に手渡した。
指先でボールの表面の感触を確かめながら、大吾は再会後初めて、雪之丞の前で涙を見せた。
「……ああ……そうだな……俺が思っているよりジョーはずっと優しくて、ずっと強いんだよな……」
「はっはっは、その通り! だからさっさと部活に戻って、精々エースの名に恥じない練習をしておけ! 俺はお前をインハイ予戦で叩きのめすつもりだからな!」
雪之丞は右手で握り拳を作って胸を一回叩き、大吾に向かって突き出した。
この仕草は昔四人で決めた、相手を激励するサインであった。
「ジョー、そのサイン……」
「逃げるなよ、大吾。次は体育館で会おうぜ」
雪之丞は白い歯を見せながら、少年の頃のような無邪気な声で告げ、大吾の返事は聞かないまま公園を後にした。
渡したボールは次に戦うときに返してもらおう。大吾はきっと復活して、インターハイ出場を狙う沢高の前に大きな壁として立ち塞がるだろう。戦力的には脅威のはずなのに、吹っ切れた大吾と戦うことを想像すると胸が踊った。
俺ももっと上手くなりたい。もっと実力をつけて、その日を待ちたい。
改めて決意した雪之丞は、早く帰って練習しようと帰途を急いだ。
「おい。俺の気持ちも、これから先の未来も勝手に決めつけるんじゃねえぞ。……バスケ、始めて良かったに決まってんだろ? 俺はバスケを始めたおかげで、お前が俺の前からいなくなった気持ちをようやく理解できたんだからよ」
合宿中、雪之丞は上手くプレーできない自分から目を背けたくて、果敢に挑戦することを恐れた。洛央との練習試合の後は部活に行きたくないという身勝手な理由で、チームメイトがインターハイ予選に向けて気持ちを一丸にしなければならないときにサボった。
これらの逃げた苦い記憶がなければ、もしかしたら今もこうして目も合わせず再び逃げようとする大吾のことを、強く責めてしまったかもしれない。人の弱さを身をもって知ることで成長できたのは、バスケットボールのおかげだった。
ようやく顔を上げた大吾に雪之丞はもう一度ボールを渡し、少し後ろから助走をつけて走り込んで「ヘイ!」と声をかけた。
大吾から返ってきたパスは進行方向に向かう雪之丞の胸元に正確に出され、とても取りやすかった。このワンプレーだけでも、大吾が優秀な選手だとわかる。強豪・洛央のスーパーエースと呼ばれるようになるまで、大吾は一体どれだけの努力を重ねてきたのだろう。
積み重ねてきた努力も、実績も、実力も、こんなことで絶たせてたまるか。
絶対に辞めさせねえぞ、大吾!
大吾の不安も呵責も吹き飛ばし、激励と安心を送るために雪之丞は高く跳んだ。そして言葉にできない想いをぶつけるように、全身全霊の力を込めて、丸いリングにボールを叩き込んだ。
渾身のダンクによる激しい音が、人気のない公園に響いた。雪之丞が着地してもまだ、リングはきしきしと音を立てている。
「……大吾。これでも俺に、バスケは無理だって言うつもりか?」
大吾は雪之丞が魅せた鮮やかなワンハンドダンクに心を奪われているのか、その場に立ち尽くして、ただじっと雪之丞が揺らしたゴールを見ていた。
「……でも、俺は……俺のせいで、ジョーは!」
「大吾のせいじゃねえ。勿論、ミサのせいでもねえ。あのときは咄嗟に体が動いたんだよ。……さっきも言ったろ? 謝るより俺の優しさを褒め称えろって」
雪之丞は笑い、地面に転がったボールを拾って大吾に手渡した。
指先でボールの表面の感触を確かめながら、大吾は再会後初めて、雪之丞の前で涙を見せた。
「……ああ……そうだな……俺が思っているよりジョーはずっと優しくて、ずっと強いんだよな……」
「はっはっは、その通り! だからさっさと部活に戻って、精々エースの名に恥じない練習をしておけ! 俺はお前をインハイ予戦で叩きのめすつもりだからな!」
雪之丞は右手で握り拳を作って胸を一回叩き、大吾に向かって突き出した。
この仕草は昔四人で決めた、相手を激励するサインであった。
「ジョー、そのサイン……」
「逃げるなよ、大吾。次は体育館で会おうぜ」
雪之丞は白い歯を見せながら、少年の頃のような無邪気な声で告げ、大吾の返事は聞かないまま公園を後にした。
渡したボールは次に戦うときに返してもらおう。大吾はきっと復活して、インターハイ出場を狙う沢高の前に大きな壁として立ち塞がるだろう。戦力的には脅威のはずなのに、吹っ切れた大吾と戦うことを想像すると胸が踊った。
俺ももっと上手くなりたい。もっと実力をつけて、その日を待ちたい。
改めて決意した雪之丞は、早く帰って練習しようと帰途を急いだ。
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