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第三Q 生き様を証明せよ
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スポーツ強豪校として有名な洛央高校ではほとんどの生徒が部活動に所属しているため、一般的に放課後と呼ばれるこの時間帯に校門を出て行く生徒は少なかった。
閑散とした校門前に立つ左手のない体の大きな男の存在は殊更に目立っており、数少ない帰宅生徒たちの視線を独占していた。
大吾に会って、話をしなければならない。
過去の精算が終わらないことには、また昔のように四人で遊ぶなんて野望も、大吾と公式戦で対戦するという目標も叶いそうにないからだ。
校門から出てくる生徒の中に大吾を発見するまで、そう時間はかからなかった。
「……ジョー……どうしてここに……?」
雪之丞の姿を認めた大吾は目を丸くした。
「体育館行ったらお前、ウチとの練習試合以降部活に来てないって聞いたからよ。ここで待ってたんだよ」
雪之丞が近づいていくと、大吾は目を逸らして一歩後ろに退いた。
「主将の山口さんが言ってたぞ。このままだとお前、スタメン外されるんだってさ。監督もすげえ怒ってるらしいし、行った方がいいんじゃねーの?」
「……」
何も言わない大吾に、雪之丞は溜息を吐いた。
「……ちょっと付き合えよ」
有無を言わさず歩き出すと、大吾は無言のまま後をついてきた。かつての親友である二人は距離を置き、互いに口を開かないまま歩を進めた。
大吾を連れてやって来たのは、バスケットゴールのある公園だ。雪之丞はボールバッグからバスケットボールを取り出した。
「俺、先輩からハンドリング上達のために常にボールを触るようにしておけって言われてんだ。お前すげえよな。よくドリブルしたままあんなに自在に動けるもんだ。あれで調子悪かったんだろ? 俺はまだまだ練習が足りねえわ」
その場でボールをついてみる。以前に比べて上達したとは思うが、まだ体の一部として完璧に扱えているとは思えない。大吾にパスを出すと彼は暗い顔でボールを受け取り、雪之丞の視線から逃げるようにボールを見つめて呟いた。
「……ジョーの方がよっぽどすごいよ。右手しか使えないのにバスケを始めようなんて、普通は思わない」
「そうかあ? 野球とかやる方がすごくね?」
「……ジョーは昔からすごかったよ。あのとき、俺たちは今よりずっと子どもだった。……それなのに、友達を助けるために左手を失うって、どれだけ勇気があるんだよ……」
「はっはっは。そうだろー? 俺を褒め称えろよなー」
「……笑うなよ! 今日は俺を罵りに来たんだろ!? 土下座でも丸坊主でもなんでもやるから、さっさと俺に恨み言を言ってくれよ!」
冗談めかして話す雪之丞に痺れを切らしたのか、大吾は表情を歪めて声を荒らげた。しかしすぐに後悔したようにうなだれ、
「……ごめん。俺がこんなこと言える立場にないのにな……本当に、申し訳ないと思ってる。……だから、俺はもうバスケはやらない。それが卑怯な俺なりのケジメのつもりなんだ」
体の中から振り絞るように、そう断言した。大吾は友人の前でする表情とは思えない程に悲痛な面持ちをしていて、それがひどく雪之丞の癪に障った。
「……俺がバスケをしている姿を見て罪悪感が湧いたから、バスケを辞めるってことか? おい、冗談じゃねえぞ?」
雪之丞は大吾の手からボールを奪い、タイマン張った喧嘩時のように至近距離で大吾を睨みつけた。しかしそれでも、大吾は雪之丞の目を見ようとしない。
閑散とした校門前に立つ左手のない体の大きな男の存在は殊更に目立っており、数少ない帰宅生徒たちの視線を独占していた。
大吾に会って、話をしなければならない。
過去の精算が終わらないことには、また昔のように四人で遊ぶなんて野望も、大吾と公式戦で対戦するという目標も叶いそうにないからだ。
校門から出てくる生徒の中に大吾を発見するまで、そう時間はかからなかった。
「……ジョー……どうしてここに……?」
雪之丞の姿を認めた大吾は目を丸くした。
「体育館行ったらお前、ウチとの練習試合以降部活に来てないって聞いたからよ。ここで待ってたんだよ」
雪之丞が近づいていくと、大吾は目を逸らして一歩後ろに退いた。
「主将の山口さんが言ってたぞ。このままだとお前、スタメン外されるんだってさ。監督もすげえ怒ってるらしいし、行った方がいいんじゃねーの?」
「……」
何も言わない大吾に、雪之丞は溜息を吐いた。
「……ちょっと付き合えよ」
有無を言わさず歩き出すと、大吾は無言のまま後をついてきた。かつての親友である二人は距離を置き、互いに口を開かないまま歩を進めた。
大吾を連れてやって来たのは、バスケットゴールのある公園だ。雪之丞はボールバッグからバスケットボールを取り出した。
「俺、先輩からハンドリング上達のために常にボールを触るようにしておけって言われてんだ。お前すげえよな。よくドリブルしたままあんなに自在に動けるもんだ。あれで調子悪かったんだろ? 俺はまだまだ練習が足りねえわ」
その場でボールをついてみる。以前に比べて上達したとは思うが、まだ体の一部として完璧に扱えているとは思えない。大吾にパスを出すと彼は暗い顔でボールを受け取り、雪之丞の視線から逃げるようにボールを見つめて呟いた。
「……ジョーの方がよっぽどすごいよ。右手しか使えないのにバスケを始めようなんて、普通は思わない」
「そうかあ? 野球とかやる方がすごくね?」
「……ジョーは昔からすごかったよ。あのとき、俺たちは今よりずっと子どもだった。……それなのに、友達を助けるために左手を失うって、どれだけ勇気があるんだよ……」
「はっはっは。そうだろー? 俺を褒め称えろよなー」
「……笑うなよ! 今日は俺を罵りに来たんだろ!? 土下座でも丸坊主でもなんでもやるから、さっさと俺に恨み言を言ってくれよ!」
冗談めかして話す雪之丞に痺れを切らしたのか、大吾は表情を歪めて声を荒らげた。しかしすぐに後悔したようにうなだれ、
「……ごめん。俺がこんなこと言える立場にないのにな……本当に、申し訳ないと思ってる。……だから、俺はもうバスケはやらない。それが卑怯な俺なりのケジメのつもりなんだ」
体の中から振り絞るように、そう断言した。大吾は友人の前でする表情とは思えない程に悲痛な面持ちをしていて、それがひどく雪之丞の癪に障った。
「……俺がバスケをしている姿を見て罪悪感が湧いたから、バスケを辞めるってことか? おい、冗談じゃねえぞ?」
雪之丞は大吾の手からボールを奪い、タイマン張った喧嘩時のように至近距離で大吾を睨みつけた。しかしそれでも、大吾は雪之丞の目を見ようとしない。
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