世界最高の悪役は実はクズ雑魚~勘違いは勘違いを呼び組織(ハーレム)は出来上がった~

亜・ナキ

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第零章 プロローグ~愛とはなにか~

第二話 狂おしいほど

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 ◇◇アクトク・リョウシュ◇◇


「あ、ああ」


 驚いたようにそう言うと父さんは奴隷の手続きをしに行った。
 案外普通にしてくれたな。
 もうちょっと驚いたりしても良かったのだが。
 クックック!
 これで奴隷ゲーット!


「なぁ、お前」


 場に残された俺はその奴隷に語りかける。


「あ、ああ」


 喋れそうにないな。


「生きるのって、嫌か?」

「あえ?あ」


 ちゃんと喋れよ。コノヤロウ。
 まぁ、いいや。それは後で聞こう。


「後でまた聞く」

 ・
 ・
 ・

 ということで…

 祝!奴隷ゲーット!

 いえい!いえい!

 お父さんにお礼を言って早速部屋に連れ込んだ。
 まずは助ける前の下準備だ。


「もう一度聞くぞ?生きるのが嫌か?」

「あ、ああ」


 そういや病気の進行で喋れ無かったんだな。


「肯定なら声をだせ。そうてないのなら黙れ」


 ん?てかこれは聞こえてるかな?


「あ!あー!あー!」
  

 いっそう強く叫び出した。
 聞こえてるみたいだ。


「じゃあ、死にたいか?」

「あー!あーー!あ!あ!」


 そうか。
 死にたいのか。


「じゃあ、殺して欲しいか?」

「あー!あー!あ!」


 まじで死にたいのかよ。
 どんだけ辛いのよ。その病気。
 たしかトラックに弾かれるレベルの痛みを常に感じるんだっけ?
 うわぁ。トラックに轢かれるのクソ痛いのになぁ。
 急に可哀想になってきた。
 抱きしめてあげよう。
 こういう時は抱きしめるのが1番だ。


「じゃあ、俺が殺してやる。楽になれ」

「あー、りがと、う」


 ま、殺さないんだけどね。

 ポーションバシャー!
 おらおらおらおら!!!

 ジュー。という音とともに彼女の身体が治っていく。
 こっからは前世から考えてたムーブで優しくして恩を売るぞ!
 って…ゑ!?

 そこに居たのは紫色の瞳に綺麗な銀髪をもつ超絶美少女だった。

 やばい!台本飛んだ!
 こんな可愛いと思わないじゃん!
 えーと、なんか…
 とりあえずもう過去のお前は殺したから俺に尽くせ的なあれを…

 やばい!無言が長くなった。
 なんか喋らなきゃ。


「お前をもうここで殺した。いいな?」

「え?これは…どうなって…」

「発言は許可していない」


 彼女は身体をビクッとさせて慌てて返事した。


「ひゃ、はい!」


  彼女を押し倒し壁ドンからの顎クイ。

 あれ?俺は何をしているんだろう。普通に気持ち悪いよね。
 現実でやったら気持ち悪いランキング1位なのに…(ガンギマリの会調べ)


「お前はもう死んだ。今のお前はもうお前じゃない。俺のもんだ」


 やべぇ。絶対嫌われる。
 苦笑い出てきた。


「え?は、はい」

「お前は俺に一生尽くせ。その代わりお前を死ぬまで必要としてやる」


 何言ってんの俺?
 可愛いこの前だからってテンパリすぎじゃない?
 だってぇ、前世でこんな可愛い子見たことないしぃ。
 今世だって何故かお父さんがあんまり人と合わせてくれないんだもん。

 てか俺女性とこんなに接近したの今世では初めてじゃない?(前世でもだろ!見栄はんな)

 必要としてやるとか何様だよ!
 俺のバカ!
「恩を売って、かつ出来たら惚れてくれないかなぁ?///」作戦が台無しだぁ!
 うわーん。


「まぁ、強制はしない。覚悟が出来たら庭に来い」


 どうしよう。
 苦し紛れにフォローをいれたが…
 くそぅ!嫌われたぁ!
 あんな当たり奴隷もういないよぉ~。
 ああ、こうなったら悪役令息っぽくこれから優しくしていくしかない。
 がんばろ…
 ああ…泣きたい…


 ◇◇エイリ視点◇◇


 私に、大した過去などない。
 物心着く前に病にかかり、捨てられ、孤児院に入れられた。
 その後、奴隷になった。
 それだけの人生。
 言葉にすれば一瞬で終わる。
 たかが二文。
 病を治す薬はとても高く、両親は払えなかった。
 そして、この病にかかると長くとも8歳になるまでに死ぬという。
 その過程で私は何も経験しなかった。
 愛も、友情も、何も無く、ただ孤児院で勉学は励んだ。
 それが唯一お金を稼ぐ可能性が見いだせる方法だと思った。
 5歳で病は急激に悪化し、奴隷になった。
 それを治せる薬は高すぎてとても私じゃ払えないに決まっている。
 ただ漠然と死ぬんだと思った。
 忌避された。
 嫌われた。
 それがもしかすると私が唯一私に向けられた感情だったのかもしれない。
 ただ、それも嬉しかった。
 病がうつると虐げられることが唯一の人と接する機会だった。


「これにするよ、父さん」


 その言葉を聞いて驚いた。
 きっとこいつは馬鹿なのだろう。
 なにかの実験にでも使うのかもしれない。
 生きるのがいやか?という質問の意味を私は分からなかった。

 その後、部屋に連れていかれた。


「じゃあ、俺が殺してやる。楽になれ」


 その言葉は正直とても嬉しい言葉だった。
「無」で、無感情な人生がようやく終わる。
 最後に、初めての感情が芽生えた。
 きっと、これは感謝の気持ちなのだろう。

 精一杯感謝を伝えたつもりだった。
 伝わってると嬉しい。
 これが期待の感情か。
 死ぬ間際に2つも感情が芽生えるとは思わなかった。

 突然、水をかけられた。
 毒だろうか?
 そんな疑問を抱えたのもつかの間、私の体は軽くなり、痛みも無くなっていた。

 これが、「死」。
 心地よいな。そう思った。
 ただ、それは「死」ではなかった。

 目が、見えた。
 目の前に朧気に見えていた少年は黒い髪に真紅の目をもつ、とても綺麗な、どちらかというと女の子のような少年だった。
 …もしかして私が勘違いしてただけで女の子?

 しばらく彼は私を黙って見つめていた。
 そして、口を開いた。


「お前をもうここで殺した。いいな?」

「え?これは…どうなって…」


 理解が、できない。


「発言は許可していない。いいな?」


 初めて向けられた支配の言葉、歓喜と緊張で身体が強ばった。


「ひゃ、はい!」


 押し倒されて顎をクイッとされた。


「お前はもう死んだ。今のお前はもうお前じゃない。俺のもんだ」


 彼は狂気的な笑みを浮かべた。
 私は、初めて恐怖を感じ、それに喜びを感じ、それをとても美しい笑みだと思った。
 新しい感情が多すぎて頭が回らない。


「え?は、はい」

「お前は俺に一生尽くせ。その代わりお前を死ぬまで必要としてやる」


 それは、命令の言葉。
 そして、初めて、人に必要とされた瞬間だった。

 何故かお腹らへんがが熱くなった。
 これは私の知識には無いな…初めてだ。
 今日だけで、初めてが何個あっただろう。
 きっと、この人は私にたくさんの初めてをくれる。
 この妙に胸がドキドキする感じがなにかも教えてくれるはずだ。

 今は彼が私を治してくれて必要としてくれている。
 それしか分からない。
 言葉にすれば一瞬。
 たかが一文。

 だがそれは、私にとって大きな一文だ。

 覚悟があるか?勿論だ。
 どこまでもついていける気がする。
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