世界最高の悪役は実はクズ雑魚~勘違いは勘違いを呼び組織(ハーレム)は出来上がった~

亜・ナキ

文字の大きさ
18 / 46
第壱章 偽聖女~空と宇宙の境界はどこにあるか~

第十六話 どえらい勘違い

しおりを挟む
 ◇◇エイリ視点◇◇

 エアクを叱り終わって少しの時だ。
夜血の十字架ナイトクレッシェンド』内序列34番から『遠距離通話テレパシー』が届いた。
夜血の十字架ナイトクレッシェンド』のメンバーは普通の名前と違い、活動をする時には番号で名前を呼び合う。
 そして20番以内の数の物には異名がつけられるシステムになっている。


「どうした?」

『大変です!エイリ様『闇の追跡者バインドマン』(序列20番)によるとアク様の反応が消えたとのことです!』


 20番の闇魔法、『絶対追跡アンエスケープ』は1度見た人のあらゆる位置情報を確認できる。
 さらに接近戦にも優れているので異名が与えられた。
 ただ、ずぼらで本当に緊急事態にならないと報告をしないのがたまにキズだ。
 その20番でも追跡できないとなると…


平行世界パラレルワールドか結界に連れていかれたのか?」

『その可能性が高いです。アク様に限って無いとは思うのですがもしかの事があるので』


 横にいるエアクにその事を伝える。
 こういう時は焦らずに冷静に物事を対処すべきだ。


『反応戻りました!座標、12573060758、580350468です!』

「エアク!『最速移動テレポート』の準備を」

「はいにゃ。前方に10修正してからテレポートします」


 すぐに彼女は魔法陣を展開した。


「「最速移動テレポート!!」」


 移動したのはどうやら門をこえたばかりの馬車の少し上だった。
 この世界では基本的に領ごとに門があり、商人などはそこで税を払わなくてはならない。
 アク様はその税を限りなく少なくしているので最近は商業も盛んだ。

 それにしても少なくとも視覚では普通の馬車に見える。
 一応門を通る時に危険物を持ち込んでいないか荷物点検が行われるはずだ。


「『浮遊エスパー』使いますにゃ」


 私の身体とエアクの身体がそのまま浮く。


「エアク、『透視レット』を使って」

「はいにゃ」


 彼女の目が青色に光る。


「アク様の姿を確認。『視覚共有』を発動させます」


 エアクは攻撃魔法以外にも諜報などに使える魔法がかなりの量あるのでこういう時にとても役に立つ。

 見えたのは金属の手錠に目隠し、更には猿轡まで嵌められているアク様の姿。
 え?興奮する…場合じゃない!


「早く助けるにゃ!行きますにゃ!腕に嵌められているのは『強者没落拘束』ですにゃ!」


 確か魔力などが強いものほどあれをつけられている間、弱くなってしまうんだったか?

 ならばアク様が拘束されている理由もわかる。
 何故拘束されたのかは分からないが助ける事が最優先だ!

 その時、アク様がニヤリと笑った気がした。

 突っ込もうとしているエアクを止める。


「待って!」

「何にゃ?いくら空中とはいえバレる可能性があるにゃ。早めに奇襲を…!」

「違うの。アク様が本当に拘束されて為す術も無いはずは無くない?」

「にゃ!?」


 だいたいあれはあくまで魔力が弱くなってしまうもの。
 物理的な強さは変わらない。
 勿論だからと言って魔力注入でしか外せないようになってるはずなので引きちぎるのは無理だろう。
 ただし、アク様ならあれくらいの賊を手錠付きでも倒せるはずだ。
 なんなら目隠しに猿轡まで嵌められていても。
 どう考えてもあの賊達は奥の力も何も無いただの下っ端だ。


「アク様には意図があってわざとあいつらに捕まったんだと思う」

「にゃらにゃんでアク様は私達に言ってから行かなかったのにゃ?」

「多分、アク様もそうやって遭遇するとは思わなかったんじゃないかな」

「というとどうゆうことにゃ?」

「偶然遭遇してその状況を上手く使っているということ。なら私たちがやるべき事は」

「アク様の意図を汲み取って手伝うこと、にゃね」


『隠密』を自分とエアクにかけ、馬車を追う事12分25秒。

 馬車は衝撃的な場所についた。


「にゃ!?」


 そこは、巨大な要塞だった。山のなかに出来ている盗賊たちの要塞。
 こんなものが…

 アク様が馬車から下ろされ連れていかれた。
 その後を追いながら周りを注意深く観察する。
 彼は、独房のような所に連れていかれたようだ。
 エアクの透視により、中を除き、耳を澄ます。


「ふひひひ。あいつら上玉捕まえてきたじゃねぇか。お零れはあげなきゃな…」


 は?お前殺すぞ?アク様になんてことを…


「ひゃ、ハイ!」


  それにしてもアク様の演技力は凄い。
 まるで本当にビビり散らしているようだ。
 なんかこれはこれでいい。じゅるり。


「それにしても…お前ちょっと声低いな」


 当たり前だ!男だからな。
 とてもかっこいいんだぞ!アク様は!


「ハハッタマニイワレルンデス!」

「その喋りかたどうにか出来ねぇか?」

「こ、コレガツウジョウデス!」


 確かにおかしい。
 いくらビビってる演技をするためとはいえ、半角で喋る必要は無いはず…

 すると彼は本当に小さく、トントントンツーツーツートントントンとモールス信号を打ち始めた。
 本当だったらこれはSOSなのだがアク様に限ってそんなことは無いはずだ。
 ならばこれにはなにかの意味がある。

 半角、モールス信号…
 なにかを私達に伝えようとしている。


「そんなことよりもお前、相当強いらしいな」

「ソ、ソウデモナイデス!」

「俺はそういう気丈に振舞っている女を屈服させるのが好みなんだよぉ」


 コイツの不敬は今は置いておこう。(怒)


「トテモ、スバラシイ、シュミデスネ!」

「どうやらその道具のせいで魔法が使えないらしい。高かったんだぞ?」

「ア、アハハ」

「えらくビビってるじゃねぇか。え?強い奴ほどこういう時にお前みたいな反応をする。笑けるなぁ。雑魚の方が覚悟ができてる」


 彼が喋る文字数、言い方、声の抑揚、息遣い。
 全てを分析しろ。
 意味を考えろ。


「アハハ、トッテモオモシロイ」

「安心しろ。殺しはしねぇ」


 なんだ!なんの意味があるんだ!
 分からない。分からない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない

七星点灯
青春
 雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。  彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。  しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。 彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

処理中です...