世界最高の悪役は実はクズ雑魚~勘違いは勘違いを呼び組織(ハーレム)は出来上がった~

亜・ナキ

文字の大きさ
28 / 46
第壱章 偽聖女~空と宇宙の境界はどこにあるか~

第二十六話 浮かれない

しおりを挟む
 「あんたは…?」


 ようやく落ち着いた所、ライト母が話しかけてきた。


「アキです」

「本当にありがとう。本当に…」


 一通り感謝した後…


「こんなことを聞くのは悪いんだが…治療費はなんギールくらいなんだい?家には金が無いから少し待ってくれないかな?」


 場に緊張が走った。


「いえ、ただのボランティアなので」

「!?」

「!?」

「!?」


 お前ら親子かよ!親子か…


「ありがとう!本当に」

「感謝しきれんよ…」

「ありがとうございます!」


 三者三様のお礼を言ったあと、
「なんかお礼を!」
 とか言ってたが全部ことわってやった。

 当然の事をしたまでです!って言ってな!
 なんかえげつなく感謝されたぜ!気分がいいなぁ!


「良かったなぁ。本当に」

「ああ、本当に」


 親の皆様は涙まで流しておりまする。
 うわぁ。どこで「男です!」カミングアウトしよう…
 この幸せムードに水をさす勇気は俺には無い。

 まあ、ライトはリア充なだけで悪いやつじゃない。
 見逃してやろう。
 俺も鬼じゃないさ。

 幻術を駆使して煙のように消えようとした時、腕を掴まれた。


「どこに行くんですか?」

「君の知らない場所にだよ」


 こういう感動シーンは家族水入らずで楽しむものだよ。


「行って、しまうんですか?」

「じゃなきゃ後悔するのは多分君だよ?」

「それはどういう…」


「男だよ!」宣言があるって事だよ!
 嫌だろ!ちょっとでもいいと思っていた女が男とか!
 なんか今のムードでそれをやるほど俺はゴミじゃねぇけど放置してたら多分罪悪感が消えて言っちゃうからな!


「ばいばい」

「待ってください!次、いつ会えますか?」

「さあ?」

「どうしたら会えますか?本当の名前はなんですか?それも、いつか教えて貰えるんですか?」


 すがるような目で言われてもなぁ。
 ちょっとビックリしている演技をしながらボヤけた言い方を考える。


「君の運命の人を君が超えた時、かな?」


(訳:会えるかと言う質問にはノーコメントだがライトの好きな人を捨ててでも名前如き知りたいんならいいぜ!)
 こんな回りくどい言い方をした理由は「右手が疼いた!」と答えておこう。
 つまりは厨二病だ。

 主人公らしく、ヒロイン見つけろよ!
 いやもういるのか?


「え?」


 意味伝わらんかったかな?


「じゃあね!」


 幻術逃走成功!
 なんか追いかける音を聞いたが、聞こえなかったことにした。
 店の外を歩いていると、エイリが待っていた。


「これからどうするんですか?」

「普通にデートに戻るよ。それともこれ以上干渉するか?」

「いえ」

「ごめんな。デート中に」


 エイリは少し笑いながら、


「本当ですよ」


 と言った。

 そして俺の手を掴み、「次行きますよ」と優しく言った。
 可愛すぎんだろ。おい。


「お昼どこにしますか?」

「んー。なんか美味しい屋台があるんだったっけ?」

「私がサーチした所ではクラモチの味噌煮とナカノオオエノオウジメシが人気らしいですよ」


 得意そうに答えるエイリだが、なんか聞いたことがある気がするのは何故だろう。

 ってちょっと待って?あのネックレスが相当高いものだったとしてもハイエクシサー程じゃないだろうし結果的に損してない?



 ◇◇ライト視点◇◇


 俺がお茶を出そうと台所へ行き、帰ってきた時の事だった。

 ゴニョニョと2人が話している音が聞こえる。
 何を話しているんだろうと聞き耳を立てた時だった。


「正体を言うつもりは無いのか?アキって、 名だろう?冒険者なら偽名なんか使わない。できる限り名前を売りたいからな」

「なんで…分かったんですか?」


 そんな、馬鹿な…
 偽名?なんで…


「世の中には知らない方がいいこともあるんですよ」


 知りたい。彼女の事が知りたいのに、名前さえ分からない。
 確かになにか訳ありだとは感じていたけど…
 名前も言えないなんて…


「…まあいいさ。悪いやつじゃねぇみたいだし。ところで酒って飲めるか?」

「…ノンアルビールなら」

「飲むか」

「嫌です。未成年です」


 そこでお茶を出しに行く。


「お、お茶どうぞ」


 どうすればいいか分からない。
 どう接近すればいいか分からない。
 信用されてないんだろうし…


「ライトくん、何歳?」


 突然の質問に戸惑いながらも答える。


「え?..16ですけど」


 すると彼女はいたずらっぽい笑みを浮かべた。


「私、15」

「え?」

「私は15歳」

「いやなんの数字か分からなかった訳じゃなくて!」


 年下だなんて思いもしなかった。
 というか俺は年下に手玉に取られていたのか?
 いたずらっぽくてかわいい笑みは確かによく見ると年下っぽい。


「年上だね。お兄さん」

「な、なにを言って…」


 ちょっと待って?ベールに呼ばれるのと全然違う。
 可愛すぎる。


「ライト…」


 その時母の声が聞こえた。
 今までの浮き足立った感情が3割ほど消え、急いでそこに向かって走り、ドアを開ける。 


「お母さん!起きたの?」

「ライト…」


 苦しそうだけど、今日は昨日よりも楽そうだ。
 頭の上のおしぼりを変えて、頬を撫でる。

 そうしていると、アキさんが俺の近くに来た。


「ちょっと見せて」

「な、何をするつもりなんですか!?」


 母の近くに彼女が行った時、周りに大量の魔法陣が浮かび上がった。
 どれもが複雑で見たことがない。

 数秒後、母は息を吹き返した。


「ふぅー」


 こんな時なのに汗でびしょびしょになっているのが色っぽく感じてしまうのは俺がおかしいんだろうか?

 それはともかく、母さんとまた話せるし触れ合えることに涙が出てきた。

 本当に、アキさんには感謝しかない。
 偽名を使っているのもきっとなにか訳ありなんだろう。
 でもそれは悪いことではなくて、きっと事情があったのだろう。
 それもきっととびきり優しい事情が。
 なのに彼女はお礼も受け取らず帰ろうとする。


「ばいばい」

「待ってください!次、いつ会えますか?」

「さあ?」

「どうしたら会えますか?本当の名前はなんですか?
 それも、いつか教えて貰えるんですか?」


 彼女はいたずらっぽい笑みを浮かべ、またあのミステリアスな顔で言った。


「君の運命の人を君が超えた時、かな?」


 あの人が行かないと僕が後悔する。
 その意味は分からなかったが…

 君の運命の人を君が超えた時。
 それはきっと彼女の事を運命の人だと思うならば自分より強くなれ。
 そういうことだろう。

 必ず、強くなってみせる。

 ちなみに黒髪ロング赤目ミステリアス小悪魔系でノリが良くて超強くて回復魔術まで使えるすごい人以外の女の人に何も感じなくなった。
 なんでだろう?
 でもあの笑顔が忘れられない。
 また会いたいなぁ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない

七星点灯
青春
 雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。  彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。  しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。 彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

処理中です...