女だからって舐めないで

佐藤なつ

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揺れる三角関係

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 学院の裏庭。
 夕陽に照らされた芝生の上に座って物思いにふけっていると、レオンが私に呼びかけてきた。

「ねえ、少し話せる?」

 彼の真剣な眼差しを前に、胸がざわめく。
 この数日、レオンはやたらと私を気にかけてくれる。
 それが嬉しいような、苦しいような──。



「君は努力家で、誰よりも強い心を持ってる」
 レオンの言葉は真っすぐで、嘘がない。

「だから、俺はやっぱり諦められない。
 婚約者がいようと……俺は君を思っている」

「レ、レオン……」
 胸の奥がぎゅっと締め付けられる。

 でも、同時に思い浮かぶのは──あの人。
 何気ない優しさをくれるサフィール先生の姿。

(どうして……私、どっちも気になっちゃうのよ……!?)



 言葉を探していると、不意に影が差した。

「まぁまぁ、夕暮れに甘い会話♡ 青春ねぇ」

 現れたのは、いつもの扇子を手にしたサフィール先生。
 にこにことした笑顔なのに、その視線は妙に鋭い。

「先生っ!? なんでここに!」
「見回りついでにねぇ。……あら、邪魔しちゃったかしら?」

 レオンは一瞬、眉をひそめるが、すぐに毅然とした表情に戻る。
「いいえ。俺は隠すつもりはありません。あなたの婚約者に、想いを伝えただけです」

 その言葉に、先生の目が細められた。
 けれど、口から出たのは軽い調子の一言。

「ふふ♡ 大胆な子ねぇ。でも──お嬢様を泣かせたら許さないわよ?」



 その声音には、不思議な迫力があった。
 レオンも一歩引き、私も心臓が跳ねる。

「さ、帰るわよ。もう夜風が冷えるもの」
 先生はそう言って、当然のように私の手を取った。

 大きくて温かい手。
 その感触に、心が揺れる。



(……どうして。どうして私は、こんなに先生を意識してしまうの?)

 レオンの真剣な想いと、ふざけてばかりな先生のさりげない優しさ。
 揺れる気持ちは、ますます収まらなくなっていくのだった。
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