女だからって舐めないで

佐藤なつ

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秘められた血脈

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 翌朝。
 学院は一見いつも通りの賑わいを見せていたが、昨日の襲撃の余波は確実に残っていた。
 警備は厳重になり、生徒たちは互いを探るように視線を交わす。

 私は、そのざわめきの中で決意を固めていた。

(今度こそ、先生に聞かなきゃ……。
 あの力のことも、なぜ私を守るのかも)



 放課後。
 誰もいない講義室で、先生を待ち伏せした。

「おやぁ、お嬢様。待ち伏せなんて積極的ね♡」
 軽口を叩きながらも、先生の瞳はどこか警戒を帯びていた。

「冗談じゃないわ」
 思わず声が強くなる。
「昨日の戦い……あの力、先生は一体何者なの?」



 沈黙。
 いつもの調子でかわされると思った。
 けれど、先生は珍しく視線を逸らし、扇子を閉じて机に置いた。

「……ほんの少しだけ、教えてあげる」

 その声音は低く、重かった。



「わたしの家系は──王家の血脈を守るためだけに存在した一族。
 『守護者の血脈』と呼ばれるものよ」

「守護者……」
 呟いた言葉が胸の奥で反響する。

「王家の血脈が力を発揮する時、必ず狙われる。
 だからこそ、わたし達は影に生まれ、影で死んできた。
 あなたを守るのは宿命なの」



「じゃあ、先生が私に近づいたのは……全部、そのため?」

 問いかけに、先生の微笑はほんの少し揺らいだ。

「ええ。最初はね」

 ほんの一瞬、寂しげな笑み。
 その表情に、胸が強く打たれる。

「けれど──今は違う」
 先生の目が、真っ直ぐに私を射抜いた。
「守るのは宿命。でも、あなたに惹かれるのは……わたし自身の感情」



 息が詰まる。
 鼓動が早鐘のように響く。

 言葉を返そうとした瞬間、扉が勢いよく開いた。

「リディア!」
 レオンが駆け込んできて、険しい顔で告げる。
「学院の結界に再び異常が! ……敵が来るかもしれない!」



 張りつめた空気の中、三人の視線が交差する。
 守護者としての宿命を告げた先生。
 真っ直ぐに守ろうとするレオン。
 そして、揺れる私の心。

(次の戦いで……私は、どちらを選ぶの?)
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