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第33話 進化

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 屋敷の玄関先にはメイド服に身を包んだ侍女、そしてお硬い礼服に身を包んだ従者が整列し、俺の帰りを待っていた。
 本日から俺の執事になったセバスに尋ねてみたが、やはりこの整列している人達は俺の従者たちだという。

 どうやってこんな人数用意したのかを尋ねたが、急遽国王が呼び掛けをして集めたのだという。
 この人達が信頼に足る人物かどうかはおそらく採用する際に、国王デイドルドや執事のセバスが精査しておいてくれていると思うので心配はない。

 玄関に入った先で侍女長、従者長、料理長達が代表して挨拶して来る。

「お初にお目に掛かります、ソウタ様。私は本日より王都のソウタ様の屋敷の侍女長を務めさせていただきますミラーと申します。どうぞ何かあれば何なりとお申し付けくださいませ」

「お目に掛かれて光栄でございます。私も本日よりソウタ様の王都宅の従者長を務めさせていただく事になりましたロイと申します。お困りな事が有ればすぐお呼びください」

「どうもお目に掛かれて光栄な限りでございます。私がソウタ様の王都滞在中の料理長のコクルと申します。何か召し上がりたいものが有ればすぐご用意しますゆえ何なりとお申し付けくださいませ」

 侍女長ミラーは切長の目で、すらっとした大人っぽい女性で、従者長ロイは若いながらしっかりとした印象の男だった。さらに料理長のコクルは少し膨よかな体型の男性だった

 俺はそれぞれの長たちに一人一人にこれからよろしくということを伝えた。

 それぞれの長と面会が終わった後、さっそく侍女に自室へと案内された。

「ソウタ様、こちらがソウタ様のお部屋でございます。ソウタ様失礼ながら、この後はどうなさいますか? お食事になさいますか? お風呂になさいますか?」

 部屋に案内された侍女にそう訊かれて俺の胸がドキッと弾んだ。
 この流れは有名な流れである。
 だが、その後は期待大外れでそれ以上は何も侍女は言ってこなかった。
 俺は少しがっかりしたが、それを侍女に求めるわけにもいかず、

「うーんと、じゃあご飯にしようかな? でも少しやりたい事あるから料理長のコルクには焦らなくて良いよって伝えておいてくれるかな? それで出来たらまた呼びに来て」

 侍女に伝えると彼女は頷いて部屋を後にした。

 俺は侍女が部屋から出て行くと、自室に置いてあったキングサイズくらいのベッドへと思い切り飛び込んだ。

「一度こういうことしてみたかったんだよね。貴族になってあまり実感が無かったけど、本当に貴族って偉い存在なんだな」

 ベッドへと倒れながら俺はそう思った。
 俺が偉くなったという感覚よりも貴族という存在が偉いものだと考える方が今の自分には納得がいく。
 
「まぁ貴族もそんなに悪いもんじゃないな」

 貴族のイメージとしては面倒事が多いイメージだがこれなら頑張れそうだなとも思った。
 ベッドに倒れ込んだ俺はふと異世界転生してからのことを思い出す。

「あ! そういえば地龍を討伐した時に獲得したSP使っていなかったな! 確か100,000SPくらいあった筈だけど……」

 俺は地龍討伐時に獲得したSPの存在を思い出した。存在を思い出した俺はSPの使用方法について考えていた。



【固定能力付与】

『衣類付与』

【自動洗浄】【防汚】【消臭】【芳香】

【自動治癒Lv.MAX】【状態異常耐性Lv.MAX】

【怪我防止】【自動修復】

【保有魔力倍増】【無詠唱】


『武器付与』

[長剣]

【不壊】【形態変化】【武器破壊】

【斬撃強化Lv.MAX】【身体強化Lv.MAX】

【炎纏】【風纏】【雷纏】

【龍滅殺】【龍撃半減】


『防具付与』

[帷子]

【不壊】

【物理攻撃激減】【魔法攻撃激減】

【身体強化Lv.MAX】【無詠唱】【保有魔力倍増】


 使用可能残り   SP 100,000



 そして色々調べてみると興味深い内容が表記されていた。今までこんなものが表示される事がなかったが、何かの弾みによって『固定能力付与』の能力がさらに解放されたようだった。


【進化可能欄】

【斬撃強化Lv.MAX】(10000)
(進化後)→【時空斬断ディメンション

【身体強化Lv.MAX】(10000)
(進化後)→【究極身体アルティメットボディ

【自動治癒Lv.MAX】(10000)
(進化後)→【天使の癒し】

【状態異常耐性Lv.MAX】(10000)
(進化後)→【全状態異常無効】

【物理攻撃激減】(10000)
(進化後)→【物理攻撃無効】

【魔法攻撃激減】(10000)
(進化後)→【魔法攻撃無効】

 何が変わったかといえば、SPで取得可能なスキルが表示されるのとレベルアップするための必要SPが表示させるのは一緒だが、それに加えて【進化可能欄】というものが追加されていた。

 そして進化可能項目を進化させる為には一つにつきSPが10,000も必要な様だったが、ちょうど地龍を討伐した事によってSPが大量にあったので迷わずに進化可能な項目を進化する事に決めた。

 さらには【賢者のマント】のように剣ばかりではなく、魔法系のモノも欲しいなと思った俺はSPを消費して、【保有魔力倍増】をSP5000消費してレベルアップさせ、【必要魔力半減】をSP10000消費して、【保有魔力激増】【必要魔力激減】へとレベルアップさせた。

 この結果、『固定能力付与』がかなりパワーアップを果たした。


【固定能力付与】

『衣類付与』

【自動洗浄】【防汚】【消臭】【芳香】

【天使の癒し】【全状態異常無効】

【怪我防止】【自動修復】

【無詠唱】【保有魔力激増】【必要魔力激減】


『武器付与』

[長剣]

【不壊】【形態変化】【武器破壊】

【時空斬断】【究極身体】

【炎纏】【風纏】【雷纏】

【龍滅殺】【龍撃半減】


『防具付与』

[帷子]

【不壊】

【物理攻撃無効】【魔法攻撃無効】【究極身体】

【無詠唱】【保有魔力激増】【必要魔力激減】


 使用可能残り   SP 25,000


 残りSP25,000はこれからどうなるかも分からないので保険として残しておいた。
 暫くベッドの上で色々と試していたところ夕食が出来たのか、先程の侍女が呼びに来た。

「ソウタ様お待たせ致しました。お食事の準備が済みましたのでお呼びしに参りました。またお客様がこちらにお見えになりましたがどうなさいますか?」

 予想通り侍女が夕食が出来たと部屋まで呼びに来てくれた。それと同時に屋敷に来客が来た事を教えてくれた。
 俺はこんな時間に来る人がどんな人だろうと侍女に訊く。

「呼びに来てくれてありがとう。それでその屋敷に来たってのはどんな人なの?」

「はい、屋敷にお見えになったのは『翼竜の翼』冒険者パーティの一行でございます。なんてもソウタ様のお仲間だと」

 侍女は流石に俺の事を完璧に把握してはいないのか、『翼竜の翼』が俺の所属している冒険者パーティだとは知らない様子だった。

「教えてくれてありがとう。その人達はこの屋敷では丁重に扱う様にしてくれ。一応だが俺と同じ冒険者のパーティだからな?」

 俺がそういうと侍女は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐ表情を元に戻して

「はい、畏まりました。それで夕食なんですが、せっかくでしたら『翼竜の翼』の皆様もご一緒するようでしたら料理長へと伝えて来ましょうか?」

 侍女の早速の提案に俺は「お願い」と伝えると、侍女は部屋を去っていった。

 俺もお腹が空いて来たので、『翼竜の翼』のメンバーが待つ場所へとさっさと向かった。
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