剣神と魔神の息子

 この世界には2つの人種が存在している。剣武術が使えるか、魔術が使えるかだ。

剣武術は体内の【闘氣】を使用することで、身体能力を飛躍的に向上させ、通常では考えられないような速度と膂力を発揮出来る。

魔術は体内の【魔力】を操る事で、大規模な破壊をも可能とする魔術を行使することが出来る。

その力は、親の性質を子が受け継ぐようになっている。より強い力を持つ者の子は強く、そうでない子はそれなりに。そして、力の有るものは次第に国の要職に就き、民を導く存在となっていた。

 遥か昔、ある大陸を治める大国があった。2つの人種は互いに協力し合い、豊かな国を造り上げていた。そうして平和な時代が続いていたのだが、いつしか国の主導権を巡って、自らの力の方が優れているとお互いが主張し出し、国は割れ、やがて3つの国が出来上がった。

剣武術を是とするグルドリア王国。魔術を是とするオーラリアル公国。どちらも是とするクルニア共和国である。

当初この3ヶ国は言論によって互の主張をぶつけていたが、終には戦争へと発展し、現在に至るまで争いを続けている。

 そんな中、グルドリア王国に剣神と呼ばれた天才と、オーラリアル公国に魔神と呼ばれた才女がいた。2人は戦場で幾度も顔を会わせる内に恋に落ち、やがて自国を捨て、クルニア共和国で契りを結び、一人の子供を授かる。

これは、剣神と言われた父と魔神と呼ばれた母を親にもつ少年の物語である。
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