ごめんね、でも好きなんだ

24話

長い授業が終わり、一斉に帰り始める。俺も帰る準備をし終えたとき、あっ、と担任に言われていたことを思い出した。


「そういえば颯。」

「ん？」

「今日一緒に帰れない。」

颯と俺は部活に入っていないので、いつも一緒に帰っている。

「どうした？何か用事？」

「んー、なんかね先生に進路のことで話があるから少し残ってって言われた。」

「そっか。それじゃあ、また明日な。」

「うん。また明日。」


そう言って颯と分かれると、俺は職員室に向かった。

何を話されるんだろう…この前のテストあまりよくなかったからなあと緊張していたが、結構あっさりと話は終わり、ほとんど世間話で終わった。なんでわざわざ残らせたんだ。とは思ったが、笑顔で職員室から出た。結構時間が経っていたのか、雨が降り始めていた。






…思い出す。あの雨が降った日。


蓮から傘を貸したまま返せていない。いつか渡そうと思っていたが、タイミングを逃して、ずっと鞄の隅に入ったままだ。…もう直接渡すことはできないだろう。靴箱に入れておこうと思い、蓮の靴箱を探した。そして蓮の靴箱に傘を入れて、帰ろうとしたとき、誰かに腕を掴まれた。そいつは俺を引っ張ったまま何処かへ向かおうとしている。


…言葉を濁しているが、本当は気付いてる。俺はこの後ろ姿をずっと目で追いかけてきた。…分からないわけがない。



ただ、俺は状況が理解できず、なんで、と俺が口に出す前に目の前の男が口を開いた。







「お前、なんで嘘をついてた。」