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第七章 ミッションクリア!
(一)
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結局その日も、わたしはあまり眠れなかった。レオのことを考えていると、どうしても、ぐるぐると考えこんでしまう。考えこんだ結果、むしゃくしゃしてきた。
「もう、レオが変な態度とるから、いけないんじゃん!」
ふんっと鼻を鳴らして、わたしはキッチンに行った。母さんが用意してくれていた朝ごはんをお盆にのせる。パンにサラダと大盛り。母さんたちは朝から工房で仕事をしているみたい。
(今日も忙しそうだなあ。母さんも父さんも、ちゃんと休めてるといいけど)
わたしは朝ごはんをもって小屋に行くと、鍵を開けた。
「レオ、おはよう」
謎いっぱいのレオは、もしかしたら夜の間にいなくなっているかも。なーんて、すこし緊張したけど、レオはちゃんと小屋にいた。でも、昨日より疲れた顔をしている。
「おはよ」
「レオ、大丈夫? 顔色悪いけど……」
思わずそう聞いてしまうくらい、レオはげっそりしているんだ。
「やっぱ、赤輝石がないときついな」
レオはうなるように、そう言った。きつい、っていうのは、血が飲みたくなっちゃうってことだよね。飲みたくても飲めないっていうのは、苦しいみたい。
わたしも、好きなお菓子が目の前にあっても食べるなって言われたら、困っちゃうし。それと同じことかな。……いや、レオの疲れた顔を見ていると、もっともっと苦しいのかもしれない。
「これ、朝ごはん!」
わたしは、ずいっとお盆を押し出した。レオがきょとんと見つめてくる。
「血を飲まなくてもいいように、いま、お腹いっぱいにしようよ。ほら!」
血はあげられないけど、せめて、おいしいごはんでお腹いっぱいにしてほしい。レオは山盛りのパンやサラダを見て、ふっと噴き出した。
「ありがと。うわあ、庶民のごはんだ。たまにはいいな、こういうのも」
むかっ。
「なにそれ、庶民で悪かったですね!」
そりゃあ、貴族さまはもっと豪華なものを食べているのかもしれないけどさ。口をとがらせたわたしに、レオはあわてたみたいだ。
「いや、うまそうだよ。いただきます」
早口で言って、ぱくっとパンを食べた。その瞳が輝く。
「うまい!」
ぱっ、とわたしも笑う。
「でしょでしょ! 街のパン屋さんの焼き立てパン! 毎朝、母さんが買ってきてくれるんだ~」
わたしもパンをかじった。ほっかほかのパンに頬がとろけそうになる。うん、今日も絶品!それから、「あ」と思い出して、キッチンに一度戻り、ビンとグラスを持ってきた。
「これ、よかったら飲んでみて」
「なんだこれ」
ビンの中には、真っ赤な液体。
「トマトジュース! 色が血に似てるし、これで満足できないかなあって……、どうかした?」
コポコポとグラスに注いだトマトジュースを見て、レオはうげっと顔をしかめた。
「……トマト、きらい」
ぼそっとつぶやく声に、わたしはきょとんとする。
「吸血鬼の苦手なものって、たしか、十字架と、日の光と、にんにく……って噂で聞いた気がするんだけど、トマトもだっけ?」
「……いや、トマトがきらいなのは、おれだけだ」
レオは気まずそうに目をそらした。わたしは、あ、と気づいて、笑い出す。
(なんだ。ただ単に、苦手な野菜ってことか!)
「好き嫌いはよくないよ~、レオ」
「うるせー、トマトなんて食べるもんじゃないだろ!」
「食べるものだよ、野菜だもん。栄養いっぱいだし」
わたしは自分のぶんのトマトジュースをぐいっと一気飲みした。そんなわたしを、レオはありえないものを見る目で見つめる。
「ほら、おいしい」
「いやいやいや、ぜったい、むり。おれはパス」
「ダメ、飲んで」
「いやだ! おれ、貴族だぞ! おれがいやって言ったら、いやなんだ! わかれよ!」
「なにそれ。ただのわがままじゃん!」
子どもみたいに逃げようとするレオの腕をがっしりとつかむ。わたし、母さんから「好き嫌いしちゃいけません!」って育てられてるからね。なんでもおいしくいただかないと、食べ物にも失礼だ。
「ほら飲んで!」
「はなせってば!」
「飲むの!」
「無理だって、ほんとに、まじで! うちの使用人だったら、そんな無理やりなことしないぞ!」
「知らないよ。だってわたし、レオの使用人じゃないし」
やいのやいのと、ふたりで騒がしいごはんタイム。たまには友だちとごはんを食べるっていうのも、楽しいかもしれない。ふふっと笑うと、レオにものすごくにらまれたけれど。
「もう、レオが変な態度とるから、いけないんじゃん!」
ふんっと鼻を鳴らして、わたしはキッチンに行った。母さんが用意してくれていた朝ごはんをお盆にのせる。パンにサラダと大盛り。母さんたちは朝から工房で仕事をしているみたい。
(今日も忙しそうだなあ。母さんも父さんも、ちゃんと休めてるといいけど)
わたしは朝ごはんをもって小屋に行くと、鍵を開けた。
「レオ、おはよう」
謎いっぱいのレオは、もしかしたら夜の間にいなくなっているかも。なーんて、すこし緊張したけど、レオはちゃんと小屋にいた。でも、昨日より疲れた顔をしている。
「おはよ」
「レオ、大丈夫? 顔色悪いけど……」
思わずそう聞いてしまうくらい、レオはげっそりしているんだ。
「やっぱ、赤輝石がないときついな」
レオはうなるように、そう言った。きつい、っていうのは、血が飲みたくなっちゃうってことだよね。飲みたくても飲めないっていうのは、苦しいみたい。
わたしも、好きなお菓子が目の前にあっても食べるなって言われたら、困っちゃうし。それと同じことかな。……いや、レオの疲れた顔を見ていると、もっともっと苦しいのかもしれない。
「これ、朝ごはん!」
わたしは、ずいっとお盆を押し出した。レオがきょとんと見つめてくる。
「血を飲まなくてもいいように、いま、お腹いっぱいにしようよ。ほら!」
血はあげられないけど、せめて、おいしいごはんでお腹いっぱいにしてほしい。レオは山盛りのパンやサラダを見て、ふっと噴き出した。
「ありがと。うわあ、庶民のごはんだ。たまにはいいな、こういうのも」
むかっ。
「なにそれ、庶民で悪かったですね!」
そりゃあ、貴族さまはもっと豪華なものを食べているのかもしれないけどさ。口をとがらせたわたしに、レオはあわてたみたいだ。
「いや、うまそうだよ。いただきます」
早口で言って、ぱくっとパンを食べた。その瞳が輝く。
「うまい!」
ぱっ、とわたしも笑う。
「でしょでしょ! 街のパン屋さんの焼き立てパン! 毎朝、母さんが買ってきてくれるんだ~」
わたしもパンをかじった。ほっかほかのパンに頬がとろけそうになる。うん、今日も絶品!それから、「あ」と思い出して、キッチンに一度戻り、ビンとグラスを持ってきた。
「これ、よかったら飲んでみて」
「なんだこれ」
ビンの中には、真っ赤な液体。
「トマトジュース! 色が血に似てるし、これで満足できないかなあって……、どうかした?」
コポコポとグラスに注いだトマトジュースを見て、レオはうげっと顔をしかめた。
「……トマト、きらい」
ぼそっとつぶやく声に、わたしはきょとんとする。
「吸血鬼の苦手なものって、たしか、十字架と、日の光と、にんにく……って噂で聞いた気がするんだけど、トマトもだっけ?」
「……いや、トマトがきらいなのは、おれだけだ」
レオは気まずそうに目をそらした。わたしは、あ、と気づいて、笑い出す。
(なんだ。ただ単に、苦手な野菜ってことか!)
「好き嫌いはよくないよ~、レオ」
「うるせー、トマトなんて食べるもんじゃないだろ!」
「食べるものだよ、野菜だもん。栄養いっぱいだし」
わたしは自分のぶんのトマトジュースをぐいっと一気飲みした。そんなわたしを、レオはありえないものを見る目で見つめる。
「ほら、おいしい」
「いやいやいや、ぜったい、むり。おれはパス」
「ダメ、飲んで」
「いやだ! おれ、貴族だぞ! おれがいやって言ったら、いやなんだ! わかれよ!」
「なにそれ。ただのわがままじゃん!」
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「知らないよ。だってわたし、レオの使用人じゃないし」
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