9 / 10
9、これが初恋
しおりを挟む
一等船室は大階段をあがった、船の上層階にあった。
客室には、すでにエレオノーラ達の荷物が運び込まれている。
ふかふかのカーペットが敷かれたリビングルームには、上質なソファーや椅子が置かれている。
護衛は、隣の続き部屋にいる。廊下に出ずとも、扉を開けばこの部屋とつながっているようだ。
窓の外のバルコニーは広く、外にもテーブルと椅子があった。
「バルコニーが、わたしの屋根裏部屋よりも広いです」
「ラウラねー、おそとでねるの」
海を眺めて、なかなか部屋に戻ってこないエレオノーラとラウラを、オリヴェルが迎えに来た。
「こんなところで寝たら、海に落っこちるぞ」
運ばれてきたウェルカムドリンクを、オリヴェルはバルコニーのテーブルに置いた。
「わぁ。オレンジジュースだ」
「こぼさないようにな。エレオノーラは酒は飲めるかな」
椅子に座ったラウラにグラスを渡しながら、オリヴェルが問いかける。
「飲んだことがないんです」
「それなら、少しにしておいた方がいいかな」
エレオノーラは、お礼を言ってからグラスを手にした。
細長いグラスはとても繊細で、まるで芸術品のよう。満たされたルビー色のお酒は、微細な泡が連なっては消えていく。
「おいしいです」
「よかった。カシスのリキュールを炭酸で割ったものだ」
音を立てぬよう、そっとグラスをテーブルに置くエレオノーラを、オリヴェルが向かいの席から見つめている。
視線がまっすぐで恥ずかしい。
(もしかして、マナーがなってないのかしら。これまで飲み物といえば、ほとんどお湯でしたから)
「やはりあなたは、幼い頃に行儀作法を教えられているだろうから。手の動きがきれいだな。これまで何度か食事を一緒にとったが、エレオノーラと一緒だと、とても心地がいいんだ」
「あ、ありがとうございます」
エレオノーラは頬が染まるのを感じた。ほんの少しのアルコールのせいじゃない。オリヴェルに見つめられるのが恥ずかしいのだ。
(これまで急ぐように家を出て、服を仕立てたり、お母さまの実家の公爵家にも挨拶に行ったりと、息つく暇もありませんでした)
乗船して落ち着いて。エレオノーラは、オリヴェルの妻となることの実感が、ようやく込み上げてきた。
(わたしはオリヴェルさまとラウラと共に生きていくんだわ)
テーブルにのせたエレオノーラの手に、オリヴェルが手を重ねる。出港を知らせる汽笛が長く鳴る。
「わー、動いたよ。すごーい」
「ラウラさん。いえ、ラウラはこちらに来るときも船に乗ったのでしょう?」
空になったグラスを置いて、ラウラは手すりの間から外を眺めている。
「あのね、ラウラね。たのしみすぎて、まえのよるにねむれなくて。それでね、おぼえてないの」
「この子は、乗船したとたんに熟睡してしまったんですよ。だから、初めてのようなものですね」
オリヴェルは苦笑した。
水平線は、まだ夕暮れの余韻を残している。港が明るいからなのか、宵なのにカモメが鳴いている。
オリヴェルは、琥珀色のウイスキーが満たされたグラスを手にした。
そのまま、エレオノーラに顔を近づける。
グラスに隠された、ほんの触れるだけのキス。まるで海風が、唇を撫でたかのようだった。
数瞬後、生まれて初めてのキスだと、エレオノーラは気づいた。
顔どころか、耳まで熱くなる。耳たぶが燃えている。
「あの、あの……」
「内緒ですよ」
エレオノーラの唇の前に、オリヴェルが人さし指を添えた。
「なにがないしょなのー?」
「ん? 内緒は内緒だから、内緒というんだ」
振り返ったラウラに、オリヴェルはとぼけている。
ラウラという子どものいる結婚だから。エレオノーラは、母の役を求められているのだと思っていた。
(どうしてこんなに顔が熱いの? 心臓がバクバクと音を立てるの?)
エレオノーラは苦しくて、ぎゅっとまぶたを閉じた。
その感情に「初恋」という名があることを、エレオノーラは知らなかった。
◇◇◇
エレオノーラが嫁いで、二か月が過ぎた。
ユーゲンホルムは夏の盛りで、海を見下ろす高台にあるシルヴァ侯爵家の庭は花であふれている。
ゴールデンシャワーと呼ばれる黄色い花が、まるで降りしきる雨のように頭上を覆う。その木の下に、子ども用のすべり台が設置されている。
最近ユーゲンホルムで発明された遊具らしい。高さはオリヴェルの肩くらいだ。
「わざわざ高いところから、滑り落ちるのですか」
エレオノーラは、日光を反射する銀の滑り面に手で触れた。午後の光に照らされて、てのひらがじんわりと温かい。
「見ててね、おとーさま、おかーさま」
小さなはしごを昇り、てっぺんでラウラが両手を上げた。
嫁いですぐに、ラウラはエレオノーラのことを「おかあさま」と呼んでくれた。そう呼ばれるたびに、胸の奥にも陽が差し込むような心地がした。
再婚ということもあり、ほとんど参列者のいない結婚式だった。
でも、それがエレオノーラにはありがたかった。きっとオリヴェルも、彼女の境遇を考えての式だったのだろう。
「ラウラはゆうかんなので、てをはなしてすべります」
「無理はしなくていいぞ。ちゃんと手すりを持ちなさい」
「そうよ、ラウラ。ゆっくりでいいのよ」
オリヴェルとエレオノーラがおろおろと声をかける。けれど、ラウラは自信満々なのか、今度は腕を組んでいる。
「それじゃあ、いくよ」
木々の間を吹き抜ける風が、ゴールデンシャワーの花房を揺らし、ラウラの紺色のワンピースの裾をひるがえした。
その時、初めてラウラは下を見たのだろう。得意げだった表情に影がさした。
「……こわい」
ぽつりとこぼした声は、あまりにも小さくて。吞気に飛ぶ白い蝶が、気にもせずにラウラの前を横切った。
「たかいよぉ。こわいよぉ」
「大丈夫だから、ラウラ。ちゃんと手すりを持てば問題ない」
「ゆっくりなら、怖くないですよ。ちゃんと涙を拭いて、まずはそこから動かないで」
うっうっ、とラウラは嗚咽を漏らしている。
「だって、たかいんだもん」
(無理もないわ。滑り台なんて遊具は、ラウラさんも初めてでしょうし、高さもあります)
唇を噛みしめて、ぽろぽろと涙をこぼすラウラを見ているのはつらい。
「ラウラ。座ってごらん」
オリヴェルが声を張り上げた。
「私とエレオノーラで、ラウラの手をつなぐから。そうすれば、怖くないぞ」
「ほんとうに?」
答えるラウラの声は震えている。父の言葉を信じてはいるが、慣れぬ高さに動く勇気が出ないようだ。
(そうだわ)
エレオノーラは閃いた。
「ラウラ。これを巻いてもいいですか? 勇気の出るお守りですよ」
母の形見であるリボンを、エレオノーラは取りだした。義妹のダニエラが、ずっとしまい込んでいたからだろう。十年以上経っても、リボンも刺繍されたスズランもスミレの花も色あせずにいる。
ラウラのほそい手首に、エレオノーラはリボンを結んだ。
「かわいい」
ぽつりとラウラが呟いた。
布や糸を売る店でも、かわいさに惹かれて迷子になったほどだ。きっと気を逸らすことができる。
エレオノーラの読みは当たった。
「わたしは、ラウラの左手をつなぎますね。オリヴェルさんが、右手をつないでくれますよ。だから、まずは座ってくださいね」
「わかった。ぜったいにはなしちゃダメだよ」
ラウラは、滑り台のてっぺんですとんと座った。
「ええ、離しませんよ。しっかり握っていてくださいね」
「さぁ、行くぞ。ラウラ、少し前に進んでごらん」
「うんっ」
大好きな両親二人に手をつながれて、ラウラは滑った。とてもゆっくりと。
風がラウラのはちみつ色の髪を撫でる。上にゆっくりと流れていく庭の景色を、ラウラは目を輝かせて見ていた。
涙の名残で、緑の瞳がきらきらと光っている。
「もっとすべってもいい?」
「もちろんだ」
オリヴェルは満面の笑みで答えた。
客室には、すでにエレオノーラ達の荷物が運び込まれている。
ふかふかのカーペットが敷かれたリビングルームには、上質なソファーや椅子が置かれている。
護衛は、隣の続き部屋にいる。廊下に出ずとも、扉を開けばこの部屋とつながっているようだ。
窓の外のバルコニーは広く、外にもテーブルと椅子があった。
「バルコニーが、わたしの屋根裏部屋よりも広いです」
「ラウラねー、おそとでねるの」
海を眺めて、なかなか部屋に戻ってこないエレオノーラとラウラを、オリヴェルが迎えに来た。
「こんなところで寝たら、海に落っこちるぞ」
運ばれてきたウェルカムドリンクを、オリヴェルはバルコニーのテーブルに置いた。
「わぁ。オレンジジュースだ」
「こぼさないようにな。エレオノーラは酒は飲めるかな」
椅子に座ったラウラにグラスを渡しながら、オリヴェルが問いかける。
「飲んだことがないんです」
「それなら、少しにしておいた方がいいかな」
エレオノーラは、お礼を言ってからグラスを手にした。
細長いグラスはとても繊細で、まるで芸術品のよう。満たされたルビー色のお酒は、微細な泡が連なっては消えていく。
「おいしいです」
「よかった。カシスのリキュールを炭酸で割ったものだ」
音を立てぬよう、そっとグラスをテーブルに置くエレオノーラを、オリヴェルが向かいの席から見つめている。
視線がまっすぐで恥ずかしい。
(もしかして、マナーがなってないのかしら。これまで飲み物といえば、ほとんどお湯でしたから)
「やはりあなたは、幼い頃に行儀作法を教えられているだろうから。手の動きがきれいだな。これまで何度か食事を一緒にとったが、エレオノーラと一緒だと、とても心地がいいんだ」
「あ、ありがとうございます」
エレオノーラは頬が染まるのを感じた。ほんの少しのアルコールのせいじゃない。オリヴェルに見つめられるのが恥ずかしいのだ。
(これまで急ぐように家を出て、服を仕立てたり、お母さまの実家の公爵家にも挨拶に行ったりと、息つく暇もありませんでした)
乗船して落ち着いて。エレオノーラは、オリヴェルの妻となることの実感が、ようやく込み上げてきた。
(わたしはオリヴェルさまとラウラと共に生きていくんだわ)
テーブルにのせたエレオノーラの手に、オリヴェルが手を重ねる。出港を知らせる汽笛が長く鳴る。
「わー、動いたよ。すごーい」
「ラウラさん。いえ、ラウラはこちらに来るときも船に乗ったのでしょう?」
空になったグラスを置いて、ラウラは手すりの間から外を眺めている。
「あのね、ラウラね。たのしみすぎて、まえのよるにねむれなくて。それでね、おぼえてないの」
「この子は、乗船したとたんに熟睡してしまったんですよ。だから、初めてのようなものですね」
オリヴェルは苦笑した。
水平線は、まだ夕暮れの余韻を残している。港が明るいからなのか、宵なのにカモメが鳴いている。
オリヴェルは、琥珀色のウイスキーが満たされたグラスを手にした。
そのまま、エレオノーラに顔を近づける。
グラスに隠された、ほんの触れるだけのキス。まるで海風が、唇を撫でたかのようだった。
数瞬後、生まれて初めてのキスだと、エレオノーラは気づいた。
顔どころか、耳まで熱くなる。耳たぶが燃えている。
「あの、あの……」
「内緒ですよ」
エレオノーラの唇の前に、オリヴェルが人さし指を添えた。
「なにがないしょなのー?」
「ん? 内緒は内緒だから、内緒というんだ」
振り返ったラウラに、オリヴェルはとぼけている。
ラウラという子どものいる結婚だから。エレオノーラは、母の役を求められているのだと思っていた。
(どうしてこんなに顔が熱いの? 心臓がバクバクと音を立てるの?)
エレオノーラは苦しくて、ぎゅっとまぶたを閉じた。
その感情に「初恋」という名があることを、エレオノーラは知らなかった。
◇◇◇
エレオノーラが嫁いで、二か月が過ぎた。
ユーゲンホルムは夏の盛りで、海を見下ろす高台にあるシルヴァ侯爵家の庭は花であふれている。
ゴールデンシャワーと呼ばれる黄色い花が、まるで降りしきる雨のように頭上を覆う。その木の下に、子ども用のすべり台が設置されている。
最近ユーゲンホルムで発明された遊具らしい。高さはオリヴェルの肩くらいだ。
「わざわざ高いところから、滑り落ちるのですか」
エレオノーラは、日光を反射する銀の滑り面に手で触れた。午後の光に照らされて、てのひらがじんわりと温かい。
「見ててね、おとーさま、おかーさま」
小さなはしごを昇り、てっぺんでラウラが両手を上げた。
嫁いですぐに、ラウラはエレオノーラのことを「おかあさま」と呼んでくれた。そう呼ばれるたびに、胸の奥にも陽が差し込むような心地がした。
再婚ということもあり、ほとんど参列者のいない結婚式だった。
でも、それがエレオノーラにはありがたかった。きっとオリヴェルも、彼女の境遇を考えての式だったのだろう。
「ラウラはゆうかんなので、てをはなしてすべります」
「無理はしなくていいぞ。ちゃんと手すりを持ちなさい」
「そうよ、ラウラ。ゆっくりでいいのよ」
オリヴェルとエレオノーラがおろおろと声をかける。けれど、ラウラは自信満々なのか、今度は腕を組んでいる。
「それじゃあ、いくよ」
木々の間を吹き抜ける風が、ゴールデンシャワーの花房を揺らし、ラウラの紺色のワンピースの裾をひるがえした。
その時、初めてラウラは下を見たのだろう。得意げだった表情に影がさした。
「……こわい」
ぽつりとこぼした声は、あまりにも小さくて。吞気に飛ぶ白い蝶が、気にもせずにラウラの前を横切った。
「たかいよぉ。こわいよぉ」
「大丈夫だから、ラウラ。ちゃんと手すりを持てば問題ない」
「ゆっくりなら、怖くないですよ。ちゃんと涙を拭いて、まずはそこから動かないで」
うっうっ、とラウラは嗚咽を漏らしている。
「だって、たかいんだもん」
(無理もないわ。滑り台なんて遊具は、ラウラさんも初めてでしょうし、高さもあります)
唇を噛みしめて、ぽろぽろと涙をこぼすラウラを見ているのはつらい。
「ラウラ。座ってごらん」
オリヴェルが声を張り上げた。
「私とエレオノーラで、ラウラの手をつなぐから。そうすれば、怖くないぞ」
「ほんとうに?」
答えるラウラの声は震えている。父の言葉を信じてはいるが、慣れぬ高さに動く勇気が出ないようだ。
(そうだわ)
エレオノーラは閃いた。
「ラウラ。これを巻いてもいいですか? 勇気の出るお守りですよ」
母の形見であるリボンを、エレオノーラは取りだした。義妹のダニエラが、ずっとしまい込んでいたからだろう。十年以上経っても、リボンも刺繍されたスズランもスミレの花も色あせずにいる。
ラウラのほそい手首に、エレオノーラはリボンを結んだ。
「かわいい」
ぽつりとラウラが呟いた。
布や糸を売る店でも、かわいさに惹かれて迷子になったほどだ。きっと気を逸らすことができる。
エレオノーラの読みは当たった。
「わたしは、ラウラの左手をつなぎますね。オリヴェルさんが、右手をつないでくれますよ。だから、まずは座ってくださいね」
「わかった。ぜったいにはなしちゃダメだよ」
ラウラは、滑り台のてっぺんですとんと座った。
「ええ、離しませんよ。しっかり握っていてくださいね」
「さぁ、行くぞ。ラウラ、少し前に進んでごらん」
「うんっ」
大好きな両親二人に手をつながれて、ラウラは滑った。とてもゆっくりと。
風がラウラのはちみつ色の髪を撫でる。上にゆっくりと流れていく庭の景色を、ラウラは目を輝かせて見ていた。
涙の名残で、緑の瞳がきらきらと光っている。
「もっとすべってもいい?」
「もちろんだ」
オリヴェルは満面の笑みで答えた。
15
あなたにおすすめの小説
私、いじめなんてしてません!
ばぅ
恋愛
ヴァレンティア王国の妾腹の王女・アリアは、正妃の娘である腹違いの妹ミリアナから「平民の娘」「妾の子」と蔑まれながら育ってきた。
和平の証として、二人は隣国アルメリア王国へ“留学”という名の人質として送り込まれる。
学園、生徒会、夜会――
人前では“いじめられたかわいそうな妹”を演じるミリアナと、黙ってそれを受け流すだけの「地味で妾腹の姉」。
だがアリアは、もう二度と「予備」として扱われる気はない。
この国で、自分だけの居場所と未来を手に入れるために、静かに盤上の駒を並べ始める。
華やかな王宮と学園を舞台に、妾腹の王女が“悪役”の座を引き受けながらも運命を書き換えようとする、少しダークで甘い物語。
⚫︎カクヨム、なろうにも投稿中
善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
【完結】義妹に全て奪われた私。だけど公爵様と幸せを掴みます!
朝日みらい
恋愛
リリアナは美貌の義妹イザベラにすべてを奪われて育ち、公爵アルノーとの婚約さえも破棄される。
役立たずとされて嫁がされたのは、冷徹と噂される公爵アルノー。
アルノーは没落した家を立て直し、成功を収めた強者。
新しい生活で孤立を感じたリリアナだが、アルノーの態度に振り回されつつも、少しずつ彼の支えを感じ始め――
何も決めなかった王国は、静かに席を失う』
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、
表には立たず、裏で国を支えてきた公爵令嬢ネフェリア。
だが――
彼女が追い出されたのは、嫉妬でも陰謀でもなかった。
ただ一つ、「決める役割」を、国が彼女一人に押しつけていたからだ。
婚約破棄の後、ネフェリアを失った王国は変わろうとする。
制度を整え、会議を重ね、慎重に、正しく――
けれどその“正しさ”は、何一つ決断を生まなかった。
一方、帝国は違った。
完璧ではなくとも、期限内に返事をする。
責任を分け、判断を止めない。
その差は、やがて「呼ばれない会議」「残らない席」「知らされない決定」となって現れる。
王国は滅びない。
だが、何も決めない国は、静かに舞台の外へ追いやられていく。
――そして迎える、最後の選択。
これは、
剣も魔法も振るわない“静かなざまぁ”。
何も決めなかった過去に、国そのものが向き合う物語。
第一王子様が選んだのは、妹ではなく私でした!
睡蓮
恋愛
姉妹であるクレアとミリア、しかしその仲は決していいと言えるものではなかった。妹のミリアはずる賢く、姉のクレアの事を悪者に仕立て上げて自分を可愛く見せる事に必死になっており、二人の両親もまたそんなミリアに味方をし、クレアの事を冷遇していた。そんなある日の事、二人のもとにエバー第一王子からの招待状が届けられる。これは自分に対する好意に違いないと確信したミリアは有頂天になり、それまで以上にクレアの事を攻撃し始める。…しかし、エバー第一王子がその心に決めていたのはミリアではなく、クレアなのだった…!
お姉様のお誕生日を祝うのが、なぜ我儘なの?
月白ヤトヒコ
ファンタジー
健康で、元気なお姉様が羨ましかったの。
物心付いたときから、いつも体調が悪かった。いつもどこかが苦しかった。
お母様が側にいてくれて、ずっと看病してくれた。お父様は、わたしのお医者様の費用やお薬代を稼ぐのが大変なんだってお母様が言ってた。
わたし、知らなかったの。
自分が苦しかったから。お姉様のことを気にする余裕なんてなかったの。
今年こそは、お姉様のお誕生日をお祝いしたかった……んだけど、なぁ。
お姉様のお誕生日を祝うのが、なぜ我儘なの?
※『わたくしの誕生日を家族で祝いたい、ですか? そんな我儘仰らないでくださいな。』の、妹視点。多分、『わたくしの誕生日を~』を先に読んでないとわかり難いかもです。
設定はふわっと。
「妹より醜い」と言われていた私、今から龍の神様と結婚します。〜ウズメの末裔令嬢の結婚〜
麻麻(あさあさ)
恋愛
妹より醜いと呼ばれていた双子の姉私、深子(みこ)と美しい妹の舞華(まいか)2人は天鈿女命の末裔だったが舞の踊り手は妹だった。
蔑まれる中、雷龍(らいりゅう)と言う雷を操る龍が言い伝え通りに生贄同然で結婚の話を聞かされる。
「だったらお姉様がお嫁にいけばいいじゃない」
と言われる中、雷龍がいる場所に生贄のつもりで行くが彼は優しく深子に接してくる。
今作はカクヨムに載せていたものを改題した作品です。
お姉様は嘘つきです! ~信じてくれない毒親に期待するのをやめて、私は新しい場所で生きていく! と思ったら、黒の王太子様がお呼びです?
朱音ゆうひ@『桜の嫁入り』発売中です
恋愛
男爵家の令嬢アリシアは、姉ルーミアに「悪魔憑き」のレッテルをはられて家を追い出されようとしていた。
何を言っても信じてくれない毒親には、もう期待しない。私は家族のいない新しい場所で生きていく!
と思ったら、黒の王太子様からの招待状が届いたのだけど?
別サイトにも投稿してます(https://ncode.syosetu.com/n0606ip/)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる