【改稿版・完結】その瞳に魅入られて

おもち。

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本編

第五十話 思わぬ再会②



 ノアと手を繋ぎ雑貨屋までの道のりを他愛もない話をしながら進んでいくと、パン屋のマーサさんや、果物屋のローガンさんの店が見えてきた。
 マーサさんとローガンさんの二人に挨拶をし終わると突然ノアが口を開いた。

「……ジェームズはいいのか」
「え、ジェームズ?ノアの知り合い?」
「いや、何でもない」

 何でもないと言いながらも楽しそうに笑うノアを不思議に思いながらも、私は話題を変える為言葉を続けた。

「そう言えば、ローガンさんの店の隣はなんですって。ここは立地もいいのに不思議よね」
「ぷっ……ふっ……ああ、本当に不思議だな」
「ノア?」
「ああ、すまない。たださ、案外ずっといるかもしれないだろ?誰の目にも映らないだけで」
「?ノアの言ってる事は難しいわ」
「リアは分からなくていいんだよ」

 そう言って優しく頭を撫でてくれるノアに、私はこれ以上何も言う事が出来なかった。
 ノアに手を引かれ空き地を通り過ぎようとした瞬間、微かだが聞き覚えのある声がした。その声に咄嗟に振り返ろうとした私の手を、ノアが優しく引いた。

「リア、ほら行こう」

 何故その声に聞き覚えがあるのか疑問に思ったが、すぐに私の意識はこれから向かう雑貨屋へと移っていった。
 雑貨屋へ着いた私達は、今日の目的だった品物をいくつか見て回り、最終的にはノアが選んでくれた小物入れと髪留めを購入し店を後にした。

 店を出て空を見上げると、だいぶ日が傾いてきていた。この後 ノアが面白い所へ行こうと言うので私はその言葉に頷き、素直に着いて行く事にした。

 ノアが言うには、今日はこの先の広場で催しが行われているらしい。
 話しながら家とは反対方向へ向かって歩いて行くと、行き交う人々が皆手にランタンを持っている事に気が付いた。

「ねぇノア。あの人達はどうして皆ランタンを手に持っているの?」
「ああ、今日は今から行く広場でランタンを空に飛ばす催しがあるんだ」
「空に飛ばす……そんな事出来るの?」
「出来るみたいだな。あ、ほらあれを見てみろ」

 そう言ったノアの指差す方を見ると、淡いオレンジ色の光を灯したランタンを、次々に空へ飛ばす人達が目に入って来た。
 そのまま空を見上げれば目の前には見た事のない幻想的な光景が広がっていた。

「……綺麗」

 陽が落ちる空に舞う淡いオレンジ色の光は、まるで別世界への入口の様だった。
 こんなにも心を鷲掴みにされるような光景を私は見た事がなかった。
 それと同時に何故だかふと自分が手放した人達の顔が浮かんだ。
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