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解決への道
しおりを挟む「ようやく来たか! 待ちくたびれたぞ!」
魔鏡の前で仁王立ちしているアルが大声でそんなことを言っているのを聞き、僕は再び頭痛がしてきていた。
開かずの扉の部屋を後にした僕と奈央は、外で立ち寝しているレイと合流し、ここまでやってきた。その間に情報交換も済ませ、今は屋上に向かう途中だった。
ちなみに、アルを探そうという気はさらさらなかった――
「もしかして……迎え、待ってた?」
「違ああああぁぁぁぁう! 『魔鏡の残像』の謎が解けたのだ!」
レイの言葉に反応しつつも、アルは自慢げに言い切った。
「え? 嘘でしょ!? アルが???」
思わず僕が驚くと、アルが紅い瞳を楽しげに細め、魔鏡の方を見るように促す。
「この私が嘘を言うものか! ふむ、ちょうど良い頃に来たな。月が顔を出してきたようだ」
月明かりに照らされ、辺りが仄かに明るくなり始めると、魔鏡にも淡い光が灯った。そして、徐々に鏡の中に何かの輪郭が見えてくる。
「え? これ……」
あまりの美しさに息を呑む。
鏡の中に映し出されたのは、ドレスを身に纏い、優しげに微笑む美女の姿だった。長い髪が舞い、両手は僕らを包み込むように広げられている。
僕らがそれに見とれていると、不意に明るい声が響いた。
「綺麗だろう? この鏡は反対側にある絵画の『未知』と繋がっているんだよ」
声の方へと視線を向けると、階段の手すりに田辺先生がもたれかかっていた。
「知っていたんですね」
奈央が非難の視線を送る。彼の後出しぶりに随分御立腹のようだ。目が笑っていない。
「これにはさすがに気付かねーと思っていたんだよ。まあ、気付いちまったんなら、説明してやるよ」
全く悪びれもせず、田辺先生は笑った。
「ここには壁がないんだよ。だから、この作品をはめ込んで、研究棟側には絵画、もう一方の棟側には鏡がくるように出来るんだ」
(ああ! だから、こんな所から隙間風が発生したんだ)
「この作品は二重構成になっていて、絵画側から月明かりが差し込むと、こうやって鏡に美女が現れるんだ」
「それって、月明かり限定なの?」
「いや、明かりなら何でも大丈夫だ。だが、日中は周りが明るすぎるから見えないんだよ」
僕の問いかけに律儀に答えてくれる彼の言葉に耳を傾けながらも、もう一度鏡の方を見る。中の美女は、淡い光によってその像を結んでいる。これは、辺りが暗いからこそ、こんなにもはっきりと見えるのだろう。
「まあ、原理は窓ガラスみたいなもんだよ。要は、明るい方の像が目に映り込みやすいって事だ」
彼が説明をまとめるのを見計らったかのように辺りが暗くなる。月が雲に隠れてしまったようだ。それに伴い、鏡の像も消えてしまった。
「それよりも……出そろったんじゃないのか?」
「はい。もう、大体の見当はつきました」
田辺先生の楽しそうな問いかけに、僕は答える。
(そう、もう真相は分かるはず。新井の失踪も七不思議の謎も……)
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