イレギュラー探偵事務所☆大学七不思議とスケープゴート

雪音鈴

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さあ、推理の始まりだ

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 アルが勢いよく屋上の扉を押し開けると、僕達の目的の人物がいた。

「あれ? 奈央ちゃん達も来たの?」

 橘が目を丸くしてこちらに視線を送ってくる。『も』と言うのは屋上の様子を示しているらしい。橘の他には、最上、小瀬、高杉が屋上にいた。

「うん、優衣ちゃんに早く話しておきたくってね! 待てずに来ちゃった!」

 奈央の言葉に、僕達と一緒にやってきた田辺先生が集まった面々の顔を楽しげに見る。

「それにしても、上手い具合に集まったな……」

「フハハハ、やはりこうでなくてはな! うむ、それでは諸君、これから私の推理を披露してやろう!!!」

 いつものように、決めポーズをしながらアルが高らかに言う。

「推理? 何か分かったんですか?」

 屋上の壁際にいた小瀬がおずおずと尋ねてきたので、僕は頷いた。

「はい。これから順を追って説明していきますね。それじゃあ、まず、小瀬さん。あなたについて」

「え? おおお俺?」

 小瀬がそわそわと居心地が悪そうに言うのを見て、レイが呟く。

「うん……今日、怪しい行動いっぱいだったから……」

 僕はその言葉を受け、話を続けた。

「今日、僕達が訪ねた後、あなたは屋上に行こうとする僕らを止め、ここの滑車の先に取り付けられていた運送用の箱を落としに来ましたよね?」

「しかも、私達が屋上から帰ってくるのを見計らって、わざとコーヒー豆の瓶を割っただろう?」

 アルの発言に、小瀬が動揺する。

「あ、あれはわざとなんかじゃ!」

「いいえ、わざとです。まず、豆の散らばり方がおかしかったのと……コーヒーミル等の機材が出ていなかったのが不自然なんですよ」

 奈央の瞳が獲物を狙う猫のように爛々と輝いている。レイは風で舞う灰色の髪をゆったりと払いながら気怠気な視線を小瀬に向けた。

「コーヒーミルがないと……豆は挽けない。でも、テーブルの上には……カップだけ」

「そんな状態では、コーヒーは飲めないという事になるな!! 普段、コーヒーを飲まないのがあだとなったな!!!」

 アルがマントを翻し、まるで諦めろと言うようにニヤリと笑う。小瀬は言葉を詰まらせ、やがて震える声で呟いた。

「う……あ、はい、わ、ざと――でした。俺、もっぱら紅茶派で、コーヒーなんて普段飲まないんです。でも、茶葉の瓶はどうしても割れなくって……」

 小瀬が悲しげに笑う。

「自白します。俺は……いや、俺こそが――」
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