新撰組と優しい鬼のどたばた日常

苺姫 木苺

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「ひっじかったさーん!多分強い人連れて来ました!」
「総司!うるさい!静かにできねぇのか!!」
「わーぉ。土方さん激おこだー!」

なんだろう。ものすごく帰りたくなって来た。

「で?多分強い人ってどういうことだ?」
「あ、そうです!神木翼さんです!で、神木さんこの人は土方歳三です!」
「目上を呼び捨てか?!てか、多分じゃなくて強い人だ。神木さんは」
「え?土方さん、神木さんのこと知ってるんですか?」

なんだろう。漫才を観させられてるみたいだ。

「当たり前だ。神木道場の師範代だからな。この人は」
「えー!?それ、僕知りませんでした」
「なるほど。だから、僕を強い人と断言しなかったのですね」
「神木さん、総司がすみません」
「いえ。大丈夫です」

鬼の副長と言われるこの人の事だから、礼儀はあまり良くないかとおもったが礼儀正しいな。

「なら、強い人なら新撰組に入って貰いましょうよ!」
「そうして貰えると嬉しいが、多分神木さんは入ると言わねぇぞ」
「え?!どうしてですか?!」

沖田は子どもっぽいな。土方は僕の事情を知っているみたいだから答えを知っているようだな。

「すみません。僕は師範代としての仕事もありますし、子ども達を見守らねばならないのですよ」
「えー!そんなー!」
「総司無理言うな。神木さんは孤児の子どもを拾っては育てているからな」
「……そう、なんですね。でも、試合はして貰えないでしょうか?」
「試合、ですか…」

さて、試合か。面倒臭いからしたくはない。が、沖田の表情からして断れる気もしない。仕方ない1回だけするか。

「はぁ……仕方ないですね。1回だけならいいですよ」
「本当ですか?!ありがとうございます!じゃ、早速道場行きましょ!」
「あ、おい!総司!!…たく、神木さん本当にすみません」
「いえ、大丈夫ですよ。本当にしたくなかったらやらないので」

ここが、新撰組屯所の道場。なんというか、普通だな。だが、匂いが汗臭い。あー帰りたい!面倒臭い!なんで、僕が…

「じゃ、そこの木刀使って下さい!早くやりましょ!」
「分かりました。よろしくお願いします」
「なら、俺が審判をする」
「土方さんよろしくお願いしまーっす!」

周りに人が多いな。隊士下がらせてくんないかな…

「では…始め!」

周りはシーンとしている。音は僕と沖田の木刀がぶつかり合う音だけ。
へぇ、なかなか人間にしては筋がいいな。人間なのが勿体ない。噂の三段突き出すかな?

「…神木さん!凄くお強いですね~」
「それは、どうもありがとうございます」

さて、そろそろ勝負をしかけようか。早く終わらせたいしな。
ん?沖田も勝負を仕掛けてきたみたいだしやるか。
沖田が三段突きを出し僕の木刀とぶつかった瞬間、沖田の木刀が吹っ飛んでいった。
そして、ボクの次の動作足払いをし転ばせてから、木刀を沖田の首に軽く当てる。

「…負けました」
「そこまで!」
「ありがとうございました」

周りはあの沖田さんが負けるなんてと言っていた。こいつは今まで負け無しだったのか?

「神木さん!もう1回!試合お願いします!」
「嫌です。帰ります。土方さんそして、皆さん道場をお貸し頂き有難うございました。では、帰ります」
「あ、ちょ!まっ…」

沖田が何か言っていたが気にせず道場を出た。
あ、もう夕方だ。今日の夕御飯はなんだ?
腹がめちゃくちゃ減ったー!


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