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藍祐介と神野樹
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全てが終わった。
さっきまでの壮絶な魔法のぶつかり合いとは、真逆の静穏が辺りを支配している。
山本君以外の二人は、ここから逃げていき。
山本君は、藍君に何かされてからめっきり動かなくなった。
そして――藍君は、僕の前に居る。
前と同じように身体も顔も白く、足元もふらついていて、立っているのも辛そうで。
それでも――藍君は、真っ直ぐ僕を見て口を開く。
「お前は、俺が――」
言い終える前に、前に倒れて……僕はその藍君を支えるように抱き止める。
さっきまで炎を纏っていたとは思えないような、冷たい身体だった。
「……んん……」
温めるように抱き締めると、藍君は少し心地よさそうな声を出す。
僕はそのまま、ゆっくりと藍君を楽な体勢に下ろしていった。
僕の膝に預ける藍君の顔を見て、さっきまでの不安が一気に溶けていく。
山本君の最後の魔法は、本当にまともに受けていたらどうなってもおかしくない……そんな威力と規模の魔法だった。
それを打ち消した藍君の炎もまた、尋常ではない魔法なんだろう。
……本当に、良かった。
本当に。
「藍、君、ありがとう」
その言葉は……自然と、僕の口から出た。
ふと見れば、腕、足、顔も傷だらけで。
僕の為に、こんなになってくれたんだよね。
「……」
僕がホーリーヒールを発動すると、藍君の傷は癒えていく。
……僕は、固有能力のおかげか回復魔法が得意なんだろう。
魔力を回復出来たのも多分、そのおかげ。
――でも、もし。
僕が回復魔法が得意じゃなかったとしても、補助魔法が苦手だったとしても……きっと僕は
藍君に今と同じ事を思っただろう。
『僕は、もう藍君のモノだから』
今までずっと僕を助けてくれて、身を挺してまで僕を守ってくれた藍君へ、僕の全てをあげたいんだ。
回復魔法、補助魔法とか、関係ない。
藍君に出来ることなら僕は、どんなことでも――
「……ぐ……」
苦しそうな声を出す藍君。
魔力回復しないと……何やってるんだ僕は。
急いで藍君を上半身で抱いて、前と同じ魔力を藍君に移動するイメージを行う。
「『魔力回復』」
まだ慣れてない魔法のため、小さく詠唱した。
「……っ」
次の瞬間、大量の魔力が……藍君の方に移動していく感覚。
厚い橙色の魔力が藍君の病人のような白い肌を包み、一瞬で色素が戻っていった。
――違和感。
前は僕の全身で、何回もイメージして、唱えてやっとだったのに。
僕の中で、一体何が――
「あ」
突如の藍君の声で、頭が覚める。
同時に……こうやって一対一な状況が久しぶりで、頭が真っ白になってしまった。
「ご、ごめんな」
藍君は、謝りながら立ち上がる。
別にこのままでも全然良い、むしろもっとしてたいんだけど……。
「そっか、ありがとな。……取りあえず帰ろう」
僕が顔を横に振るとそう言い、手を差し伸ばす藍君。
僕はその手を握り、立ち上がる。
「……」
何となく藍君と離れてしまう気がして、そのまま手を握ったままにしてしまった。
「行くか」
僕が離すのを戸惑っている間に、藍君はそう言って出口を指差す。
頷いて、僕達はそのまま歩き出した。
……僕、今藍君と手を繋いで歩いてるんだよね。
僕が離さなかったからなんだけど、なんというか、恥ずかしいというか。
でも、藍君の手の温かさは、すごく落ち着いて――歩くうちに、恥ずかしさなんていつの間にか消えていた。
さっきまでの壮絶な魔法のぶつかり合いとは、真逆の静穏が辺りを支配している。
山本君以外の二人は、ここから逃げていき。
山本君は、藍君に何かされてからめっきり動かなくなった。
そして――藍君は、僕の前に居る。
前と同じように身体も顔も白く、足元もふらついていて、立っているのも辛そうで。
それでも――藍君は、真っ直ぐ僕を見て口を開く。
「お前は、俺が――」
言い終える前に、前に倒れて……僕はその藍君を支えるように抱き止める。
さっきまで炎を纏っていたとは思えないような、冷たい身体だった。
「……んん……」
温めるように抱き締めると、藍君は少し心地よさそうな声を出す。
僕はそのまま、ゆっくりと藍君を楽な体勢に下ろしていった。
僕の膝に預ける藍君の顔を見て、さっきまでの不安が一気に溶けていく。
山本君の最後の魔法は、本当にまともに受けていたらどうなってもおかしくない……そんな威力と規模の魔法だった。
それを打ち消した藍君の炎もまた、尋常ではない魔法なんだろう。
……本当に、良かった。
本当に。
「藍、君、ありがとう」
その言葉は……自然と、僕の口から出た。
ふと見れば、腕、足、顔も傷だらけで。
僕の為に、こんなになってくれたんだよね。
「……」
僕がホーリーヒールを発動すると、藍君の傷は癒えていく。
……僕は、固有能力のおかげか回復魔法が得意なんだろう。
魔力を回復出来たのも多分、そのおかげ。
――でも、もし。
僕が回復魔法が得意じゃなかったとしても、補助魔法が苦手だったとしても……きっと僕は
藍君に今と同じ事を思っただろう。
『僕は、もう藍君のモノだから』
今までずっと僕を助けてくれて、身を挺してまで僕を守ってくれた藍君へ、僕の全てをあげたいんだ。
回復魔法、補助魔法とか、関係ない。
藍君に出来ることなら僕は、どんなことでも――
「……ぐ……」
苦しそうな声を出す藍君。
魔力回復しないと……何やってるんだ僕は。
急いで藍君を上半身で抱いて、前と同じ魔力を藍君に移動するイメージを行う。
「『魔力回復』」
まだ慣れてない魔法のため、小さく詠唱した。
「……っ」
次の瞬間、大量の魔力が……藍君の方に移動していく感覚。
厚い橙色の魔力が藍君の病人のような白い肌を包み、一瞬で色素が戻っていった。
――違和感。
前は僕の全身で、何回もイメージして、唱えてやっとだったのに。
僕の中で、一体何が――
「あ」
突如の藍君の声で、頭が覚める。
同時に……こうやって一対一な状況が久しぶりで、頭が真っ白になってしまった。
「ご、ごめんな」
藍君は、謝りながら立ち上がる。
別にこのままでも全然良い、むしろもっとしてたいんだけど……。
「そっか、ありがとな。……取りあえず帰ろう」
僕が顔を横に振るとそう言い、手を差し伸ばす藍君。
僕はその手を握り、立ち上がる。
「……」
何となく藍君と離れてしまう気がして、そのまま手を握ったままにしてしまった。
「行くか」
僕が離すのを戸惑っている間に、藍君はそう言って出口を指差す。
頷いて、僕達はそのまま歩き出した。
……僕、今藍君と手を繋いで歩いてるんだよね。
僕が離さなかったからなんだけど、なんというか、恥ずかしいというか。
でも、藍君の手の温かさは、すごく落ち着いて――歩くうちに、恥ずかしさなんていつの間にか消えていた。
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