立日の異世界冒険記

ナイトタイガー

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0018.怪しい小屋

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 道に沿って歩きながら健は龍に質問した。もはや、知識豊富で高知能の龍は健にとっては先生である。
「しかし、突然現れたあのでかいゴブリンは何だったんだろうな。死んだ他のゴブリンを復活させる力もあったし。」
「誰かが魔法をかけて創りあげたのかも。」
「誰かが裏にいるのか。確かにあれは誰かがゴブリンどもを使って作った罠っぽかったよな。チビ助がいなければ、あの4人組は全滅してただろうし。」
「うん。誰かは分からないけど凄い強い人だと思うよ。」
 健は未知の敵を考えると今さらながら恐ろしくなった。少しでも強くなる方法を早く見つけなくてはまずい。
 4人組と別れてから30分ほど歩いたところで道は二つに分岐していた。分岐の一方は主流で今まで歩いて来た道に沿った方向にそのまま続いている。分岐の他方は主流から脇にそれる道であり、行き先を示す立札が設置されている。立札には手書きで何やら書いてある。
「何て書いてある。」
「うーん。合ってるか分からないけど、多分、雑貨屋って書いてあると思う。」
「え。森のこんなところで雑貨屋って。どういうことだ。」
 健は雑貨屋に少し誘惑されていた。異世界に来てから激しいイベントばかりに遭遇してきたので緊張感を薄れさせてくれる雑貨屋という響きがとても気になってしまうのである。幸いにしてチビ助も一緒だし大丈夫かな。
「よし。雑貨屋に行ってみよう。」
「何か食べ物あるかな。」
 龍はストレートに腹が空いたアピールをしてきた。確かにそろそろ夕方だ。夕食のことも考えないといけないな。健と龍は立札の道を先へと進んで行った。道は細かったが主流よりも小綺麗に整備されている。おかげで楽に進むことができた。
 200メートルほど進むと、前方に木でできた小屋が見えてきた。小屋の屋根にある煙突からは煙が立ち上っており、明らかに中に誰かいる。小屋の前には立札があり、先程の立札と同じ文字が書かれている。
「何か怪しいな。」
 分岐の立札を見た時から予想はしていたが、案の定、小屋は見るからに怪しかった。入口のドアは壊れていて修理はされていないし、窓には血の跡らしきものが付着している。
「こんな小屋に誰が来るんだろう。森に来た冒険者が立ち寄るんだろうか。」
「早く入ってみよう。」
 腹が減り過ぎたせいか、龍は小屋の入口に一直線に向かおうとした。健が慌てて龍を静止する。
「おい、おい。龍がいきなり入って行ったらビックリさせるだろ。」
「それはそうだね。」
「本当は先頭は嫌なんだけど、俺が先に入るからすみませんって声がけはチビ助に頼むよ。」
「分かったよ。」
「あと何かあったら助っ人頼むな。」
「オッケー。」
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