赤い髪の騎士と黒い魔法使い

カム

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新しい生活

2 順位

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 300人の合格者のうち、138位という事らしい。思ったより上の方でシンはほっとした。

 パンフレットによると、この学校は成績順にクラスが編成されるらしい。一クラス50人だからシンはCクラスという事になる。
 クラス委員長もそのクラスで一番順位の高い人がなるみたいで、シンが101位だったり151位だったりしたら委員長をやらされる所だった。Cクラスの中では真ん中あたりだし、けっこういい順位なのではないかと思えた。

 シンは荷物に入っていたえんじ色の制服をベッドに広げてみた。一年生はローブの裾が短く、上級生になるほど長くなる。
 試験の申し込みの時にサイズも申告していたのか、帽子とネクタイの他にシャツや靴もセットになっていた。

 小さな名札も入っている。シンの名前の横に138の数字。これをつけていたら順位は一目で分かってしまうだろう。徹底した実力主義というのは本当のようだ。

 制服を身に付けていると、ドアがノックされて母親が部屋にやってきた。

「シン、ミリアから聞きましたよ。よく頑張りましたね」

 いつもきりりとした母は、シンの制服姿を見て目尻を下げた。認められた事が嬉しい。

「あの……順位はそれほど上ではないのですけど」

「いいのよ。あなたが努力したことが大切なのです。制服、とっても似合っているわ。今日はお祝いをしなくてはね」

「ありがとうございます」

 シンが頭を下げると、母親の手が彼の頬を撫でた。

「……今日の気持ちを忘れては駄目よ」


***

 夕食はお祝いの料理が並ぶらしい。
 食事の時間の前には兄も帰ってきていたのでシンは呼びに行く事にした。ドアの前でノックをしたけど返事がない。

「兄さん、入るよ?」

 部屋は魔法の明かりがついていて、兄はベッドで眠っていた。
 着替えの途中で眠りこけたみたいに、脱ぎ捨てられたジャケットと靴。
 広いベッドの端には合格者へ贈られる騎士の制服が無造作に広げられていた。

 騎士の制服はシルバーだ。兄によく似合いそうだとシンは思う。

「兄さん、起きてよ。今日はお祝い料理だって」

 ベッドに腰かけて兄の肩を揺さぶる。
 そういえば試験が終わった日以来まともに話してない。

「……んー」

 眠っている兄は隙だらけだ。もう少し寝顔を見ていたい気もしたが、父と母を待たせるのも悪いので声をかけた。

「兄さん、みんな待ってるから……」

 兄が寝返りをうとうとしたので、真は制服がシワにならないようにベッドから移動させた。
 ポトリと何かが落ちる。名札だ。騎士も魔法使いと同じ名札のようだ。

 何気なく拾い、シンは名前の横の数字を目にした。
 アルフレッド、の横に1の数字。

「……え?」

 シンは思わず二度見していた。
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