58 / 92
実技試験
5 北エリア
しおりを挟む
四匹目の魔物になかなか遭遇することが出来ず、自称リーダーの指示によりシン達は移動する事になった。
「三匹で充分じゃねえの?」
というEクラスの騎士の言葉は黙殺され、もう一人の魔法使いは試験が始まってから一言も喋っていない。
「森の中の方が魔物が強いって話だ」
「強いっていっても大したことないだろ」
話しながら移動する騎士に、シンはついていくのが精一杯だった。騎士達はみんな体格が良く、それなりに筋肉が付いている。歩き回ることに慣れていて歩くのも速い。魔法の呪文や種類を覚えたり、勉強ばかりしている魔法使いとは体力が違う。
シンは実技試験が終わったら体力トレーニングもしようと心に決めた。
森に入ってしばらく歩くと、岩肌とフェンスが見えてきた。大きな岩がごつごつと並んでいて、間はフェンスで区切られている。
「もしかして、エリアの境界じゃないのか?」
シンももらった地図を開いてみた。自分たちはどうも北エリアとの境界にいるみたいだ。行き止まりだったので戻るしかないと思ったのは何故かシンだけだった。
「ちょっと柵を超えてみようぜ」
自称リーダーの言葉にシンは耳を疑う。
「いいな。東エリアの魔物弱すぎるしな」
「面倒くせえよ。ここでずっと休憩しようぜ」
騎士達が言い争っている。シンはおずおずと口論に参加した。
「あの……エリアは超えない方がいいと思います。地図もないし、怪我をしても僕の魔法じゃ……」
「うるせえな。臆病者は黙ってろ。リーダーは俺だって言っただろうが」
「でも、治療するのは僕だから……」
勇気を出して言うと、自称リーダーに襟首を掴まれた。Aクラスの魔法使い達に魔法書をボロボロにされた時の事を思い出して身体がすくむ。
「俺だって本当は北エリアに行ける実力があるんだよ。入学試験じゃ体調が悪かっただけだ。本当ならAかBクラスなんだよ」
それだけ言うと、騎士は岩を登り始めた。
「確かに北エリア、ちょっと興味あるよな」ともう一人の騎士がそれに続く。
「待ってください!」
シンが引き止めようと声をかけると、魔法使いに肩を叩かれた。
「放っておけば? 付き合う必要ないと思うね」
「そうだよ。俺たちの迷惑も顧みずに行ったんだ。そのうち痛い目にあって戻ってくるさ」
「でも……」
サイラスに、どんなに嫌いな相手でもチームはバラバラに行動するなと言われた事を思い出した。こんな事では絶対にいい成績は貰えない。嫌いな騎士二人でも放っておけなかった。
シンは二人を追って岩を登り始めた。
岩の上から眺めた北エリアは、東エリアとさほど風景が変わらないように見えた。高い柵で区切ってあるだけだ。
岩の下の離れたところに騎士二人がいるのが見えて、シンはほっと息をついた。
「えっ?」
騎士二人の前に何か生き物がいる。それに気づいて再び身体がこわばる。
それは黒と白の模様をした野生の獏だった。
「三匹で充分じゃねえの?」
というEクラスの騎士の言葉は黙殺され、もう一人の魔法使いは試験が始まってから一言も喋っていない。
「森の中の方が魔物が強いって話だ」
「強いっていっても大したことないだろ」
話しながら移動する騎士に、シンはついていくのが精一杯だった。騎士達はみんな体格が良く、それなりに筋肉が付いている。歩き回ることに慣れていて歩くのも速い。魔法の呪文や種類を覚えたり、勉強ばかりしている魔法使いとは体力が違う。
シンは実技試験が終わったら体力トレーニングもしようと心に決めた。
森に入ってしばらく歩くと、岩肌とフェンスが見えてきた。大きな岩がごつごつと並んでいて、間はフェンスで区切られている。
「もしかして、エリアの境界じゃないのか?」
シンももらった地図を開いてみた。自分たちはどうも北エリアとの境界にいるみたいだ。行き止まりだったので戻るしかないと思ったのは何故かシンだけだった。
「ちょっと柵を超えてみようぜ」
自称リーダーの言葉にシンは耳を疑う。
「いいな。東エリアの魔物弱すぎるしな」
「面倒くせえよ。ここでずっと休憩しようぜ」
騎士達が言い争っている。シンはおずおずと口論に参加した。
「あの……エリアは超えない方がいいと思います。地図もないし、怪我をしても僕の魔法じゃ……」
「うるせえな。臆病者は黙ってろ。リーダーは俺だって言っただろうが」
「でも、治療するのは僕だから……」
勇気を出して言うと、自称リーダーに襟首を掴まれた。Aクラスの魔法使い達に魔法書をボロボロにされた時の事を思い出して身体がすくむ。
「俺だって本当は北エリアに行ける実力があるんだよ。入学試験じゃ体調が悪かっただけだ。本当ならAかBクラスなんだよ」
それだけ言うと、騎士は岩を登り始めた。
「確かに北エリア、ちょっと興味あるよな」ともう一人の騎士がそれに続く。
「待ってください!」
シンが引き止めようと声をかけると、魔法使いに肩を叩かれた。
「放っておけば? 付き合う必要ないと思うね」
「そうだよ。俺たちの迷惑も顧みずに行ったんだ。そのうち痛い目にあって戻ってくるさ」
「でも……」
サイラスに、どんなに嫌いな相手でもチームはバラバラに行動するなと言われた事を思い出した。こんな事では絶対にいい成績は貰えない。嫌いな騎士二人でも放っておけなかった。
シンは二人を追って岩を登り始めた。
岩の上から眺めた北エリアは、東エリアとさほど風景が変わらないように見えた。高い柵で区切ってあるだけだ。
岩の下の離れたところに騎士二人がいるのが見えて、シンはほっと息をついた。
「えっ?」
騎士二人の前に何か生き物がいる。それに気づいて再び身体がこわばる。
それは黒と白の模様をした野生の獏だった。
0
あなたにおすすめの小説
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。
春雨
BL
前世を思い出した俺。
外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。
愛が重すぎて俺どうすればいい??
もう不良になっちゃおうか!
少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。
初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫です。
※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。
もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。
なるべく全ての感想に返信させていただいてます。
感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる