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旅行編 黄葉樹の街
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「間違いないんだろうな」
「は、はい。この先が黄葉樹の街です」
女の人が蚊の鳴くような声でそう呟く。無理もないと思う。森の中で魔獣に追いかけられた上に、変態(だけど凶暴な)男に出会って狭い牛車の荷台に乗せられているのだ。俺なら怖すぎて漏らすかもしれない。
本来なら俺が怖くないよと間に入るべきなんだろうけど、あんなプレイを見られたうえに今もアニキの膝の上に座らされてがっちり抱きしめられているから、恥ずかしすぎて目を合わせたり口をきくのも無理。恥ずかしくなくても、俺が何か話そうとするたびにアニキが俺の股間を握り込んできたり、胸の尖りに爪を立てられたりするからそもそも無理なんだけど。
かろうじて服は着せてもらったけど、荷台にはなんとも言えないエロい匂いが立ち込めてる。ちなみに御者台にいて手綱を握っているのはスグリさん。
「良かったな。今日は野宿をせずにすみそうだ」
『んっ、ん』
「あの、黄葉樹の街に着いたら私を解放してください……お礼なら差し上げますからどうか、どうか命だけは……!」
「心配するな。お前に興味はねえ」
アニキがそう言うと、女の人は心底ほっとした表情を浮かべた。
***
アニキのエロ攻撃に耐え、しばらく眠りに落ちてすこし体力が回復した。
目を覚ますとアニキは隣にいなくて、荷台には俺と若い女の人だけだった。足枷には久々に鎖が付けられて移動できないようになってる。といっても拘束されているのは俺だけで、女の人は何も付けられていない。隅の方に座って俺を見ていたのか、顔を向けると目が合った。
「あの……大丈夫ですか?」
『……は、はい』
気まずい。ガッツリ拘束されてよがってる変態プレイを見られたから。これ以上の気まずさってなかなか無い気がする。
「あなた、魔法契約で奴隷にされているの?」
『ええと……』
「胸の印、魔法でしょう?」
『そうです』
女の人はそこで声のトーンを一段と落とした。
「黄葉樹の街には魔法契約を専門に取り扱う魔法使いがいるの。もし逃げられたら、そこに行ってみて。契約を解除できるかもしれないわ」
『えっ?』
「酒場の裏の魔法道具屋にいるの。緑の魔法使いと呼ばれてる」
『……緑の魔法使い』
「私にはこれくらいしかできないけど、頑張って」
『ありがとう』
女の人は俺が無理やり奴隷にされていると思ってるみたいだけど、そうじゃ無いんだよな。だけど喜んでやってますというのも恥ずかしいし、優しい人なんだと思う。それにそんな魔法使いがいるなら、アニキの悪魔の契約をなんとかしてもらえるかも。
夕方近くになって森の中に灯りが見え始めた。黄葉樹の街は森の中の崖の近くにあるらしい。葉っぱの黄色い大木が街のシンボルだとスグリさんから聞いた。楽しみだな。
しばらくすると牛車は森の中の広場のような場所に停まった。土の広い道には黄色い葉っぱがたくさん落ちている。
アニキが御者台から降りて荷台にやってくると、俺の足の鎖を外す。
『着いたんですか?』
「ああ」
アニキに引っ張られて荷台から降りる。見上げれば黄色い葉をつけた巨木が、森の中の開けた場所に複数生えていた。想像するよりずっと大きな樹だ。高層ビルくらいの高さがある。樹と樹の間には吊り橋がかけられているし、足場が階段のように作られていてその上に建物が密集してる。まるで童話に出てくる小人たちの家みたいだ。後ろには大木と同じくらいの高さの崖があって、その先に道も続いているし滝も見える。
『すごい……』
来てよかった。桃花村の大木にもびっくりしたけど、この景色はそれ以上だ。
「あの……私はこれで。助けていただきありがとうございました」
女の人が震えながら俺たちに声をかける。アニキは女性を一瞥すると、近づいて髪を掴んだ。
『アニキ……!』
「もう一度俺の前に現れたら売るか殺す。分かったな?」
女の人はヒイッという声をあげて高速で頷いた。それから逃げるようにして去っていく。
『アニキ、酷いです。何もしてないのにあんなこと言うなんて……』
「ああいう女は厄介なトラブルを連れてくる。さっさと追い払った方がいい」
『優しい人なのにトラウマを植え付けなくても』
「追い払うのアニキの優しさ」
スグリさんが降りてきて笑った。確かに真っ当な人ならアニキと関わらない方がいいよな。
「スグリ、宿を探して来い。それから酒場で合流だ」
「分かった」
「ミサキ、道具屋へ行くぞ」
『道具屋?』
ここは美味しいご飯屋とかじゃないのか?
「お前に似合う飾りを買ってやる」
あ、そんなこと言われたの忘れてた。
「間違いないんだろうな」
「は、はい。この先が黄葉樹の街です」
女の人が蚊の鳴くような声でそう呟く。無理もないと思う。森の中で魔獣に追いかけられた上に、変態(だけど凶暴な)男に出会って狭い牛車の荷台に乗せられているのだ。俺なら怖すぎて漏らすかもしれない。
本来なら俺が怖くないよと間に入るべきなんだろうけど、あんなプレイを見られたうえに今もアニキの膝の上に座らされてがっちり抱きしめられているから、恥ずかしすぎて目を合わせたり口をきくのも無理。恥ずかしくなくても、俺が何か話そうとするたびにアニキが俺の股間を握り込んできたり、胸の尖りに爪を立てられたりするからそもそも無理なんだけど。
かろうじて服は着せてもらったけど、荷台にはなんとも言えないエロい匂いが立ち込めてる。ちなみに御者台にいて手綱を握っているのはスグリさん。
「良かったな。今日は野宿をせずにすみそうだ」
『んっ、ん』
「あの、黄葉樹の街に着いたら私を解放してください……お礼なら差し上げますからどうか、どうか命だけは……!」
「心配するな。お前に興味はねえ」
アニキがそう言うと、女の人は心底ほっとした表情を浮かべた。
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アニキのエロ攻撃に耐え、しばらく眠りに落ちてすこし体力が回復した。
目を覚ますとアニキは隣にいなくて、荷台には俺と若い女の人だけだった。足枷には久々に鎖が付けられて移動できないようになってる。といっても拘束されているのは俺だけで、女の人は何も付けられていない。隅の方に座って俺を見ていたのか、顔を向けると目が合った。
「あの……大丈夫ですか?」
『……は、はい』
気まずい。ガッツリ拘束されてよがってる変態プレイを見られたから。これ以上の気まずさってなかなか無い気がする。
「あなた、魔法契約で奴隷にされているの?」
『ええと……』
「胸の印、魔法でしょう?」
『そうです』
女の人はそこで声のトーンを一段と落とした。
「黄葉樹の街には魔法契約を専門に取り扱う魔法使いがいるの。もし逃げられたら、そこに行ってみて。契約を解除できるかもしれないわ」
『えっ?』
「酒場の裏の魔法道具屋にいるの。緑の魔法使いと呼ばれてる」
『……緑の魔法使い』
「私にはこれくらいしかできないけど、頑張って」
『ありがとう』
女の人は俺が無理やり奴隷にされていると思ってるみたいだけど、そうじゃ無いんだよな。だけど喜んでやってますというのも恥ずかしいし、優しい人なんだと思う。それにそんな魔法使いがいるなら、アニキの悪魔の契約をなんとかしてもらえるかも。
夕方近くになって森の中に灯りが見え始めた。黄葉樹の街は森の中の崖の近くにあるらしい。葉っぱの黄色い大木が街のシンボルだとスグリさんから聞いた。楽しみだな。
しばらくすると牛車は森の中の広場のような場所に停まった。土の広い道には黄色い葉っぱがたくさん落ちている。
アニキが御者台から降りて荷台にやってくると、俺の足の鎖を外す。
『着いたんですか?』
「ああ」
アニキに引っ張られて荷台から降りる。見上げれば黄色い葉をつけた巨木が、森の中の開けた場所に複数生えていた。想像するよりずっと大きな樹だ。高層ビルくらいの高さがある。樹と樹の間には吊り橋がかけられているし、足場が階段のように作られていてその上に建物が密集してる。まるで童話に出てくる小人たちの家みたいだ。後ろには大木と同じくらいの高さの崖があって、その先に道も続いているし滝も見える。
『すごい……』
来てよかった。桃花村の大木にもびっくりしたけど、この景色はそれ以上だ。
「あの……私はこれで。助けていただきありがとうございました」
女の人が震えながら俺たちに声をかける。アニキは女性を一瞥すると、近づいて髪を掴んだ。
『アニキ……!』
「もう一度俺の前に現れたら売るか殺す。分かったな?」
女の人はヒイッという声をあげて高速で頷いた。それから逃げるようにして去っていく。
『アニキ、酷いです。何もしてないのにあんなこと言うなんて……』
「ああいう女は厄介なトラブルを連れてくる。さっさと追い払った方がいい」
『優しい人なのにトラウマを植え付けなくても』
「追い払うのアニキの優しさ」
スグリさんが降りてきて笑った。確かに真っ当な人ならアニキと関わらない方がいいよな。
「スグリ、宿を探して来い。それから酒場で合流だ」
「分かった」
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『道具屋?』
ここは美味しいご飯屋とかじゃないのか?
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あ、そんなこと言われたの忘れてた。
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