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第4話 生きる意味とは
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ガトリー「さぁ!出発だ!」
ガトリーは重鎧に身を包み、手には大盾と大槍を持っている。
しかし、兜は見当たらず、ブロンドの逆立ったヘアースタイルがしっかりと整えられている。
2人は早朝の清々しい草原を歩いていた。
ボッチ「これから3日間歩くというのに、そんな重装備で大丈夫なのか?悪いことは言わない、せめて武器だけでも軽量化すべきだ」
ガトリー「かぁ~分かってねぇな旦那!重鎧に大盾と大槍、どんな攻撃も無効化するこの守備力!重歩兵にしか味わえないロマンだろうが!オレはたとえ火の中水の中、どんな状況だってこの装備で挑むつもりだぜ!つーか旦那、あんたも常人じゃ扱えない重量の特大剣を背負ってるじゃねぇか」
ボッチ「俺は別にこの剣を重いと思ったことはない。それに俺は防具を装備しないから、身軽だ」
ガトリー「かぁ~!そっちこそ悪いことは言わねぇ、今からでも鎧を着た方が良い!矢が飛んできたらどうするんだ?野盗って奴等はな、卑劣な戦い方を好むんだぜ?」
ボッチ「この巨剣は盾にもなる。問題ない」
ガトリー「旦那のことは頼りにしてるが、どうやら装備の価値観は相容れないらしいな。まぁ良い、お互いのスタイルを尊重していこうぜ、なんせ往復で1週間くらい一緒にいるわけだからな、がっはっはっは!!」
ガトリーは重装備の重さを感じさせない身軽な足取りで歩き出す。
その様子を見て、こいつはただ者ではないとボッチは認識した。
道中もガトリーは1人で延々と喋っていた。
相槌を打たなくとも会話を続けているので、ボッチは途中から無視していた。
しかし、ふと耳に入った質問が、スッとボッチの中へと入り込む。
ガトリー「そんで旦那はどうして冒険者をやってるんだ?やっぱり冒険者をやるからには、まだ見ぬ秘境やとっておきのお宝を求めてるんだろ?夢があるって最高だよな!」
ボッチ「夢は特にない。幼い頃から魔物の討伐で生計を立てていた、今もその延長でしかない」
ボッチの言葉に驚き、ガトリーは歩みを止めてオーバーリアクションをしている。
ガトリー「え、マジで言ってんの?冒険者やってて、そんな現実的に生きてる奴なんているのか!?おいおい旦那~冗談はその仏頂面だけにしてくれ」
ボッチ「俺にとっては普通のことだ。他の連中は夢を持って冒険者をやっているのか?」
ガトリー「そりゃそうだろ!命の危険があるってのに、大した稼ぎにならないんだから、割に合わないだろ?戦闘が好きな奴は野盗になるか、オレみたいに兵士になるかの2択だな。わざわざ冒険者をやる奴は、、、自由とロマンのために生きてるとしか思えない!実はな、オレも本当は冒険者になりたかったんだ。でも勇気がなかった!オレは安定を求めて兵士になることを選んじまった臆病者なのさ」
ボッチ「冒険者に夢なんてあるのか?俺には理解出来ない話だ。冒険者もただの仕事だ。やりたいのであればお前もやれば良い、勇気なんて必要ない」
飄々と語るボッチを見て、ガトリーは首を振った。
ガトリー「もし金を稼げなかったら、もし怪我をしてしまったら、もし命を落としてしまったら、、、その不安に打ち勝つのは勇気のいることだぜ。兵士は危険な仕事だと思われているが、実際はそうでもない。大きな戦なんて今のご時世起こらないからな。危険だと思われる任務には、それに適した人員が配置されるし、命を落とすなんてことは稀だ。でも冒険者は違う。いつだって死と隣り合わせ、そして、いつ金が稼げなくなってもおかしくない、旦那は怖くないのか?」
ボッチ「死ぬことは、そんなに恐ろしいことなのか?」
ボッチはいつ死んでも良いと思っていた。
家族も友人もいない、ガトリーの言うような夢やロマンもない。
死ぬ理由もなければ、生きる理由も特にない。
ボッチにとって死とは、恐怖の対象ではなかったのだ。
ガトリー「怖いに決まってんだろ、誰もが出来れば死にたくないと思ってるに決まってる!旦那ぁ~あんた変な人だな!」
ボッチ「そうか、お前は何のために生きているんだ?」
ガトリーは待ってましたと言わんばかりに胸を張って答えた。
ガトリー「オレか?オレの夢はこの世の悪を打ち滅ぼし、ヒーローになることだ!本当は冒険者としてその夢を果たしたかったんだが、、、まぁ、兵士としてもそれを成すことは出来る!今回の依頼は、その第一歩ってわけだ!」
ボッチ「それがお前の生きる意味なんだな」
ガトリー「その通り!もちろん、それだけじゃないぜ。友人たちとは死ぬまで騒いでいたいし、兵士として認められて騎士団長になりたいって願望もある!生きるための理由は数え切れない。だから旦那、あんたも何か生きる意味を見つけた方が良いぜ。その方が人生は圧倒的に楽しい!」
確かに、ガトリーは生きることを楽しんでいるように見える。
だが、これがあるから生きたい!これを成し遂げるために生きる!
そう決めるものをボッチは持ち合わせていなかった。
ボッチ「この歳になっても見つからなかったんだ。おそらく、俺は生きる意味を見つけられずに死んでいくのだろうな」
ガトリー「かぁ~!何悲しいこと言ってんだよ旦那!じゃあオレの夢を見届けるために生きるってのはどうだ!?オレを生きる理由にしてくれても良いぜ」
ボッチ「遠慮しておく」
ガトリー「そう言うと思ったぜ、、、」
夜も更けてきて、2人は野営の準備に取り掛かるのであった。
生きる意味、それはなんだ?
ボッチは作業をしながら、思考を巡らせていた。
ガトリーは重鎧に身を包み、手には大盾と大槍を持っている。
しかし、兜は見当たらず、ブロンドの逆立ったヘアースタイルがしっかりと整えられている。
2人は早朝の清々しい草原を歩いていた。
ボッチ「これから3日間歩くというのに、そんな重装備で大丈夫なのか?悪いことは言わない、せめて武器だけでも軽量化すべきだ」
ガトリー「かぁ~分かってねぇな旦那!重鎧に大盾と大槍、どんな攻撃も無効化するこの守備力!重歩兵にしか味わえないロマンだろうが!オレはたとえ火の中水の中、どんな状況だってこの装備で挑むつもりだぜ!つーか旦那、あんたも常人じゃ扱えない重量の特大剣を背負ってるじゃねぇか」
ボッチ「俺は別にこの剣を重いと思ったことはない。それに俺は防具を装備しないから、身軽だ」
ガトリー「かぁ~!そっちこそ悪いことは言わねぇ、今からでも鎧を着た方が良い!矢が飛んできたらどうするんだ?野盗って奴等はな、卑劣な戦い方を好むんだぜ?」
ボッチ「この巨剣は盾にもなる。問題ない」
ガトリー「旦那のことは頼りにしてるが、どうやら装備の価値観は相容れないらしいな。まぁ良い、お互いのスタイルを尊重していこうぜ、なんせ往復で1週間くらい一緒にいるわけだからな、がっはっはっは!!」
ガトリーは重装備の重さを感じさせない身軽な足取りで歩き出す。
その様子を見て、こいつはただ者ではないとボッチは認識した。
道中もガトリーは1人で延々と喋っていた。
相槌を打たなくとも会話を続けているので、ボッチは途中から無視していた。
しかし、ふと耳に入った質問が、スッとボッチの中へと入り込む。
ガトリー「そんで旦那はどうして冒険者をやってるんだ?やっぱり冒険者をやるからには、まだ見ぬ秘境やとっておきのお宝を求めてるんだろ?夢があるって最高だよな!」
ボッチ「夢は特にない。幼い頃から魔物の討伐で生計を立てていた、今もその延長でしかない」
ボッチの言葉に驚き、ガトリーは歩みを止めてオーバーリアクションをしている。
ガトリー「え、マジで言ってんの?冒険者やってて、そんな現実的に生きてる奴なんているのか!?おいおい旦那~冗談はその仏頂面だけにしてくれ」
ボッチ「俺にとっては普通のことだ。他の連中は夢を持って冒険者をやっているのか?」
ガトリー「そりゃそうだろ!命の危険があるってのに、大した稼ぎにならないんだから、割に合わないだろ?戦闘が好きな奴は野盗になるか、オレみたいに兵士になるかの2択だな。わざわざ冒険者をやる奴は、、、自由とロマンのために生きてるとしか思えない!実はな、オレも本当は冒険者になりたかったんだ。でも勇気がなかった!オレは安定を求めて兵士になることを選んじまった臆病者なのさ」
ボッチ「冒険者に夢なんてあるのか?俺には理解出来ない話だ。冒険者もただの仕事だ。やりたいのであればお前もやれば良い、勇気なんて必要ない」
飄々と語るボッチを見て、ガトリーは首を振った。
ガトリー「もし金を稼げなかったら、もし怪我をしてしまったら、もし命を落としてしまったら、、、その不安に打ち勝つのは勇気のいることだぜ。兵士は危険な仕事だと思われているが、実際はそうでもない。大きな戦なんて今のご時世起こらないからな。危険だと思われる任務には、それに適した人員が配置されるし、命を落とすなんてことは稀だ。でも冒険者は違う。いつだって死と隣り合わせ、そして、いつ金が稼げなくなってもおかしくない、旦那は怖くないのか?」
ボッチ「死ぬことは、そんなに恐ろしいことなのか?」
ボッチはいつ死んでも良いと思っていた。
家族も友人もいない、ガトリーの言うような夢やロマンもない。
死ぬ理由もなければ、生きる理由も特にない。
ボッチにとって死とは、恐怖の対象ではなかったのだ。
ガトリー「怖いに決まってんだろ、誰もが出来れば死にたくないと思ってるに決まってる!旦那ぁ~あんた変な人だな!」
ボッチ「そうか、お前は何のために生きているんだ?」
ガトリーは待ってましたと言わんばかりに胸を張って答えた。
ガトリー「オレか?オレの夢はこの世の悪を打ち滅ぼし、ヒーローになることだ!本当は冒険者としてその夢を果たしたかったんだが、、、まぁ、兵士としてもそれを成すことは出来る!今回の依頼は、その第一歩ってわけだ!」
ボッチ「それがお前の生きる意味なんだな」
ガトリー「その通り!もちろん、それだけじゃないぜ。友人たちとは死ぬまで騒いでいたいし、兵士として認められて騎士団長になりたいって願望もある!生きるための理由は数え切れない。だから旦那、あんたも何か生きる意味を見つけた方が良いぜ。その方が人生は圧倒的に楽しい!」
確かに、ガトリーは生きることを楽しんでいるように見える。
だが、これがあるから生きたい!これを成し遂げるために生きる!
そう決めるものをボッチは持ち合わせていなかった。
ボッチ「この歳になっても見つからなかったんだ。おそらく、俺は生きる意味を見つけられずに死んでいくのだろうな」
ガトリー「かぁ~!何悲しいこと言ってんだよ旦那!じゃあオレの夢を見届けるために生きるってのはどうだ!?オレを生きる理由にしてくれても良いぜ」
ボッチ「遠慮しておく」
ガトリー「そう言うと思ったぜ、、、」
夜も更けてきて、2人は野営の準備に取り掛かるのであった。
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ボッチは作業をしながら、思考を巡らせていた。
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