神殺しの怪物と六人の約束

ヤマノ トオル/習慣化の小説家

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熱風の闘技場編

第41話 熱風の闘技場

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セリア「ツグル!!おはよう」

セリアの声で目が覚める。

ツグル「ん、おはよう、、、もうそんな時間か」

セリア「トゥールさん達はもう闘技場に向かったよ、朝ごはん食べたらお前達も来いってさ」


どんどんどんどん!!!

忙しない足音が近づいてくる。

「ひゃー!!朝から若者の男女がベッドにいるとはぁぁあ!!エッチだねぇ」

ツグル「なぁ、このおばさんぶっ飛ばして良いのか?」

セリア「なんてこと言うの~ツグル!おばさんが朝ごはん用意して待っててくれたんだよ?確かにちょっと耳障りだけど」

「とっとと下に降りてきな!!ベッドの上の闘技場は夜に開催さ!はっはっはっはっは」

バカデカイ笑い声が遠のく。

ツグル「なんだってトゥールはこんなボロ宿に泊まってんだ」

セリア「どこよりも安全って言ってたよ?そんなことより下に行こうよ!」

ツグル「分かった」


下へ降りると小さなロビーに家庭的な料理がズラリと並べられている。モモとダイスはもう食べ始めているようだった。

ダイス「やっと起きたかぁ~おはよ!」

モモ「ぼぉばよ!!うるる!!」

ツグル「食ってから喋れよ、モモ。二人ともおはよう」

セリア「よし!!私も食べよっと」

ツグル、セリア「頂きます!」


グレイスではなかなかお目にかかれない料理が湯気を立てている。なんの動物の肉なのか分からない謎の肉を一口食べてみる。

!!!!!

スパイシーだ。。。悪くない

「それはチンギスカンって言ってね、チンギスのチンにカンをまぶしてスパイシーに仕上げてる、フォールドーンの家庭料理さ」

ダイス「なんか何言ってるか分かんないけど、エッチだねぇおばさん!」

「はっはっはっは!!ちなみにチンギスカンのチンと香辛料のカンは精力増強に効果があるからね。昼は闘技場で、夜はベッドでブチかましてやりな!!エッチだねぇ!!!若者!」


朝の食事を終え、外へ出る。

カナメル「どんだけ遅いんだよ、お前ら」

外のベンチで本を読むカナメルがウンザリした表情で話しかけてきた。

ツグル「悪い、18禁おばさんに絡まれた」

ダイス「わろた」

セリア「ツグルが寝坊しただけです」

カナメル「まぁいいや、闘技場に向かうか」


街は歩く隙間がないほどに人で埋め尽くされていた。一年に一度のビッグイベント、侮れない。


なんとか人を掻き分け、闘技場へ到着した。
遠くからでも良く見える闘技場だったが、間近で見ると迫力が桁違いだった。

ダイス「でけぇ、、、、、」

闘技場の中は一体どれだけの広さになっているのだろうか。。

ズミ「やぁ、おはよう」

受付付近のベンチにズミ、タチキ、キャノンがいた。

皆「おはようございます」

セリア「皆さんも闘技大会参加するんですか?」

ズミ「まぁな、優勝狙ってるんだ」

タチキ「なんで嘘つくんだよ!お前参加したところでゴロゴロ寝っ転がることしか出来ないだろ?俺とキャノン君だってとりゃーーって立ち向かってうわ~~ってここに戻って」

キャノン「えーと、俺たちは不参加です」

キャノンがタチキの長話を遮った。

ダイス「トゥールさん達は?」

ズミ「もうエントリー済ませてるみたいだよ、今日俺らは客席から野次飛ばすために来てるからなぁ」

モモ「よし!私たちも済ませちゃおう!」


受付にて登録用紙にサインをする。
ダイスは最後の最後まで渋っていたが、半強制的にサインをさせた。

闘技大会のルールはあらゆる武器、魔法の使用禁止。一回戦は三組に分かれての乱闘。二回戦はトーナメント戦という至って単純なルールだ。

登録を済ませると何やら紙を渡された。

そこにはAと書かれていた。

ツグル「Aって書いてある」

ダイス「俺はCだ!」

モモ「私もC」

カナメル「Aらしい」

どうやらこれは一回戦の乱闘の組み分けらしい。

モモ「やったー!!!もう1人脱落してるようなものじゃん!ライバル減った~」

ダイス「なぁモモ~ここは仲間として協力してだな~」

モモ「見つけ次第ブチのめす」

モモの目がメラメラと燃えている。

ダイス「出会わないことを祈ります」

手を合わせるダイス。

ツグル「いつかの借りを返すぞ、カナメル」

カナメル「まぁ、それは二回戦にとっておこうぜ」

ツグル「それもそうだな」

あたりは受付を済ませた闘士達か、はたまた闘技大会を見に来た観客か見分けもつかないくらいごった返していた。

ドンっ!!

不意に誰かとぶつかった。

ツグル「あ、すみません」

??「ああ、すまん」

ボロ布のフードを目深に被った筋肉質の男がツグルを凝視する。

ツグル「、、、、」

??「、、、、闘技大会の参加者か?」

ツグル「はい」

??「、、、そうか」

そう言って男は闘技場の中へと入っていった。

モモ「ツグル、知り合い?」

ツグル「いや、、」


見覚えのない人だったが、何か感じるものがあった。

カナメル「俺たちも中に入ろう」

とりあえずアナウンスがあるまで、二階の観客席で待機することになった。

二階へ行くと、椅子に座るトゥールとフルネス、タクティス、そしてその横にユラユラと浮かぶムーの姿があった。

「ムーさん!?」

ムー「よぉ、くたばっちまったと思っていたが、どうやら生き残ったみてぇだな、雑魚ども」

トゥール「相変わらず言葉遣いひでぇな、ムー」

ムー「僕の愛情表現さ」

タクティス「でもムー、それを言われて嬉しい人はいない、今からでも改めた方が、、」

ムー「うるせぇな脳筋野郎、てめぇは僕に指図するな」

タクティス「、、、、、」

タクティスは肩をすくめる。

トゥール「、、まぁ~とりま着々と仲間が集まってるわけだ、あとはタカとリリがいれば、フルメンバーだな」

タクティス「リリは良いとして、タカは今ここで会っておきたいものだな」

トゥール「まぁ、そうだな」

トゥールは何かを考え込んでいる様子だった。

カナメル「んで、ムーも闘技大会に参加するのか?」

ムー「なわけねぇだろ、僕は常時魔法を使って浮いてんだ、魔法禁止の時点で僕は地面に横たわる事しかできない」

ダイス「なんかさっきも誰かから似たような台詞聞いた気が、、」

ムーは笑いながら語りかける。

ムー「五体満足だったとしても、魔法を使わない接近戦じゃ僕はEランクだ。そこらへんのゴロツキにも勝てやしない。魔法の使用が許可されれば、僕の右に出る者はいないけどね」

ツグル「接近戦か、、、」

ムー「大丈夫だツグル、お前はスピードAランク、パワーも闇の力によって跳ね上がってるはずだ。接近戦はトータルでもAランク相当だ。んでカナメル、てめぇはやめとけ」

カナメル「言われると思ったよ」

カナメルは大きく溜息をつきながら、ムーのことを横目に見ている。

ムー「魔法は文句なしのSランク。だがスピードB、パワーD、耐久力E、接近戦のトータルでDランク程度のお前じゃ分が悪いルールだ」

カナメル「俺も出たくはないけどね。でもやるからには優勝するさ」

ムー「ふっ、相変わらずチャレンジャーだな、てめぇは」

どんどんどんどん!!!!!
大きな花火が上がる。

フォールドーン製の音声機械からアナウンスが流れる。

「ただいまより、Aグループによる乱闘を開始します。参加者500名は一階闘技場広場にお集まりください」

トゥール「乱闘とか言っちゃうんだね」

トゥールは大笑いしながら、フルネスの肩をバシバシと叩いている。

ツグル「そういえば、トゥール達は何グループなんだ?」

トゥール「俺はA、フルネスとタクティスがBだ」

カナメル「トゥールと久々に戦える。それなら魔法使いたいなぁ」

トゥール「お、カナメルもAか!ん?ツグルもじゃん!よーし、行くべし!」

三人は颯爽と一階へ降りた。

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