神殺しの怪物と六人の約束

ヤマノ トオル/習慣化の小説家

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ヘイスレイブ王国編

第30話 最後の試練

二週間後にヘイスレイブ玉座の間にてムーの指輪の破壊をお願いされたセリアは快く承諾した。
ヘイスレイブの総戦力で挑むことにおいて、誰も不満を持つ者はいなかった。
ツグルも当日同行することを約束するとより一層修行に励んだ。



そんなある日のこと。

ムーに呼び出され、四人はヘイスレイブ城を目指していた。
ムーの住処からは徒歩一時間くらいで到着する。歩いて来いと言い残し、自分は転送魔術で消えてしまった。

ジメジメした樹海を奇妙な植物達に見送られると、黄金のお城が見えてきた。

道中ヘイスレイブの魔導師達があちこちに見受けられるが、仕掛けてくる様子はなく、城門前の検問もなくそのまま場内へ入ることが出来た。

初めてここを訪れた時は光の檻の中だったため、自らの足でこの黄金の門をぐぐるのはなんだか心踊る体験である。

ヘイスレイブ城は不思議な造りをしていて、大扉を開けるとすぐに玉座の間に出る。
玉座の間から上階へも違う部屋へも行ける仕組みになっており、行き交う人々は皆ローブを纏いフードを目深に被っている。
手には皆同じ杖を持っていた。

玉座の間に出るとヘイスレイブ王マキニウム、四天王、ムーが待ち構えていた。
改めて見上げると、強者の風格が滲み出ていて、恐ろしい程に威圧感が感じられる。

二週間後にムー様の指輪を破壊する旨を畏まって伝えられ、ヘイスレイブ王直々に深々と頭を下げられる。それに合わせて四天王、そしてムーも会釈程度に頭を動かす。

それに伴い、ヘイスレイブでの修行の集大成として今日ここに四人を呼んだという。

ムーとの修行もここまでとのことで、四人は嬉しいような寂しいような複雑な気持ちを感じていた。





ムー「よくもまぁ三ヶ月弱、僕のスパルタ指導に耐えてきたもんだ。最後の仕上げとしてヘイスレイブの超エリート達に見極めてもらおうってわけだ」

三ヶ月間共に過ごし、分かったことは、この男はサラッととんでもないことを口にするということだ。
突然の発表に驚きはするものの、慣れたものだった。

ムー「ほう、特に異論はないらしいな。まぁてめぇら四人が勝つことはあり得ないとは思うが、修行の成果を存分に発揮して一矢報いてみてくれ。今から一人一人をこのヘイスレイブ城の各広間へ飛ばす。壁には王直々に魔術結界を張ってもらってるから存分に暴れてくれ。同じく同室に四天王の一人を飛ばす」


ツグルは分かっていた、おそらく自分の場所へ飛んでくるのはカナメルだろうと。
カナメルもそれを望んでいた。

二人はあれから一度も会ってはいないものの、お互いへの興味は尽きることがなかった。


ムー「目の前の超エリートに、殺るつもりで挑め。四天王の四人も殺さない程度に遊んでやってくれ」

ムーがそう言い終わるか終わらないかのタイミングで転送魔術を発動する。

八人を飛ばすにはかなりの時間を要するのか、それから数分間、誰も言葉を発さなかった。
ツグル、ダイス、モモ、セリア、四人は緊張とワクワクを目を閉じて味わっていたに違いない。
四天王の四人はどんな気持ちでツグル達の相手をしてくれるのだろうか?ムーの権力は底知れないなぁと考えるくらいの余裕はあった。

そのうち足元に浮き出る魔法陣がより一層色味を帯び、あたりは光に包まれる。。。。


~~~~~~~~~~~~~

目を開けるとそこには、待ち望んだ再戦、カナメルがいた。

赤いマントをヒラヒラさせながら、失った右腕を隠しているように見える。

ツグル「俺が右腕を掻っ攫っちまったみたいだな」

カナメル「みたいってことは、やっぱり記憶がないのか」

ツグル「ああ、あの時の俺はお前に完敗したらしい」

カナメル「完敗か。とは言うものの、今のお前は五体満足、俺は右腕を失った。結果論で言えば俺の負けみたいなものだ」

ツグル「謙遜はやめろよ。悪いけど、今日失うのは腕どころじゃ済まないかもしれないぞ」

カナメル「ふっ、それは楽しみだな。お前なんて片腕で十分だってことを証明してやるさ」


二人の男が片方の口角だけをあげて、生意気に笑った。
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