125 / 229
分裂のトルコネ編
第125話 遠征前夜
しおりを挟む
対魔物仕様の布陣を開発し、各部隊長と会議を重ねながら、今後のホワイトヘルムの戦い方を模索していた。
会議は朝から晩まで続き、遠征を明日に控えた王も要所要所で顔を出した。
城の留守を任されたリキッドは、アーヤカ姫の婚儀には出席しない。
明日は婚儀へと向かう遠征当日。
リキッドはヒーローを激励しようと、オーロラのテラスへとやってきたのだった。
テラスの大扉を開けた、そこにいたのはヒーローではなく、アーヤカ姫だった。
アーヤカ「リキッド、やっぱり来たのね」
リキッド「アーヤカ姫、今宵はいつにも増して外は寒いです。明日は大切な婚儀に向けての、、、」
リキッドはアーヤカ姫の隣まで歩いて、気付いてしまった。
アーヤカ姫の手に握られている、小型ナイフに。
アーヤカ姫はナイフを自分の首に突き立て、涙を流していた。
リキッド「、、、、何をしているんですか?」
リキッドは動揺を隠しながら、冷静に質問を投げかけた。
アーヤカ「リキッド、これから私は好きでもない男の元で、好き勝手に扱われるの。そこには誰一人として私の味方はいない。パパは王様だから、国のことしか考えていない。私も本当は国のために、従うべきなのは分かっているの。でも、、、、そんなの、、、生きているとは思えないわ。こんな私はワガママかしら」
リキッド「、、、、、、」
アーヤカ「私はね、リキッド。ここで死ぬの、自分勝手に、皆に迷惑をかけて、、、、、」
リキッドは思考を巡らせていた。
なんと説得すべきか、言葉一つ間違えれば、アーヤカ姫は本気で首を断ち切ってしまうだろう。それほどの意志がその手にはこもっていた。
そもそもアーヤカ姫は、姫らしからぬサッパリとした性格である。王族という立場についても、不満を持っていることをリキッドは知っていた。
リキッド「どうすべきなのか、俺には分からない。だが俺は、どんな形であれ、アーヤカ姫には生きていてほしい」
アーヤカ姫は声をあげながら、涙を流している。
アーヤカ「私も、、、、どうすれば良いのか分からないのよ!!!生きていたいし、これからもあなたとオーロラを見ながらコーヒーを楽しみたいわ!!、、、でも、未来はもう見えてるの、どんな扱いを受けるかもね、、一度覚悟はしたわ。でも無理だったの、、、無理だったのよ!!」
ヒーロー、、、、お前なら、どうするだろうか。
リキッドは不意にそんなことを思った。
アーヤカ姫はナイフを握る手に力を込めた。
パキン!!!!!!!!!!!!
身体が勝手に動いた。
アーヤカ姫の手は凍りつき、動かなくなっていた。
リキッド「すまない、、、、名誉騎士団長として、、、こうすべきだと、判断した」
リキッドは凍りつくその手から、そっとナイフを奪った。
アーヤカ「グスっ、、、、うぅ、、、あぁ、、、」
ガチャ!!
その時、テラスへと続く大扉が開いた。
「リキッド!!!お前は、、、」
そこにいたのは、王だった。
リキッド「、、、、、」
ナイフを手に実の娘を氷で拘束しているその姿は、どう見たって名誉騎士団長の反逆としか見えなかったことだろう。
アーヤカ「パパ!!!違うの!!!これは私が自分で!!!」
王「お前のことは信頼していたのだがな、リキッド」
リキッド「、、、、、、」
アーヤカ「違うのよ!!!これは私が自殺をしようとして、リキッドが止めてくれたのよ!!!」
王「なぜリキッドは何も答えない?」
リキッド「、、、、、、、」
リキッドは考えていた。
今ここで本当のことを話せば、アーヤカ姫はさらに過酷な人生を送ることになるだろう。
王「言うことはないということだな。全兵に告ぐ!!リキッドを捕らえよ!!!奴はアーヤカの暗殺を企てていた!!!」
王の命令ともあり、警鐘はすぐに鳴らされた。
アーヤカ「リキッド、、どうしよう!!私、大変なことを」
リキッドは何も言わずにアーヤカ姫を抱き抱え、アイスロードに乗ってテラスから滑り出た。
アーヤカ「放しなさい!!このままじゃ、あなたは反逆者となってしまうわ!」
リキッド「、、、、、、」
アーヤカ「どうして何も答えないのよ!!!」
リキッド「アーヤカ姫、あなたは何のために生きているのかと聞いてきたことがありましたね」
アーヤカは静かに頷いた。
リキッド「言ったはずです。私は、カッコつけるために生きていると」
アーヤカはニコッと笑って呟いた。
アーヤカ「全然、、、、カッコ良くないわよ」
空にユラユラと輝くオーロラが、二人を虹色に照らしていた。
会議は朝から晩まで続き、遠征を明日に控えた王も要所要所で顔を出した。
城の留守を任されたリキッドは、アーヤカ姫の婚儀には出席しない。
明日は婚儀へと向かう遠征当日。
リキッドはヒーローを激励しようと、オーロラのテラスへとやってきたのだった。
テラスの大扉を開けた、そこにいたのはヒーローではなく、アーヤカ姫だった。
アーヤカ「リキッド、やっぱり来たのね」
リキッド「アーヤカ姫、今宵はいつにも増して外は寒いです。明日は大切な婚儀に向けての、、、」
リキッドはアーヤカ姫の隣まで歩いて、気付いてしまった。
アーヤカ姫の手に握られている、小型ナイフに。
アーヤカ姫はナイフを自分の首に突き立て、涙を流していた。
リキッド「、、、、何をしているんですか?」
リキッドは動揺を隠しながら、冷静に質問を投げかけた。
アーヤカ「リキッド、これから私は好きでもない男の元で、好き勝手に扱われるの。そこには誰一人として私の味方はいない。パパは王様だから、国のことしか考えていない。私も本当は国のために、従うべきなのは分かっているの。でも、、、、そんなの、、、生きているとは思えないわ。こんな私はワガママかしら」
リキッド「、、、、、、」
アーヤカ「私はね、リキッド。ここで死ぬの、自分勝手に、皆に迷惑をかけて、、、、、」
リキッドは思考を巡らせていた。
なんと説得すべきか、言葉一つ間違えれば、アーヤカ姫は本気で首を断ち切ってしまうだろう。それほどの意志がその手にはこもっていた。
そもそもアーヤカ姫は、姫らしからぬサッパリとした性格である。王族という立場についても、不満を持っていることをリキッドは知っていた。
リキッド「どうすべきなのか、俺には分からない。だが俺は、どんな形であれ、アーヤカ姫には生きていてほしい」
アーヤカ姫は声をあげながら、涙を流している。
アーヤカ「私も、、、、どうすれば良いのか分からないのよ!!!生きていたいし、これからもあなたとオーロラを見ながらコーヒーを楽しみたいわ!!、、、でも、未来はもう見えてるの、どんな扱いを受けるかもね、、一度覚悟はしたわ。でも無理だったの、、、無理だったのよ!!」
ヒーロー、、、、お前なら、どうするだろうか。
リキッドは不意にそんなことを思った。
アーヤカ姫はナイフを握る手に力を込めた。
パキン!!!!!!!!!!!!
身体が勝手に動いた。
アーヤカ姫の手は凍りつき、動かなくなっていた。
リキッド「すまない、、、、名誉騎士団長として、、、こうすべきだと、判断した」
リキッドは凍りつくその手から、そっとナイフを奪った。
アーヤカ「グスっ、、、、うぅ、、、あぁ、、、」
ガチャ!!
その時、テラスへと続く大扉が開いた。
「リキッド!!!お前は、、、」
そこにいたのは、王だった。
リキッド「、、、、、」
ナイフを手に実の娘を氷で拘束しているその姿は、どう見たって名誉騎士団長の反逆としか見えなかったことだろう。
アーヤカ「パパ!!!違うの!!!これは私が自分で!!!」
王「お前のことは信頼していたのだがな、リキッド」
リキッド「、、、、、、」
アーヤカ「違うのよ!!!これは私が自殺をしようとして、リキッドが止めてくれたのよ!!!」
王「なぜリキッドは何も答えない?」
リキッド「、、、、、、、」
リキッドは考えていた。
今ここで本当のことを話せば、アーヤカ姫はさらに過酷な人生を送ることになるだろう。
王「言うことはないということだな。全兵に告ぐ!!リキッドを捕らえよ!!!奴はアーヤカの暗殺を企てていた!!!」
王の命令ともあり、警鐘はすぐに鳴らされた。
アーヤカ「リキッド、、どうしよう!!私、大変なことを」
リキッドは何も言わずにアーヤカ姫を抱き抱え、アイスロードに乗ってテラスから滑り出た。
アーヤカ「放しなさい!!このままじゃ、あなたは反逆者となってしまうわ!」
リキッド「、、、、、、」
アーヤカ「どうして何も答えないのよ!!!」
リキッド「アーヤカ姫、あなたは何のために生きているのかと聞いてきたことがありましたね」
アーヤカは静かに頷いた。
リキッド「言ったはずです。私は、カッコつけるために生きていると」
アーヤカはニコッと笑って呟いた。
アーヤカ「全然、、、、カッコ良くないわよ」
空にユラユラと輝くオーロラが、二人を虹色に照らしていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
24
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる