神殺しの怪物と六人の約束

ヤマノ トオル/習慣化の小説家

文字の大きさ
201 / 229
決戦のグレイス城編

第201話 再戦、復讐の弾丸vs覚醒した神

しおりを挟む

ネギッチャは高速で動くモンスターマシンを巧みなテクニックで操る。

ゼウスも帯電状態を解かず、眩い速度で大庭園の花々を散らしている。

カナメル「へぇ~やるじゃん」

カナメルは機械を軽視していた。

しかし今目の前で繰り広げられているのは魔法を使えない一人の男と最強の敵の一騎打ちである。

手助けをするのは良いが、どこに入る隙があるのだろうか。

ネギッチャはゼウスの攻撃のたびに円盤の機械を使ってシールドを張っているが、ゼウスの魔力を防ぎ切ることは難しく、身体に傷を負っていた。

しかしメラメラと湧き出る黄色いオーラがその傷を瞬時に癒している。

カナメルは未だに赤のオーラを発動出来ずにいた、試行錯誤してみたものの、意図的に発動することは今のカナメルには出来ないらしい。

ゼウス「厄介だな、そのオーラとやらは」

ネギッチャ「オーラとやらが発動する予定はなかったんだけどな、お前の前に立つとどうやら殺気がオーラに変わるらしい」

ゼウス「人間の再生能力には限界がある、再生の女神の歌声とは訳が違うはずだ。傷つけ続ければ再生が遅くなるか再生不可の状態になると仮説を立てていたところだ」

ネギッチャ「その仮説を証明しないと俺には勝てないからな、頑張れよ」

ネギッチャは興味なさそうにショットガンに弾を込めた。

ネギッチャ「おい、なに突っ立ってんだ」

カナメル「俺は炎の魔術師だよ、あんたの機械をショートさせる可能性があるから慎重にならざるを得ないんだけど?」

ネギッチャ「それもそうか。機械ってのは劣化するものだ、流石にこのスピードで動き続けるのは無理がある。あいつを倒すチャンスは必ず来るからその時に加勢してくれ」

ネギッチャはそのチャンスとやらを確信している様子だった。

ネギッチャ「そもそも、短期決戦しか勝ち目はないと踏んでいる。そのチャンスで奴を倒せなければ俺の負けだ」

カナメル「まぁ、いずれにしてもあんたの戦略に乗るよ。準備をしているらしいからね」

ネギッチャ「もう少し奴に設置する必要がある」

カナメル「設置?」

ネギッチャ「これはただの弾じゃねぇ、神様を殺す弾丸だ」

カナメル「一日に二人も神を殺そうとする輩に出会えるとは、どうやら俺は神殺しに加担する運命らしい」

カナメルはニヤリと笑った。

ネギッチャ「やるか」

ネギッチャは煙草を吐き捨て、大きなショットガンを肩に担いだ。

再度黄色いオーラと雷光の残像がフィールドを駆け巡る。

激しい撃ち合いの中、突然ゼウスの動きが明らかに遅くなった。

ゼウス「、、、、?」

ネギッチャは適切な距離を取り、ショットガンに何やら細工をしている。

ゼウス「ショットガンの弾にライトニングチャージャーでも仕込んだか?」

ネギッチャ「流石は元科学者だな。ゴッドタワーで神の裁きの砲台にふんだんに使われていたライトニングチャージャーを改良した。その弾の粉末はお前の身体に付着しお前の雷を吸収する、よってお前はもう高速移動することが出来ない」

ゼウス「また小賢しい真似を」

ネギッチャ「これでお前はただの的になったわけだ、もう一度あの痛みを味わってもらう」

ネギッチャのショットガンはガチャガチャと変形をし、固定砲台となった。

ゼウスは表情ひとつ変えずに固定砲台を見つめている。

ゼウス「今はもう生身ではないぞ、この鋼鉄の皮膚を貫くことが出来るだろうか?」

ネギッチャ「こっちもそれを見越して改良してあるんでね、改良するための材料はゴッドタワーに余るほどあったからな」

ゼウス「俺の集めた資源で俺に勝てると思っているのか?残念ながら神の裁きを超える兵器を作ることは不可能だ。そして今の俺の身体は神の裁きをも超える力を持っている。この事実がお前の敗北を決定付けている」

ネギッチャ「力の強さだけで物事を判断する神様らしい見解だな。だからお前は俺に足元を掬われるんだよ」

ゼウスは神の裁きを手から放つつもりなのか、両手をネギッチャへと向けた。

ゼウス「雷を纏うことを封じたのかもしれんが放つことは出来る」

ネギッチャの固定砲台が音を立て振動し出した。
それと同時にゼウスは苦しそうにもがき出す。

ゼウス「ぐっ、、、」

ネギッチャ「ライトニングチャージャーの粉末は皮膚に付着した後、この砲台から発せられる放射能によって体内へと浸透する。そしてお前の強力な雷属性と結合し、容量を超えると大爆発を引き起こす。お前の体内でな」

ゼウスが初めて苦悶の表情を見せた。

ゼウス「バカな、そんなこと不可能だ」

ネギッチャ「お前よりも優秀な科学者がいるってことだ、神様は自分が一番だと思っているんだろうけどな。ゾンビが作った兵器で神を殺すのも悪くねぇ」

ネギッチャは横目でカナメルに合図した。

カナメル「はいはい、出番ですよっと」

カナメルは多量の魔力を消費して長い炎の槍を形成した。

カナメル「近づくと危なそうだから遠距離から最も貫通力のある攻撃で援護でもしようか、神様の皮膚に刺さるとは思えないけど」

ネギッチャは真剣な眼差しでカナメルへと語りかける。

ネギッチャ「奴の動きを止められるのはほんの数分だ、それに爆発を起こせばライトニングチャージャーは無効化される。要するに、、、」

カナメル「この一撃で仕留めるってことね」

ネギッチャは眉を上げ、静かに笑った。

ネギッチャ「お前ともビジネスパートナーになれそうだな」

カナメル「遠慮しておくよ」

ネギッチャ「そうかい」

ネギッチャは迷わずに引き金を引いた。

続いてカナメルの合図で炎の槍が空を飛ぶ。

高圧力の光線がゼウスに直撃し、体内に浸透していたライトニングチャージャーが爆発する。

そしてボロボロになったゼウスの皮膚にカナメルの炎の槍がグサリと刺さった。

カナメル「あ、刺さった」

カナメルの槍は刺さった後に爆散し、炎の渦が空へと立ち昇る。

これほどの猛攻を受けて生きていられる生物はこの世にいないだろう、二人はそう確信していた。

しかし、まだそこに立つ影を見て、その確信はすぐに消え失せた。

ネギッチャ「、、、俺の負けだ」

ネギッチャはすぐに砲台をショットガンに変形させ、バイクに跨った。

カナメル「撤退は出来ないよ、先に進むしかない」

ネギッチャ「分かっている、だがこのエリアから脱出する。もう奴を倒す手段がないからな」

そうしても良いのであればカナメルも早々にそうしていただろう。
だがここで逃げたとしてツグルのもとにゼウスを連れて行ってしまえばゲームオーバー。無の神を倒す可能性がゼロになる。

カナメル「俺はここであのバケモノを食い止める、そうすればあんたの逃げる時間を稼ぐことが出来る。ビジネスパートナーだとしたら流石に先方に不利な契約なんじゃない?」

ネギッチャ「何が言いたい?」

ネギッチャは撤退の準備をしながら聞き返した。

カナメル「見返りは二つ、先に進んで、もしツグルが苦戦していたら加勢すること。そして二つ目はこれだよ」

カナメルは懐から一丁の短銃を手渡した。

ネギッチャ「これはアンチマジック?」

マスターリョウがカナメルに残した最後の希望である。

カナメル「銃なんて使ったことがないんでね、これをあいつに撃ち込んで欲しい、出来れば頭か心臓に。今なら刺さるんじゃないかな?」

ネギッチャはすぐにそれを受け取り、手慣れた手つきで標準を合わせた。

バン!!

放たれた針は見事にゼウスの心臓に刺さった。

ネギッチャ「簡単な仕事だな。じゃあな」

ネギッチャはそのまま先へと進んだ。














しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

さようなら、たったひとつの

あんど もあ
ファンタジー
メアリは、10年間婚約したディーゴから婚約解消される。 大人しく身を引いたメアリだが、ディーゴは翌日から寝込んでしまい…。

処理中です...