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第四章 昇進 - Promotion -
22 迫る騎士☆
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二人でベッドに入るとカラムは必ず私をただ静かに抱きしめて、しばらくそのままでいてくれる。それまでの「騎士」の自分から、カラムと向かう女性としての自分に戻る時間を与えてくれる。
「ラス、お前今日どっか打ったりしなかったか?」
「あー、今日組稽古やったときに避け損なって少し腿の横を打ったかもな。受け身は取ってたから大したことない」
一緒に横になってるにも関わらず、私が少し変な体勢で抱きしめられてるのに気づいたのか、カラムが心配そうに聞いてきた。
普段から組稽古での打ち身や擦り傷は日常茶飯事だ。一々騒ぐほどのことでもない。なのにカラムがジッと私の顔を覗き込み、「ちょっと見てもいいか」と尋ねてくる。
「またか。この前も言ったがそんな一々怪我を診なくてもいいだろ」
どうも付き合いだしてから、カラムはやたら私の身体を気遣い始めた。
カラムは決して私が嫌がるような触り方はしない。特に怪我を診る時はただ本当に診るだけだ。最初は変に緊張してたが、もういい加減慣れて最近はカラムがしたいようにさせていた。
おかげで私が本気で嫌ならやめろと言うし、そうでなければ止めないことを学んだカラムは、私の文句を聞き流して勝手に私のズボンに手をかける。そのまま膝近くまで引きずり下ろして外腿の辺りをチェックしてる。
「ああ、赤くなってるな。これだと明日少し腫れるぞ」
「そうか? それほど痛まなかったから気にしてなかった」
「ちょっと待ってろ」
短く言いおいてカラムがベッドから起き上がり、すぐ横の戸棚に置かれた箱から小さな瓶を手に取って戻ってきた。
これも付き合い出して始まったのだが、カラムは私の身体を気遣って、マメに傷薬やら軟膏やらをここに持ち込んでる。私の部屋にちょこちょこカラムの私物が増えてきてるのがなんかこそばゆい。
「ちょっとスースーするぞ」
私を見上げてそう言うと、カラムが下ろしたズボンとシャツの間の素肌に薬を塗りこんでいく。片腕で身体を抱えられ、そうやって薬を塗りこまれてると、まるで自分が赤子にでもなったようななんとも情けない気分になってくる。だが同時に、カラムの大きな手は大きく温かで、ただそうやって薬を塗りこめるだけでもなにか安心を与えてくれた。
「……お前、本当に素直になったよな。俺がこんなに触ってるのにもう全然嫌がらない」
「ああ、それはカラム、お前のお陰だな。そうやっていつも労わってくれるから、安心して任せられる」
私は感謝の意味でそう言ったのだが、なぜかカラムが複雑そうな顔をする。
「俺はお前の兄や父親になりたいんじゃないぞ。そんな安心してるとそのうち思いっきり裏切られるかもな」
「裏切るのか?」
「んー、正直結構辛い。こんな綺麗な脚をなんの躊躇もなく俺に触られて抱きついてくるお前を前にして、いつまで行儀よく待てるか自信ない」
「……分かってる。なるべく早くお前ともっと先に進めるよう、努力はしてるんだが」
「ああ、頑張ってくれ。でないとそのうち切れてズルしちまいそうだ」
こんな会話は別に初めてじゃない。カラムは口で言うほど私に無理強いをすることもなく、毎回私が受け入れられる範囲で一緒にいてくれている。
だからいつもの他愛ない冗談のつもりで私もつい、少し言い過ぎてしまった。
「ズル出来るもんなら試してみたらどうだ? どうせそんな簡単に抱けるズルなんて都合よくある訳ないだ──」
「……お前ちょっと油断しすぎ」
私の言葉が終わらないうちに、カラムの片膝が私の素足の腿の間に割りいってた。そのままもう一方の足が私の膝下を抑えつける。言葉とともにカラムが上半身で私の上半身を抱え込み、突然鼻がくっつく距離で私を睨んだ。
「確かに最後までは出来ないけどな。このままお前が準備出来てなくても、こうやって身体を暴くくらいはいつだって出来るんだよ」
そう言って、カラムの手が私の足の間を彷徨う。触れるか触れないかの距離で私の下着と太腿の内側をカラムの指が優しく辿っていく。ほんの少しの恐怖と警戒、そして恥辱が私の下半身を熱くする。
「このまま……触って身体に俺を刻んでも、お前は許してくれるか?」
そう尋ねるカラムの目は真っすぐ私を射抜き、どこにも逃がしてくれない。心臓がバクバクと音を立てるが、同時に下半身がこわばってカラムの膝を腿で万力のように締め付けずにはいられない。
「触るって……」
「正直、ズルして今このままお前の身体に快感を刻んて無理やり開かせることも出来ないわけじゃない。たとえラスが怖がっても、こうやって膝を入れちまえば俺はなし崩しにお前を抱ける。でもな、俺はラスがちゃんと準備出来て、心から俺を受け入れてくれるのを待ちたいんだ」
カラムの指先が私の下着の中心にピタリと当たり、主張とは裏腹にそこを静かに撫で始める。途端、ガクガクと自分の膝が鳴るような、それまで感じたことのない感覚が下半身を襲った。間違いなく気持ちいいのだが、同時に怖い。自分が突然ひどく無力に落とされたようで、心の底に小さな怒りさえ湧いてくる。あまりに複雑な気持ちをどう説明していいのか分からず、私は思いっきりカラムの腕を掴みあげた。
「お前の身体、準備出来てきてる。分かるか、ここが湿ってるの。ちゃんと少しずつ俺を受け入れてくれてるんだ」
そんな私の反応さえお構いなしに、カラムの指は執拗にそこを撫で続ける。グッと歯を食いしばり、それに耐えてると、カラムが苦しそうに大きなため息をついて足を緩め、私を思いっきり強く抱きしめた。
「ゴメン、少し調子に乗り過ぎた。無防備が過ぎると俺だって自制が効かなくなる」
「そんなつもりは私にはない」
「知ってる。けどお前ほんと……何でもない」
言いよどんだ末に言葉が見つけられなかったのか、カラムはそう言って私を離してくれた。
「今日はここまでな。これ以上一緒にいたらまた調子に乗って今度こそやめらんなくなりそうだ」
そう言って困ったように微笑んだカラムは、私の額にキスを落とし、脱ぎかけの服を元にもどして扉に向かった。
「また明日な」
後ろ手に手を振って部屋を後にするカラムをそのままベッドから見送った私は内心戸惑いが隠せなかった。
カラムに身体を離された途端、なぜか全身が寒く感じて物足りなさに下半身が疼いた。
私は今、どうされたかったんだ?
カラムにもっと抱きしめられたかったのか?
それとも……
そう言えば今日はキスもしなかったな。
カラムの去った自分の部屋はいつも以上に寂しく感じられて、物がなしさと物足りなさを胸に抱きながら私は明日に備えてそのまま眠りについた。
「ラス、お前今日どっか打ったりしなかったか?」
「あー、今日組稽古やったときに避け損なって少し腿の横を打ったかもな。受け身は取ってたから大したことない」
一緒に横になってるにも関わらず、私が少し変な体勢で抱きしめられてるのに気づいたのか、カラムが心配そうに聞いてきた。
普段から組稽古での打ち身や擦り傷は日常茶飯事だ。一々騒ぐほどのことでもない。なのにカラムがジッと私の顔を覗き込み、「ちょっと見てもいいか」と尋ねてくる。
「またか。この前も言ったがそんな一々怪我を診なくてもいいだろ」
どうも付き合いだしてから、カラムはやたら私の身体を気遣い始めた。
カラムは決して私が嫌がるような触り方はしない。特に怪我を診る時はただ本当に診るだけだ。最初は変に緊張してたが、もういい加減慣れて最近はカラムがしたいようにさせていた。
おかげで私が本気で嫌ならやめろと言うし、そうでなければ止めないことを学んだカラムは、私の文句を聞き流して勝手に私のズボンに手をかける。そのまま膝近くまで引きずり下ろして外腿の辺りをチェックしてる。
「ああ、赤くなってるな。これだと明日少し腫れるぞ」
「そうか? それほど痛まなかったから気にしてなかった」
「ちょっと待ってろ」
短く言いおいてカラムがベッドから起き上がり、すぐ横の戸棚に置かれた箱から小さな瓶を手に取って戻ってきた。
これも付き合い出して始まったのだが、カラムは私の身体を気遣って、マメに傷薬やら軟膏やらをここに持ち込んでる。私の部屋にちょこちょこカラムの私物が増えてきてるのがなんかこそばゆい。
「ちょっとスースーするぞ」
私を見上げてそう言うと、カラムが下ろしたズボンとシャツの間の素肌に薬を塗りこんでいく。片腕で身体を抱えられ、そうやって薬を塗りこまれてると、まるで自分が赤子にでもなったようななんとも情けない気分になってくる。だが同時に、カラムの大きな手は大きく温かで、ただそうやって薬を塗りこめるだけでもなにか安心を与えてくれた。
「……お前、本当に素直になったよな。俺がこんなに触ってるのにもう全然嫌がらない」
「ああ、それはカラム、お前のお陰だな。そうやっていつも労わってくれるから、安心して任せられる」
私は感謝の意味でそう言ったのだが、なぜかカラムが複雑そうな顔をする。
「俺はお前の兄や父親になりたいんじゃないぞ。そんな安心してるとそのうち思いっきり裏切られるかもな」
「裏切るのか?」
「んー、正直結構辛い。こんな綺麗な脚をなんの躊躇もなく俺に触られて抱きついてくるお前を前にして、いつまで行儀よく待てるか自信ない」
「……分かってる。なるべく早くお前ともっと先に進めるよう、努力はしてるんだが」
「ああ、頑張ってくれ。でないとそのうち切れてズルしちまいそうだ」
こんな会話は別に初めてじゃない。カラムは口で言うほど私に無理強いをすることもなく、毎回私が受け入れられる範囲で一緒にいてくれている。
だからいつもの他愛ない冗談のつもりで私もつい、少し言い過ぎてしまった。
「ズル出来るもんなら試してみたらどうだ? どうせそんな簡単に抱けるズルなんて都合よくある訳ないだ──」
「……お前ちょっと油断しすぎ」
私の言葉が終わらないうちに、カラムの片膝が私の素足の腿の間に割りいってた。そのままもう一方の足が私の膝下を抑えつける。言葉とともにカラムが上半身で私の上半身を抱え込み、突然鼻がくっつく距離で私を睨んだ。
「確かに最後までは出来ないけどな。このままお前が準備出来てなくても、こうやって身体を暴くくらいはいつだって出来るんだよ」
そう言って、カラムの手が私の足の間を彷徨う。触れるか触れないかの距離で私の下着と太腿の内側をカラムの指が優しく辿っていく。ほんの少しの恐怖と警戒、そして恥辱が私の下半身を熱くする。
「このまま……触って身体に俺を刻んでも、お前は許してくれるか?」
そう尋ねるカラムの目は真っすぐ私を射抜き、どこにも逃がしてくれない。心臓がバクバクと音を立てるが、同時に下半身がこわばってカラムの膝を腿で万力のように締め付けずにはいられない。
「触るって……」
「正直、ズルして今このままお前の身体に快感を刻んて無理やり開かせることも出来ないわけじゃない。たとえラスが怖がっても、こうやって膝を入れちまえば俺はなし崩しにお前を抱ける。でもな、俺はラスがちゃんと準備出来て、心から俺を受け入れてくれるのを待ちたいんだ」
カラムの指先が私の下着の中心にピタリと当たり、主張とは裏腹にそこを静かに撫で始める。途端、ガクガクと自分の膝が鳴るような、それまで感じたことのない感覚が下半身を襲った。間違いなく気持ちいいのだが、同時に怖い。自分が突然ひどく無力に落とされたようで、心の底に小さな怒りさえ湧いてくる。あまりに複雑な気持ちをどう説明していいのか分からず、私は思いっきりカラムの腕を掴みあげた。
「お前の身体、準備出来てきてる。分かるか、ここが湿ってるの。ちゃんと少しずつ俺を受け入れてくれてるんだ」
そんな私の反応さえお構いなしに、カラムの指は執拗にそこを撫で続ける。グッと歯を食いしばり、それに耐えてると、カラムが苦しそうに大きなため息をついて足を緩め、私を思いっきり強く抱きしめた。
「ゴメン、少し調子に乗り過ぎた。無防備が過ぎると俺だって自制が効かなくなる」
「そんなつもりは私にはない」
「知ってる。けどお前ほんと……何でもない」
言いよどんだ末に言葉が見つけられなかったのか、カラムはそう言って私を離してくれた。
「今日はここまでな。これ以上一緒にいたらまた調子に乗って今度こそやめらんなくなりそうだ」
そう言って困ったように微笑んだカラムは、私の額にキスを落とし、脱ぎかけの服を元にもどして扉に向かった。
「また明日な」
後ろ手に手を振って部屋を後にするカラムをそのままベッドから見送った私は内心戸惑いが隠せなかった。
カラムに身体を離された途端、なぜか全身が寒く感じて物足りなさに下半身が疼いた。
私は今、どうされたかったんだ?
カラムにもっと抱きしめられたかったのか?
それとも……
そう言えば今日はキスもしなかったな。
カラムの去った自分の部屋はいつも以上に寂しく感じられて、物がなしさと物足りなさを胸に抱きながら私は明日に備えてそのまま眠りについた。
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