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十六話目 ドレイン
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僕は出来る限り小さくしたドレインをレムちゃんに向かって放った。多分、手の爪ほどのサイズなので、当たったところでたいした影響などないものだろう。
「あ、あうっ」
それでも怖かったのか、レムちゃんが半身で逃げるようにしながら当たった場所は、お尻のあたりに直撃していて、勢いで四つん這いに倒れてしまった。振り返るようにしながら涙目を浮かべるレムちゃんはちょっとだけ色っぽかった。
「だ、大丈夫?」
「だ、大丈夫だ。それよりも少しだけだが力を持っていかれたな。これ、あれか、味方からも栄養補給できるのかよ……」
この魔法は、相手から力を奪うというのが表の力なら裏の力は奪った力を体力や魔力に変換して吸収すること。どちらかというと、この裏の力の方がメリットが大きい。しかも、使用した魔力がそのまま戻ってくるので、実質僕の魔力は減らない。
「レックス、ドレインの大きさを変えたりできるってことはよ、ひょっとして、もっといろんな使い方できるるんじゃないか」
「いろんな使い方って? 地面の水分を奪って敵の足元を陥没させたりとか」
「そ、そんなことも……出来そうだな、おい。お、俺が思ったのは、ドレインをモンスターに繋ぎっぱなしに出来るんじゃないかと思ったんだ」
「繋ぎっぱなし?」
「そうだ、大きさを変えられるならドレインを糸のように伸ばして繋げたままにするんだ。そうしたらエネルギーとり放題じゃないのか」
そんなことが出来るのだろうか。もし本当にそんなことが出来るのなら、魔力を気にしないで撃ちまくれる。いや、撃ちまくってもまた魔力が戻ってくる。使える魔法の種類が増えてくれば物凄いメリットになりそうだ。
「糸のようにドレインを繋げる……か」
「よ、よしっ、ほ、ほら、来いよ」
またしてもレムちゃんが若干半身になりながらドレインを要求してくる。ビビりながらも魔法を要求してくるとか、この子はドMなんだろうか。
「な、なんだよ、その目は。モンスターや植物に繋げても感想もらえないだろ。俺なら、どのくらいもっていかれてるかとか、お前に伝えることが出来るんだ」
「あっ、そういうことか。ありがとうレムちゃん」
「わ、わかればいいんだよ。いいか、あ、あんまり強くするなよ。そっとやれよ!」
「う、うん。それじゃあ、やってみるね。ドレイン」
イメージするのは細い糸。切れないように柔軟性のあるものがいい。指先から伸ばしていくようにゆっくりと出していく。
「で、出来てるじゃないかよ……あ、あうっ」
ゆっくりと僕の人差し指から伸びていった糸状のドレインは見事にレムちゃんのお尻に到達して刺さった。
こ、これは、凄い。感じる、レムちゃんのエネルギーが糸を通して僕の指先から情報として入ってくる。
「ど、どうだ? 何かわかったか? こっちは何も影響がないみたいだが」
「レムちゃんのエネルギーを感じる。もの凄い量のエネルギーが指先から感じるんだ」
「つまり、ドレインは継続している状態ってことかもしれないな。よ、よしっ、少しだけ俺のエネルギーを吸ってみろ。い、一気にやるなよ。や、やったら、マジで殺すからな」
ビビりなのか、ドMなのかよくわからなくなってきたなこの子。いや、でも僕の為に実験台になってくれているんだ、期待に応えてみせよう。
「や、やってみるね」
糸から感じるレムちゃんのエネルギーを引っ張り出すように手繰り寄せる。ゆっくりと糸を通してエネルギーが移動してくるのがわかる。僕の体力は満タンなのか、入ってくるエネルギーは全部魔力となって入ってくる。僕の魔力が漲ってきて、溢れそうになる……。
「あ、あうっ、ちょ、ちょっと、とりすぎじゃないか!?」
「ご、ごめんなさい。と、止めるね」
「お、おいっ、糸繋ぎっぱなしじゃないかよ。も、もしかして、これとれないのか!?」
絶望したような、泣きそうな顔しながら僕を睨んでくるレムちゃん。とれないことはない気がする。これも僕の意思次第なんだろう。
糸を外そうと意識したことで、レムちゃんと繋がっていた不思議なパスはあっさり途切れてしまった。つまり、繋げっぱなしにすることも外すことも自由自在なのかもしれない。
「お、恐ろしい魔法だったんだなドレイン……。あいつがこの使い方を知らなかったのは、幸運だったとしか思えない」
お尻をさすりながら、レムちゃんは心底ホッとしたような表情をしている。それにしても魔法って面白い。こんなにも自由で、こんなにも創造性の高いものだとは思いもしなかった。
「おいっ、レックス。その糸は、どれぐらい伸ばせるんだ。繋ぎっぱなしにも出来るんだろ?」
「うん、出来ると思う」
「それなら、あそこにいるウサギにドレインを繋げてみてくれ」
「ウサギに?」
「あー、今日一日繋げっぱなしにしてみてくれ。糸の長さや強度、個体情報がどこまでとれるのか実験だ」
どうやら、自分が一日中ドレインされている状態というのは嫌だったのだろう。ここからは動物実験に移行するようだ。でも、この実験は僕もとても興味がある。今後のドレインの使い方に革命が起きそうな気がしているんだ。
「ドレイン!」
「あ、あうっ」
それでも怖かったのか、レムちゃんが半身で逃げるようにしながら当たった場所は、お尻のあたりに直撃していて、勢いで四つん這いに倒れてしまった。振り返るようにしながら涙目を浮かべるレムちゃんはちょっとだけ色っぽかった。
「だ、大丈夫?」
「だ、大丈夫だ。それよりも少しだけだが力を持っていかれたな。これ、あれか、味方からも栄養補給できるのかよ……」
この魔法は、相手から力を奪うというのが表の力なら裏の力は奪った力を体力や魔力に変換して吸収すること。どちらかというと、この裏の力の方がメリットが大きい。しかも、使用した魔力がそのまま戻ってくるので、実質僕の魔力は減らない。
「レックス、ドレインの大きさを変えたりできるってことはよ、ひょっとして、もっといろんな使い方できるるんじゃないか」
「いろんな使い方って? 地面の水分を奪って敵の足元を陥没させたりとか」
「そ、そんなことも……出来そうだな、おい。お、俺が思ったのは、ドレインをモンスターに繋ぎっぱなしに出来るんじゃないかと思ったんだ」
「繋ぎっぱなし?」
「そうだ、大きさを変えられるならドレインを糸のように伸ばして繋げたままにするんだ。そうしたらエネルギーとり放題じゃないのか」
そんなことが出来るのだろうか。もし本当にそんなことが出来るのなら、魔力を気にしないで撃ちまくれる。いや、撃ちまくってもまた魔力が戻ってくる。使える魔法の種類が増えてくれば物凄いメリットになりそうだ。
「糸のようにドレインを繋げる……か」
「よ、よしっ、ほ、ほら、来いよ」
またしてもレムちゃんが若干半身になりながらドレインを要求してくる。ビビりながらも魔法を要求してくるとか、この子はドMなんだろうか。
「な、なんだよ、その目は。モンスターや植物に繋げても感想もらえないだろ。俺なら、どのくらいもっていかれてるかとか、お前に伝えることが出来るんだ」
「あっ、そういうことか。ありがとうレムちゃん」
「わ、わかればいいんだよ。いいか、あ、あんまり強くするなよ。そっとやれよ!」
「う、うん。それじゃあ、やってみるね。ドレイン」
イメージするのは細い糸。切れないように柔軟性のあるものがいい。指先から伸ばしていくようにゆっくりと出していく。
「で、出来てるじゃないかよ……あ、あうっ」
ゆっくりと僕の人差し指から伸びていった糸状のドレインは見事にレムちゃんのお尻に到達して刺さった。
こ、これは、凄い。感じる、レムちゃんのエネルギーが糸を通して僕の指先から情報として入ってくる。
「ど、どうだ? 何かわかったか? こっちは何も影響がないみたいだが」
「レムちゃんのエネルギーを感じる。もの凄い量のエネルギーが指先から感じるんだ」
「つまり、ドレインは継続している状態ってことかもしれないな。よ、よしっ、少しだけ俺のエネルギーを吸ってみろ。い、一気にやるなよ。や、やったら、マジで殺すからな」
ビビりなのか、ドMなのかよくわからなくなってきたなこの子。いや、でも僕の為に実験台になってくれているんだ、期待に応えてみせよう。
「や、やってみるね」
糸から感じるレムちゃんのエネルギーを引っ張り出すように手繰り寄せる。ゆっくりと糸を通してエネルギーが移動してくるのがわかる。僕の体力は満タンなのか、入ってくるエネルギーは全部魔力となって入ってくる。僕の魔力が漲ってきて、溢れそうになる……。
「あ、あうっ、ちょ、ちょっと、とりすぎじゃないか!?」
「ご、ごめんなさい。と、止めるね」
「お、おいっ、糸繋ぎっぱなしじゃないかよ。も、もしかして、これとれないのか!?」
絶望したような、泣きそうな顔しながら僕を睨んでくるレムちゃん。とれないことはない気がする。これも僕の意思次第なんだろう。
糸を外そうと意識したことで、レムちゃんと繋がっていた不思議なパスはあっさり途切れてしまった。つまり、繋げっぱなしにすることも外すことも自由自在なのかもしれない。
「お、恐ろしい魔法だったんだなドレイン……。あいつがこの使い方を知らなかったのは、幸運だったとしか思えない」
お尻をさすりながら、レムちゃんは心底ホッとしたような表情をしている。それにしても魔法って面白い。こんなにも自由で、こんなにも創造性の高いものだとは思いもしなかった。
「おいっ、レックス。その糸は、どれぐらい伸ばせるんだ。繋ぎっぱなしにも出来るんだろ?」
「うん、出来ると思う」
「それなら、あそこにいるウサギにドレインを繋げてみてくれ」
「ウサギに?」
「あー、今日一日繋げっぱなしにしてみてくれ。糸の長さや強度、個体情報がどこまでとれるのか実験だ」
どうやら、自分が一日中ドレインされている状態というのは嫌だったのだろう。ここからは動物実験に移行するようだ。でも、この実験は僕もとても興味がある。今後のドレインの使い方に革命が起きそうな気がしているんだ。
「ドレイン!」
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