不遇スキルの錬金術師、辺境を開拓する 貴族の三男に転生したので、追い出されないように領地経営してみた

つちねこ

文字の大きさ
表紙へ
35 / 80
3巻

3-3

しおりを挟む
 キラービーとともにゆっくりとネスト村に向かっていくと、当然のごとく、ネスト村ではゴーレム隊と狩人チームが警戒して臨戦態勢を整えていた。大量のキラービーが村に飛んでくるとあっては驚きもひとしおだろう。
 僕がいなくてもしっかり警戒態勢が取れる状況になったのは喜ばしいことだ。というか、ちゃんと説明せずに出掛けてしまった領主が一方的に悪いよね。本当にごめんなさい。

「ネシ子、村へ先に行って安全だということを伝えよう」
「うむ、そうだな。弓を射られたらせっかくの蜂蜜……いや、キラービーが逃げてしまうからな」

 魔の森における真の最弱の称号は伊達だてではない。みんな蜂蜜のためにもキラービーと仲良くしようじゃないか。というか、そろそろどこら辺がキラーなのか問いただしたいところでもある。
 僕とネシ子が先導するようにキラービーを誘導しているのを見て、ようやくみんなも緊張が取れたように見える。弓を下ろし警戒を解いてくれたのでもう大丈夫だろう。
 とりあえず、キラービーは畑の方に誘導するか。


「クロウお坊ちゃま、これはいったい何事でございますか?」
「セバス、すまない。相談しなかったけど、キラービーと交渉して蜂蜜を提供してもらうことになった」
「は、蜂蜜でございますか。しかしながら、そのキラービーは人や小さい子供を襲うことはないのでしょうか?」
「うん、大丈夫だよ。ネシ子が通訳をしてクイーンと交渉してくれたんだ。こちらからは安全な住まいと魔力供給を提供する。その見返りとして蜂蜜をもらえるんだよ」

 巣を襲撃して蜂蜜を採取するのが、この世界の一般的な蜂蜜の採り方だと思う。ネシ子のおかげで魔物とコミュニケーションが取れたことはかなり大きい。

「となると、安全に定期的に高級な蜂蜜が手に入るということですな。それは願ってもないことでございます」
「畑に見張り台兼キラービーの家を建てる。セバスはこのことについて村人に説明を頼みたい」
「かしこまりました。ワグナー他、周辺の代表者に伝えてまいりましょう」
「ネシ子、キラービーの住居に関しての要望は何かありそう?」
「なるべく静かな所、あと暑いのは苦手だから日陰のある場所がいいらしい」

 今は冬だから暑くはないけど、春になり夏を迎えれば日差しも厳しくなる。そうなると、見張りの塔の下に日差し避けを造り、キラービーの居住スペースを設ければいいか。

「了解だよ。錬成、見張り台兼キラービーの家!」

 現在ネスト村には土壁に弓を射るための足場はあるけど、遠くを見るための見張り台はない。せっかくだからこの機会に造ろうと思ったのだ。
 高さはとりあえず十メートルぐらいにしておこうか。階段で登れるようにしておいて、上では二名が立っても十分な広さを確保しておく。
 あとは、日除けを付けたキラービーの住居を造れば完成だ。階段からは離れるように反対側を入口にしておけばいいか。壁の厚さも十分に確保してあるから、お互いに音が気になることもないだろう。

「ネシ子、キラービーの様子はどうかな?」

 何匹かのキラービーが住居状況を確認している。気に入ってくれるといいんだけど。
 何やらネシ子とクイーンの話が盛り上がっている気がしないでもない。気になることでもあるのだろうか。

「あー、これは見張り台と言ってだな、遠くから敵がやって来てもすぐに把握できるように高い場所を造ったのだ。うん? そんなことをしてくれるのか。それはクロウも喜ぶと思うが……。わかった。一応、聞いてみよう」
「ネシ子どうしたの?」
「それがだな。キラービーならこんな見張り台がなくても、同胞のネットワークを使って周辺の情報が簡単に取れる。周辺に何か異常があれば、すぐにクロウに伝えることができると言っておるのだ」

 蜂蜜の提供だけではドラゴンがお気に召さないかもしれない、とか思ってるのだろうか。
 周辺の警備はゴーレム隊にお願いをしているけど、実際問題として数が足りていないし、手間がかかっているのも事実。

「それなら周辺の情報提供もお願いしてもいいかな? でもクイーンとは会話できないから、何か合図を決めておこうか」
「会話なら我が通訳をするぞ」
「いや、ネシ子だって常にこの村にいるわけじゃないでしょ。午前中はだいたい魔の森に行ってるし、戻っても温泉で長湯してるしさ」
「むむっ、確かに露天風呂にキラービーがやって来たら子供たちが怖がるかもしれぬな。致し方ないか」

 キラービーもネシ子もなぜか仕事をしたがる傾向がある。なんでそんな働きたいのだろうか。僕がドラゴンだったら絶対働かないと思うんだけど。

「クイーン、何かしら合図を決めたい」

 すると、クイーンがキラービーに指示を出して空中に絵を描いてみせた。矢印と魔物っぽいマークだ。

「す、すごいね。これは、あっちの方角に魔物がいるって意味なのかな?」

 これなら言葉が通じなくてもわかる。あとは細かいところを調整して危険度や対象との距離などが伝われば文句ない。

「そ、そんなこともできるのか! クロウ、クイーンからなのだが、キラービーはこの周辺の村や川を下った先にある大きな街に、手紙程度なら運べるらしいぞ。まあ、我に任せれば数分で完了してみせるがな」
「手紙をバーズガーデンに運べるだって! それはセバスも喜ぶと思うよ。お父様との話し合いが今まで以上にスムーズになるからね」

 働き蜂というぐらいだから、動いていないと不安にでもなってしまうのだろうか。魔物チームの仕事意欲が強すぎて心配になる。もっとラリバードぐらいにゆるい感じだと、こちらも気を遣わずに楽なんだけどな。
 とりあえず住む場所には問題がないとのことで、緊急時以外は広場や居住区にはなるべく現れないようにしてもらって話がついた。
 明日からは、キラービーの好きな蜜のある果物の樹木を集めて村に植え替えしようと思う。
 どうやら季節ごとに様々な種類があるらしく、いろいろと紹介してくれるらしい。冬なら林檎りんごとか蜜柑みかんのような物があるのだろうかと期待に胸を膨らませている。


 ◇


 それは置いておいて、今はお菓子作りだ。

「クロウ、蜂蜜はそのまま食べるのではないのか?」
「そのままでも美味しかったけど、お菓子にするとネシ子も、もっと気に入ると思うんだ」
「お菓子か、我は甘すぎるのは苦手だぞ」

 最近舌が肥えてきたドラゴン。ここらで、甘味の素晴らしさというものを教えてあげてもいいだろう。
 チーズバーガー好きのネシ子はこってりした料理を好む傾向にある。しょっぱいポテチも好物だ。そうなると、用意する材料は塩とたっぷりの溶かしバターに、小麦とラリバードの卵。それをまぜて濃厚な蜂蜜クッキーを作ることにした。

「みんなも手伝ってくれたらご馳走ちそうするよ」

 もちろん周辺に集まった子供たちも巻き込んでいく。
 何気にローズも一緒に集まってきているのはいつものことなので気にしない方向でいこう。貴族ではあるがローズもギリギリ子供枠なのだ。

「クロウ様、これを混ぜればいいの?」
「うん、ある程度生地がまとまるまでしっかり混ぜてね」


 生地を完成させたら一口サイズに型抜きしてピザがまで焼成していく。オーブンがないネスト村ではピザ窯が大活躍している。
 しばらくすると、バターの焼ける匂いにふんわりとした蜂蜜の甘い香りが漂ってくる。

「ディアナ、人数分の紅茶を用意してきなさい」
「かしこまりました、ローズ様」

 王都の貴族が食べるようなお菓子にはさすがに程遠いだろうけど、焼きたてのクッキーはそれを凌駕りょうがする。
 作りたての焼き菓子は最高なんだから。
 サックサクの食感とバターと蜂蜜の濃厚な味のバランスが上手くいったようだ。久し振りに食べる甘いお菓子に思わず笑顔がこぼれてしまう。

「クロウ、我にも早く食べさせろ」
「クロウ様、お腹いたよー」
「僕もちゃんとお手伝いしたでしょ?」
「食べたーい」

 わかっているよ。子供たちも僕の表情でこのお菓子の成功を確信したようだ。いや、甘い匂いが広がっている時点でよだれが出ていたか。
 ネスト村で生まれ育った子供たちが甘味を知るわけがない。砂糖や蜂蜜などの甘い食材は高級品になるので、ここで暮らそうと思う人が簡単に手に入れられる代物ではない。たとえ手に入れたとしても、売るか、小麦と交換することだろう。

「はい、順番に並んでね。全員の分はちゃんとあるから慌てないでよ」

 この光景も慣れたもので、子供たちは大人しく列を作って静かに並んでいく。もちろん、ネシ子もローズもちゃんと並んでいる。新作料理を発表するたびに並ばせていたからなのか、はたまた、ここ数か月に及ぶ食料事情の改善からなのか、落ち着いて並んでいる。
 きっと王都のスラム街だったら、今頃すべての蜂蜜クッキーが消滅していることだろう。
 しかしながら、初めて食べるであろう甘味に対する期待に並びながらも涎は止まらない様子。早く食べさせてあげないと可哀想だね。

「はい、どうぞ。ディアナが紅茶を淹れてるからもらってくるんだよ。このお菓子は紅茶と一緒に食べるともっと美味しく感じるから」
「うん! クロウ様ありがとー。ディアナにもちゃんとお礼言うね」

 子供はそう言って、蜂蜜クッキーを一口頬張ると目を大きくして動きが止まってしまう。感じたことのない甘くとろけるような舌触り。驚いてどうリアクションをとればいいのかわからないのだろう。
 やはり辺境のスローライフにおいて食料事情の改善と甘味は大事。蜂蜜は定期的にもらえることになったし、もう少しで果物も砂糖も手に入る。スイーツのレシピをもっと増やしていってもいいかもしれない。

「クロウ様、は、早く。僕も蜂蜜クッキー!」
「あー、うんうん。ごめんね。はい、どうぞ」
「わーい!」

 もらう時は元気いっぱいながら、一口食べた瞬間に時が止まってしまう。子供たちでこれなら大人が食べたら泣いてしまうかもしれない。今日は甘味記念日だな。どんどん蜂蜜クッキーを焼いていこう。

「お、おい、クロウ、我の蜂蜜クッキーを早く」
「うん、ネシ子もお手伝いありがとうね」
「う、美味いっ! 美味いぞ、クロウ。なんなのだ、このまろやかな甘さとサクサクの食感は! 一つでは足らんぞ、おかわりを所望する!」
「はいはい、またすぐに作るから手伝ってくれたら最初にあげるね」
「わ、わかった。さっきの分量で混ぜればいいんだな。すぐに準備するぞ」

 食べ終わった子供たちがネシ子に続いてお手伝いにやって来た。これでクッキー作りの人手は十分だな。

「あ、あのね、お母さんにも蜂蜜クッキーをあげたいの。次に作ったのを渡してもいい?」
「うん、もちろんだよ。みんなで食べられるようにいっぱい作ろうね」
「うん!」

 心優しい子供たちだ。ローズやネシ子も、子供たちの面倒を見ながらクッキーを作っては焼き上げている。
 食べ物が充実することでちょっとした争いごとはなくなる。お腹がいっぱいになれば心も満たされるのだろう。特に移民組ではない村人は開拓当初の苦しい頃を知っているだけに、より充足感があるのかもしれない。
 開拓村においてこういう仲間意識や団結力というのはとても大事なものだ。この情景を忘れないように覚えておこうと思う。


 ◇


 さて、翌日からはキラービーとともに美味しい蜜の採れる花や樹木を集めに行く。
 クイーンの話では甘い実のなる果実の樹があるとのこと。畑エリアを拡張しつつ、ネス湖の脇に果樹園を作る準備はもう整っている。
 それから、忘れてはならないダンジョン関連の情報も集めてもらっているのだけど、引っ越しをした同胞とはまだ会えていないらしく、引き続き頑張るとのことだった。

「キラービーは飛ぶのが遅いから退屈だな。もっとビューンと行けないものか」

 魔の森における真の最弱が、ドラゴンと飛行スピードを比べられるのも可哀想というもの。
 それに、ネシ子的に遅いというだけであって、決してそのスピードはゆっくりではない。馬を走らせるよりも全然速いスピードだし、それなりに持久力もあるとのこと。バーズガーデンの往復ぐらいはなんてことないそうだ。

「まあまあ、ネシ子。慌てさせるよりも、美味しい果実の樹を見つけてもらうことの方が大事なんだ。変にプレッシャーを与えるよりも、伸び伸びといつも通りに蜜を探してもらう方がいい」

 キラービーが向かった方角は、魔の森の中腹に差しかかるエリア。この辺りは、普段ローズや疾風の射手が足を踏み入れていない場所になる。

「クロウがそう言うならしょうがないな。ところでおやつはまだ食べたらダメなのか?」
「お昼ご飯も食べてないんだから、おやつはまだだよ」

 ペネロペからお昼用にチーズバーガーを用意してもらったのだけど、昨日食べた蜂蜜クッキーが気になって仕方がないドラゴン。やはり甘味の威力は抜群らしい。おやつには冷やした紅茶の水筒も持参して準備万端だ。

「むう。しかし、この待っている時間と空腹感が美味しさを増すのかもしれぬな」

 よくわからない理論だけど納得してくれたようで良かった。
 セバスいわく、村にキラービーが住むことに怖がっている村人も多少はいたのだけど、蜂蜜の甘さに全員やられたようで、反対する者はゼロになったらしい。
 甘味の前ではすべての者がひれ伏すのだ。キラービー自体が大人しい魔物っぽいし、良い関係を築けていけるのではないかと思っている。
 今回探している果実の樹だったり、周辺の調査、手紙の配達など、こんなに役に立つ魔物だとは思わなかった。といっても、魔物であることには変わらないので、活用していくにはそれなりに相互理解を深めていく必要があるのも事実。
 早速だけど、セバスが手紙配達のテストを行うとのこと。ドラゴンやダンジョンのこともあるし、これから情報共有の頻度も高くなってくるだろう。

「ネシ子、あの辺りはどんな魔物がいるの?」
「あそこは確かジャイアントスパイダーの棲息地だな。キラービーの天敵といっても過言ではない」

 すると、キラービーたちがネシ子の近くにやって来ては何やら話をしている。

「ふむふむ。やはり、このままだとキラービー部隊は全滅するか。オランジの樹を手に入れるためにはジャイアントスパイダーに巣から離れてもらわねばならぬ。よし、任せろ。我とクロウで蜘蛛くも狩りをしようではないか」
「えーっと、どういう話になってるのかな?」
「ジャイアントスパイダーが巣を張っているのがオランジの樹なのだ。このオランジの花の蜜は春から夏にかけて採れる最高品質の蜜だから外せないそうなのだが、蜜を集めている時にジャイアントスパイダーに襲われてしまうらしいのだ」
「なるほど、確かに橙色だいだいいろの果実がいっぱいっているね。それにしても、ドラゴンが近くに来ているのにジャイアントスパイダーは逃げないの?」
「魔物にもいろいろなタイプがいると言っただろ。ジャイアントスパイダーは狡猾こうかつ獰猛どうもうな魔物だ。擬態ぎたいもするし巣の奥に逃げられると手を出しづらい。あの粘着力のある糸が厄介やっかいなのだ。そして、幼生体の子供たちを多く抱えて、自らの食料兼後継者として育てている」
「幼生体なんているんだ。しかも食料兼って……」

 魔物の生態はよくわからないものだ。

「実はその幼生体がさらに厄介でな。小さいが数も多くて体が透明なので、どこにいるのかわかりづらい。キラービーのほとんどはこの幼生体にやられている」

 こんな危険な所に蜜を採りに来るキラービーも頭がおかしいけど、それだけこのオランジの樹というのは高品質な蜜が採れるということなのだろう。

「それで、何か作戦はあるの?」
「とりあえず、近くいるジャイアントスパイダーは我が吹っ飛ばして奥に追い払う。それからオランジの樹を根元から掘り起こしてだな」
「掘り起こして?」
「樹の表面を燃えない程度に火であぶる!」
「炙っちゃうの!」
「幼生体がどこに張り付いているかわからぬからな。生き残って村でジャイアントスパイダーになったら大変だろう。そういうことだから、丁寧に炙らなければならない。我は火を扱えぬからクロウが頼みだぞ」
「責任重大だね。わかったよ。樹の根をいためないように、掘り起こしも僕が錬金術でやるよ」
「ならば、我はジャイアントスパイダーを退かすか」

 こうして、オランジの樹を無事獲得することに成功した。
 その後、レモーヌの樹、ピーチツリー、ベリベリー、ビッグマンゴー、ルルザクロ、季節の野草などを集めて、今日のところは村に戻ることにした。
 春や夏にならないと採れない草花もあるようなので、またその時期に再び採取しようと思う。


 ◆


 ユーグリット川を下ってきたセバスが、手紙の配達テストのために、急きょバーズガーデンの私、フェザントのもとにやって来た。
 なんでも、もう少ししたら魔物であるキラービーが手紙を持ってくるというではないか。

「セバス、魔物が人間の指示を聞くのだろうか?」
「ドラゴンのネシ子様が間に入って通訳をしております。キラービーがドラゴンの言葉に逆らうことはないかと思われます。また、キラービー自体も攻撃的な性格ではないようで働くことに前向きでございます」

 魔物が働くことに前向きというのは、いったいどういったことなのか。
 まあ、それはいい。いったん置いておこう。問題があるとしたらそのドラゴンだ。なぜ、ネスト村にドラゴンが住み着くことになったのか……。

「フェザント様、キラービーからもたらされた情報で、ネスト村周辺にダンジョンがあるかもしれないとのことでございます」
「そうか、ダンジョンか……。ダ、ダンジョンだと!?」
「さすがに春を待ってのご報告とするには、いささか問題が大きすぎることが立て続けに起きておりまして、川リザードマンの力を借りて急ぎ参りました」

 蜥蜴とかげ人族の川リザードマンは、ポーションや卵などの割れやすい商材を丁寧に素早く配送してくれる川下りのスペシャリストだ。彼らは、領都バーズガーデンでも野菜などを大量に購入して戻っていく。
 このようにエルドラド領では、ネスト村の良い影響が徐々に広がり始めている。
 中でもポーションの売上が一番大きいのだが、その予算を使って、春からは大々的に畑やユーグリット川の拡張工事を進めていくことになった。
 辺境の地を任されているエルドラド家において、開拓は最重要事項である。クロウのおかげで予算に余裕をもって当たることができる。
 クロウにここまでの才能があったとは驚きだ。しかしながらその才能は、様々なものを引き付けるようで問題も多い。

「はあ……。まずは、ドラゴンについての説明から頼む」
「はい、ネシ子様は魔の森の頂点に君臨していた伝説のアイスドラゴンでございます。魔の森を調査していた際にクロウお坊ちゃまと戦闘をしたことで……」
「ちょ、ちょっと待て。ク、クロウはその伝説のドラゴンと戦ったのか!?」
「申し訳ございません。まさか、ドラゴンがいるとは思っておりませんでした」
「そうではなく、無事なのであろうな?」
「……はい、無事でございます」

 むっ、少し間があったようだが気のせいか?
 セバスの話では、魔の森を正常化するためにはアイスドラゴンが頂点に君臨することが良くないということらしい。
 増えすぎた魔物を間引きながら、魔素が豊富な場所を探しているのだとか。

「その魔素の代わりに、クロウがドラゴンに魔力供給をしているというのだな。つまり関係性は悪くないということか」
「はい、クロウお坊ちゃまの左手には召喚紋しょうかんもんが刻まれ、ピンチの際にはいつでもネシ子様を呼び出すことが可能です。ネシ子様にとっても魔力供給してくれるクロウお坊ちゃまの存在はなくてはならないものなのでしょう。村人との関係性も良好で目立った問題は起きておりません。人間社会に興味があるようでございまして、ネスト村の開拓を手伝ってくれております」

 安全に過ごせているのであればいいが……。
 我が息子は、いつの間にドラゴンを召喚するまでの成長を遂げてしまったのだろうか……。


しおりを挟む
表紙へ
感想 382

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。