32 / 62
一章
32 レティ誘拐①
しおりを挟む
新しいルミナス村の活気に油断していたのか、人が増えればそういったこともあるのだと、もう少し慎重に考えるべきだったのかもしれない。
スライムからレティが誘拐されたと聞かされたのは僕が教会を出てすぐのことだった。カールさんの所に届けるモロッコの実が大量だったのでレティもピースを手伝ってくれたらしいのだがその配達中を狙われてしまった。
まさかルミナス村の中で日中堂々と誘拐事件が起きるとは……。
「それで、レティは無事なのか?」
「無事だよー。連れていかれたのは森の方」
「村から離れたからみんなで攻撃しようと思ったんだけど……」
「犯人がね、勇者も連れて来てるの」
人目につく場所でスライムを戦わせるわけにはいかない。ルミナス村でスライムは畑のお世話をしたり、出荷の手伝いをしてくれる便利なテイムモンスターでなければならない。
「あとピースも一緒に捕まってるー」
「どうする? 倒しちゃう?」
村の人には見られていないので騒ぎにはなっていないのは幸いだ。こういう犯罪は観光地ではマイナスイメージになる。
問題は勇者アシュレイとピースだ。ピースはしょうがないとしても、何で勇者を連れてくるのか。ひょっとしてこれはレティに会えない勇者が、家を出たタイミングを狙っての犯行ではないだろうな。
「勇者がね、何か凄く怒ってる。レティさんを離せって叫んでるよ」
「ピースはね、僕は? 僕は無視ですか? って泣きながら叫んでるのー」
勇者の犯行ではないのか。
だとしたら、子供を狙って奴隷商人へ売り渡そうとでも考える輩の仕業か。
そうだとしてもわざわざ勇者を連れてくる意味がわからない。戦力だけみたら一番敵に回しちゃダメなやつだろう。
「僕が辿り着くまでレティを守れ。場合によってはレティ以外の全員を殺してもいい」
勇者に助けてもらおうとかは考えない。レティのことは僕が守る。ただ、スライムが戦えるとわかってしまったら残念ながら勇者とピースの口を封じる必要がでてくる。
スライムが勇者を倒せるかといったらさすがに難しいだろうし、今の僕が一緒に戦ったところで勝ち目はないだろう。
ではレティを救い出して勇者やピースに口止めをお願いする? 何と言って口止めをするのか。お前のその力は一体何なのだと怪しまれるだけだ。戦えるほどに強いスライムを村の中で使役して、人が扱わない暗黒魔法を繰り出す。これでは言い訳が出来ない。普通に考えて人の皮を被った魔族だと疑われるだけだ。
レティはどう思うだろう。
血の繋がった唯一の兄が化物だったと知ったら……。酷く悲しむに違いない。両親のことも殆ど覚えていない上に、兄と慕っていた者が知らない魔族と入れ替わっていたのだから……。
それでも優先すべきはレティの命。僕にとってはかけがえのない妹であることは間違いない。それはレンの心に刻まれているからとかではなく、僕がレティと生きてきて感じていること。レティを守るためならば僕は正体を隠さない。
それがもう一緒に暮らすことが出来ないことになろうともだ。
「ダークネスブースト!」
スライムのいる場所がレティを誘拐した奴らの位置。そこまで距離も離れていない。
森に入ってすぐの場所、そこには勇者アシュレイと誘拐犯たちが向かい合っていた。
すぐさま気配を消して盛りに紛れるように枝の上で様子を窺う。
「ダークネスインビジブル」
「レティさんを離せ! 僕が勇者アシュレイと知っていての犯行か?」
「へへっ、お前がロリコン勇者かよ。聞いたぜ、こんな小さい村娘に惚れてるんだってなぁ、へへっ」
「まあ、身綺麗な子供だし売ればそれなりに儲けられそうだが……」
「残念ながら、こいつはここで死んでもらう」
「ふ、ふざけるなぁ!」
勇者と対峙しているのは三人組の男。言葉の悪い小刀使い、炎系の魔法使いと思われる黒ローブの者、それからレティを殺すと言ったリーダー格と思われる二刀流の剣士。
この二刀流の剣士はなかなか強い。剣だけの勝負なら勇者とも渡り合えるのではないだろうか。
「何でレティさんを攫ったんだ。僕に用があるのなら話は聞く。だから、レティさんを巻き込むなっ!」
「そうだなぁ。態度次第では検討してやらなくもない。とりあえずお前は今から的だ。俺が投げる小刀を絶対に避けるなよ。もしも避けたら次は間違ってこの子供に投げちまうかもしれねぇからよ。へへっ」
「下衆がっ!」
「リンドル、勇者の足を重点的に潰せ。こいつにはたいした回復魔法はないらしいからな」
「セプター、何なら詠唱出来ないように喉を炎で潰しておくか」
魔法使いがリーダー格の男セプターにそう話し掛ける。
レティを人質にとられていることで身動きがとれない勇者アシュレイ。その額からは汗が流れ落ちている。立場が悪いことは十分に理解しているのだろう。
「確かに僕は簡単な回復魔法しか使えない。でもね、それは僕に必要なかったからだよ。勇者と呼ばれる者の防御力、耐久値を甘く見ないほうがいい。それにパーティメンバーには回復魔法のスペシャリストがいたからね。だから僕は攻撃に専念することが求められてきた」
「へへっ、でも今はその聖女はここにいねぇだろ。いくら耐久値が高いといっても全くダメージを受けないわけじゃねぇんだ。へへっ」
「そうだね。この場に聖女はいない。でもこの近くにミルフィーヌがいることは確かなことなんだ! 怒れ雷よ、空より降れ……」
「ちっ、リンドル、ラグルス、勇者に詠唱をさせるな! アシュレイ、止めねぇとこいつの命は……」
「この野郎っ! 詠唱を止めやがれ」
「ま、間に合わぬ」
「光と共に触れる者を切り裂き、かの敵へ届けたまえ、雷属性魔法ライトニングボルト!」
暗雲が現れるとすぐに雷撃が激しい音とともに地面に落ちた。魔法のスピードと村の方まで響く大きな音を優先させた感じか。
一方、リンドルの投げた小刀は二つとも勇者の右太腿、左脇腹に刺さっている。普通なら避けられるはずだがあえて攻撃を受けている。
「ぐっ……、す、すまないね、別にお前達に危害を加えるつもりはないし、手は出さないという約束は守っているつもりだよ」
「ふ、ふざけるなぁ! てめぇ、聖女を呼びやがったな」
スライムからレティが誘拐されたと聞かされたのは僕が教会を出てすぐのことだった。カールさんの所に届けるモロッコの実が大量だったのでレティもピースを手伝ってくれたらしいのだがその配達中を狙われてしまった。
まさかルミナス村の中で日中堂々と誘拐事件が起きるとは……。
「それで、レティは無事なのか?」
「無事だよー。連れていかれたのは森の方」
「村から離れたからみんなで攻撃しようと思ったんだけど……」
「犯人がね、勇者も連れて来てるの」
人目につく場所でスライムを戦わせるわけにはいかない。ルミナス村でスライムは畑のお世話をしたり、出荷の手伝いをしてくれる便利なテイムモンスターでなければならない。
「あとピースも一緒に捕まってるー」
「どうする? 倒しちゃう?」
村の人には見られていないので騒ぎにはなっていないのは幸いだ。こういう犯罪は観光地ではマイナスイメージになる。
問題は勇者アシュレイとピースだ。ピースはしょうがないとしても、何で勇者を連れてくるのか。ひょっとしてこれはレティに会えない勇者が、家を出たタイミングを狙っての犯行ではないだろうな。
「勇者がね、何か凄く怒ってる。レティさんを離せって叫んでるよ」
「ピースはね、僕は? 僕は無視ですか? って泣きながら叫んでるのー」
勇者の犯行ではないのか。
だとしたら、子供を狙って奴隷商人へ売り渡そうとでも考える輩の仕業か。
そうだとしてもわざわざ勇者を連れてくる意味がわからない。戦力だけみたら一番敵に回しちゃダメなやつだろう。
「僕が辿り着くまでレティを守れ。場合によってはレティ以外の全員を殺してもいい」
勇者に助けてもらおうとかは考えない。レティのことは僕が守る。ただ、スライムが戦えるとわかってしまったら残念ながら勇者とピースの口を封じる必要がでてくる。
スライムが勇者を倒せるかといったらさすがに難しいだろうし、今の僕が一緒に戦ったところで勝ち目はないだろう。
ではレティを救い出して勇者やピースに口止めをお願いする? 何と言って口止めをするのか。お前のその力は一体何なのだと怪しまれるだけだ。戦えるほどに強いスライムを村の中で使役して、人が扱わない暗黒魔法を繰り出す。これでは言い訳が出来ない。普通に考えて人の皮を被った魔族だと疑われるだけだ。
レティはどう思うだろう。
血の繋がった唯一の兄が化物だったと知ったら……。酷く悲しむに違いない。両親のことも殆ど覚えていない上に、兄と慕っていた者が知らない魔族と入れ替わっていたのだから……。
それでも優先すべきはレティの命。僕にとってはかけがえのない妹であることは間違いない。それはレンの心に刻まれているからとかではなく、僕がレティと生きてきて感じていること。レティを守るためならば僕は正体を隠さない。
それがもう一緒に暮らすことが出来ないことになろうともだ。
「ダークネスブースト!」
スライムのいる場所がレティを誘拐した奴らの位置。そこまで距離も離れていない。
森に入ってすぐの場所、そこには勇者アシュレイと誘拐犯たちが向かい合っていた。
すぐさま気配を消して盛りに紛れるように枝の上で様子を窺う。
「ダークネスインビジブル」
「レティさんを離せ! 僕が勇者アシュレイと知っていての犯行か?」
「へへっ、お前がロリコン勇者かよ。聞いたぜ、こんな小さい村娘に惚れてるんだってなぁ、へへっ」
「まあ、身綺麗な子供だし売ればそれなりに儲けられそうだが……」
「残念ながら、こいつはここで死んでもらう」
「ふ、ふざけるなぁ!」
勇者と対峙しているのは三人組の男。言葉の悪い小刀使い、炎系の魔法使いと思われる黒ローブの者、それからレティを殺すと言ったリーダー格と思われる二刀流の剣士。
この二刀流の剣士はなかなか強い。剣だけの勝負なら勇者とも渡り合えるのではないだろうか。
「何でレティさんを攫ったんだ。僕に用があるのなら話は聞く。だから、レティさんを巻き込むなっ!」
「そうだなぁ。態度次第では検討してやらなくもない。とりあえずお前は今から的だ。俺が投げる小刀を絶対に避けるなよ。もしも避けたら次は間違ってこの子供に投げちまうかもしれねぇからよ。へへっ」
「下衆がっ!」
「リンドル、勇者の足を重点的に潰せ。こいつにはたいした回復魔法はないらしいからな」
「セプター、何なら詠唱出来ないように喉を炎で潰しておくか」
魔法使いがリーダー格の男セプターにそう話し掛ける。
レティを人質にとられていることで身動きがとれない勇者アシュレイ。その額からは汗が流れ落ちている。立場が悪いことは十分に理解しているのだろう。
「確かに僕は簡単な回復魔法しか使えない。でもね、それは僕に必要なかったからだよ。勇者と呼ばれる者の防御力、耐久値を甘く見ないほうがいい。それにパーティメンバーには回復魔法のスペシャリストがいたからね。だから僕は攻撃に専念することが求められてきた」
「へへっ、でも今はその聖女はここにいねぇだろ。いくら耐久値が高いといっても全くダメージを受けないわけじゃねぇんだ。へへっ」
「そうだね。この場に聖女はいない。でもこの近くにミルフィーヌがいることは確かなことなんだ! 怒れ雷よ、空より降れ……」
「ちっ、リンドル、ラグルス、勇者に詠唱をさせるな! アシュレイ、止めねぇとこいつの命は……」
「この野郎っ! 詠唱を止めやがれ」
「ま、間に合わぬ」
「光と共に触れる者を切り裂き、かの敵へ届けたまえ、雷属性魔法ライトニングボルト!」
暗雲が現れるとすぐに雷撃が激しい音とともに地面に落ちた。魔法のスピードと村の方まで響く大きな音を優先させた感じか。
一方、リンドルの投げた小刀は二つとも勇者の右太腿、左脇腹に刺さっている。普通なら避けられるはずだがあえて攻撃を受けている。
「ぐっ……、す、すまないね、別にお前達に危害を加えるつもりはないし、手は出さないという約束は守っているつもりだよ」
「ふ、ふざけるなぁ! てめぇ、聖女を呼びやがったな」
1
あなたにおすすめの小説
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
【短編】子猫をもふもふしませんか?〜転生したら、子猫でした。私が国を救う!
碧井 汐桜香
ファンタジー
子猫の私は、おかあさんと兄弟たちと“かいぬし”に怯えながら、過ごしている。ところが、「柄が悪い」という理由で捨てられ、絶体絶命の大ピンチ。そんなときに、陛下と呼ばれる人間たちに助けられた。連れていかれた先は、王城だった!?
「伝わって! よく見てこれ! 後ろから攻められたら終わるでしょ!?」前世の知識を使って、私は国を救う。
そんなとき、“かいぬし”が猫グッズを売りにきた。絶対に許さないにゃ!
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる