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リリとランと三人で女子会をしてから有里は、ダンスやマナーの勉強の合間に図書館に入り浸っていた。
フィルス帝国の事を知るためだ。
女子会のあの夜、有里が大泣きしてすっきりとした後、アルフォンスの事や有里自身の事を色々白状させられ、恋愛に関する考え方もあっさりと切り捨てられた。
「ユーリ様ってやっぱり馬鹿ですね」
「あちらの世界で親をしていたのであれば、分かって然るべき事です」
「あなたは、完璧な親でしたか?欲に溺れる事の無い人間でした?」
「親だって一人の人間なのです。誰にだって間違う事があるのですよ」
「ユーリ様が良く言っている『反面教師』もいいですけど、度を過ぎれば毒にしかなりません」
「もっと素直に自分の気持ちに従った方がいいと思います」
「例え陛下に溺れたとしても、きっと宰相閣下達は大喜びすると思いますし」
「恋愛事に陛下は国をおろそかにすることはありませんし、ユーリ様が危惧する見っともない事態にはならないと思います」
「なので、どんどん甘えていいと思います」
何だかすでに、アルフォンスと恋愛する事前提で説教されているのが気になったが、自分よりも大人な意見にただただ頷く事しかできなかったことは言うまでもない。
言葉を詰まらせる有里に、双子たちは何処か悟ったような表情で「それに、恋とはそんなものです」と呟いた。
あまりに大人びた発言に有里は苦笑しながら「・・・・あなたたち、何歳?」と思わず聞いてしまう程に、どこか達観している感じだ。
「幼い頃からそういう世界を見て育ちましたし・・・周りは皆、男の取り合いでしたから」
「ユーリ様のほうが珍しいですよ。あまりに理性的すぎるので」
「あ・・・うん。ありがと・・・」
と、意味もなくお礼を言ってしまうくらい、その発言は有里にとって衝撃的だった。
彼女等二人はフィルス帝国からの難民だ。
彼女が生まれ育った所は、皇都であるルビアーノ国にある貧困層の集まり『リーサ』と呼ばれている地域だ。有里の世界でいう『スラム街』によく似ている。
暗黒時代に生まれた地域で、元々は女好きな皇帝から娘を守る為に隠れ住んでいた人達が作ったコミュニティだったが、いつの間にか定住するものも出てきて、次第に貧困者や訳ありの人間たちが集まる様になり、王都の中で最も治安の悪い地域となっていた。
幼い頃に両親を亡くし、リーサを治める権力者であり皇都の犯罪組織をも取り仕切っていた人物の元に引き取られたが、八才になると娼館へと売られそうになり、リーサ唯一の良心とも呼ばれている人物の手助けによって、その頃来ていたユリアナ帝国の商人たちの船に密航し難を逃れたのだ。
そして、たまたま仕事で船が到着した港町に来ていたエルネストに拾われ、今に至る。
それはちょうど十年前の事で、フィルス帝国の皇帝が代替わりする一か月前の事だったという。
「だから、我々はこの城内で働けるのです」
その意味とは、今のフィルス帝国は事実上、宰相が国を動かしている。しかも、独裁者のように。
そして、間者や暗殺者を次々と送ってくる。難民を装ってそういう奴らが城内に入り込む可能性がある為、これまで以上に入国した者への管理が厳重となり、城内での労働が制限されたのだ。
「私たちがエルネスト様に拾われた事。それは女神に感謝してもしきれないほどの幸運でした」
前に言っていた『エルネストは命の恩人』と言うのはこの事を言っていたのだ。
何を隠そうエルネスト自身もフィルス帝国のリーサ出身者だ。しかも、かなり訳ありの様で有里自身も何故、彼が前皇帝に拾われたのかまでは知らない。
エルネストにしても双子達にしても、世間や人に対して割り切ったものの考え方を持っていた。
それぞれの置かれていた立場や生活環境、関わっていた人間によって考え方が変わってくるものだが、この三人に関しては何処か似た様な所がある。
彼等を取り巻いていた環境・・・フィルス帝国の事を知りたい、と単純に思った。
フォランドの言っていた事は、歴史的には間違ってはいないのだろう。
でも、その国の人間にしか分からない事実もあるのかもしれない。
過去と現在のフィルス帝国を知りたい。
知ったからといって自分がその国を救えるなどと、そんな烏滸がましい事は考えてはいないし、関わりたいとも思わない。
だが、好きな人たちの故郷を知りたい。ただ、それだけの思いから本を読み漁っているのだ。
「ユーリ様、そろそろ夕食の時間です」
リリに声を掛けられ、はっとしたように顔を上げれば、既に日は傾きかけていて東側にある窓の外は静かに夜が訪れようとしていた。
「ありがとう」
しおりを挟み、読みかけの本を手に図書館から出た。
図書館の外にはランと第三近衛師団分団長のエイドが待っていた。
第一・第二近衛師団はアルフォンスと共にセイルへ行っており、第三近衛師団が城内を守っているのだ。
それは主に有里の護衛という任務として。
有里がいくら鈍感でも、アルフォンスがいなくなった途端に、自分たちへの警護が厳しくなったことは気付いていた。
信用されていないのだろうか?とも考えていたが、どうもその反対だったらしい。
この度の捕り物は失敗を許されない為、騎士たちを何度かに分けかなりの数を派遣している。
という事は、普段の城内の警備も、いつもより手薄になるという事。
更に今は女神の使徒がこの国に居る。この世界に住む人々にとっては、それは正に稀有な事で、奇跡だ。
国民の心が離れ荒れたフィルス帝国にとっては、きっと喉から手が出るほど欲しい存在。
己の権力を確固たるものにするために、それまでを肯定させるための象徴であり、駒として利用価値のある存在。
そんな彼女をこのまま手を拱いて、ただ見ているだけの筈がないのだ。
現に、有里がこの世界に来てから、彼女の知らない所でかなりのフィルス帝国の間者達が捕らえられていた。
そして、アルフォンスがいなくなった途端、さらにその活動が活発になってきている。
その現状について有里には軽くしか教えてはいないが、彼女の活動範囲を制限させるには十分な理由にはなっていた。
だが、あまりにも大げさすぎるのでは・・・と有里はちらりと後ろを振り返った。
なんだか医療ドラマでよくある『院長先生のご回~診~!!』のようだわ・・・
有里が自室へ戻るまでの道のり。廊下の所々に近衛兵が立っており、そこを過ぎる度に次々とその列に加わってきて、部屋に着くころにはざっと10名近い近衛兵に囲まれ、金魚の糞よろしくぞろぞろと歩いて来たのだ。
流石に部屋の中までは来ないが、こんな状態で城内を闊歩するのはもの凄っく、非常に躊躇われるので、言われるまでもなく自主的に有里の行動範囲は狭まっている事は言うまでもない。
部屋の前に着くと有里はくるりと近衛兵達に身体を向けた。
「あの、有難うございました。明日も宜しくお願いします」
そう言いながら頭を下げると、男たちはギョッとしたように半歩後ずさり「こ、こちらこそよろしくお願いします」と頭を下げた。
リリが部屋の扉を開け、室内を確認し有里を招き入れる様に端によれば、有里は再度彼等に軽く会釈をし、部屋の中へと入って行ったのだった。
扉が閉まり有里の姿が見えなくなっても、彼等は数秒そこに立ち尽くしていた。
有里は庭園や畑仕事の手伝いの帰りに、よく騎士たちが鍛錬している広場を通っていく。
その度に話しかけたり、かけられたりしている内に雑談するまでに仲良くなっていた。アーロンも驚くほどに。
普段、有里の護衛は近衛師団以外の騎士達が務めている。
主にレスターを筆頭に、シェスなど数名の先鋭が抜擢され、護衛の特別部隊を作っていた。
だが、この度の遠征でセイル出身だった彼等に招集がかかり、皇帝専属の近衛師団が城と有里の警護を担う事となったのだ。
しかも、有里を護衛するのが初めての彼等は、何時もの砕けた態度ではなく、どこか緊張した面持ちの彼女を見るのは初めてで、そのギャップに少し面喰ってしまう。
だがこの数日、交代で彼女の護衛をした者からは、好意的な反応の報告しか上がってこない。
その理由を今初めて知る者もこの中にはいるのだ。
申し訳なさそうに護衛され、自分たちを気遣う様に声を掛けてくれたりもする。
腰が低く、とにかく気遣いの人。・・・・まぁ、有里にしてみれば、何のとりえもない自分が手厚く警護されている事がいたたまれなくて、それが態度に出ているだけなのだが・・・
「・・・なんか、レスター達が入れ込むのも良く分かる気がする・・・」
「う、うん・・・なんというか・・・」
「「すっごい、良い人、かも・・・」」
数人が声を合わせて惚けたように呟いた。
正に笑っちゃうほど、率直な意見である。
意外と有里の護衛職は人気があり、その噂は近衛師団にまで聞こえてきていた。
所属部署は違えど、同じ騎士同士。互いに情報交換の名目で、交流はあるのだ。
皇帝の妃候補で女神の使徒。これだけの肩書があるにも関わらず、気さくで飾らない人柄。
普段高慢ちきな貴族令嬢しか見ていない彼等にとっては、心のオアシス。正に、癒し的存在だ。
彼女には身分など通用しないとは言われていたがその通りで、あまりに気さく過ぎてアーロンに『警備が難しくなる』とお小言を食らうくらい今では顔が広い。
「陛下がお帰りになるまで、何が何でも護るぞ」
エイドが今、改めて思った事を言葉にすれば、傍に居た者達は力強く頷き、各々の持ち場へと散って行ったのだった。
***********
ココだけのネタバレ
エルさんは、実はフィルス帝国からの当時のユリアナ皇帝を殺すための派遣された暗殺者でした。
それが何故か皇帝に気に入られ、反対に付きまとわれ、そのしつこさに根負けし、護り刀と呼ばれる位の側近になったのでした。
フィルス帝国の事を知るためだ。
女子会のあの夜、有里が大泣きしてすっきりとした後、アルフォンスの事や有里自身の事を色々白状させられ、恋愛に関する考え方もあっさりと切り捨てられた。
「ユーリ様ってやっぱり馬鹿ですね」
「あちらの世界で親をしていたのであれば、分かって然るべき事です」
「あなたは、完璧な親でしたか?欲に溺れる事の無い人間でした?」
「親だって一人の人間なのです。誰にだって間違う事があるのですよ」
「ユーリ様が良く言っている『反面教師』もいいですけど、度を過ぎれば毒にしかなりません」
「もっと素直に自分の気持ちに従った方がいいと思います」
「例え陛下に溺れたとしても、きっと宰相閣下達は大喜びすると思いますし」
「恋愛事に陛下は国をおろそかにすることはありませんし、ユーリ様が危惧する見っともない事態にはならないと思います」
「なので、どんどん甘えていいと思います」
何だかすでに、アルフォンスと恋愛する事前提で説教されているのが気になったが、自分よりも大人な意見にただただ頷く事しかできなかったことは言うまでもない。
言葉を詰まらせる有里に、双子たちは何処か悟ったような表情で「それに、恋とはそんなものです」と呟いた。
あまりに大人びた発言に有里は苦笑しながら「・・・・あなたたち、何歳?」と思わず聞いてしまう程に、どこか達観している感じだ。
「幼い頃からそういう世界を見て育ちましたし・・・周りは皆、男の取り合いでしたから」
「ユーリ様のほうが珍しいですよ。あまりに理性的すぎるので」
「あ・・・うん。ありがと・・・」
と、意味もなくお礼を言ってしまうくらい、その発言は有里にとって衝撃的だった。
彼女等二人はフィルス帝国からの難民だ。
彼女が生まれ育った所は、皇都であるルビアーノ国にある貧困層の集まり『リーサ』と呼ばれている地域だ。有里の世界でいう『スラム街』によく似ている。
暗黒時代に生まれた地域で、元々は女好きな皇帝から娘を守る為に隠れ住んでいた人達が作ったコミュニティだったが、いつの間にか定住するものも出てきて、次第に貧困者や訳ありの人間たちが集まる様になり、王都の中で最も治安の悪い地域となっていた。
幼い頃に両親を亡くし、リーサを治める権力者であり皇都の犯罪組織をも取り仕切っていた人物の元に引き取られたが、八才になると娼館へと売られそうになり、リーサ唯一の良心とも呼ばれている人物の手助けによって、その頃来ていたユリアナ帝国の商人たちの船に密航し難を逃れたのだ。
そして、たまたま仕事で船が到着した港町に来ていたエルネストに拾われ、今に至る。
それはちょうど十年前の事で、フィルス帝国の皇帝が代替わりする一か月前の事だったという。
「だから、我々はこの城内で働けるのです」
その意味とは、今のフィルス帝国は事実上、宰相が国を動かしている。しかも、独裁者のように。
そして、間者や暗殺者を次々と送ってくる。難民を装ってそういう奴らが城内に入り込む可能性がある為、これまで以上に入国した者への管理が厳重となり、城内での労働が制限されたのだ。
「私たちがエルネスト様に拾われた事。それは女神に感謝してもしきれないほどの幸運でした」
前に言っていた『エルネストは命の恩人』と言うのはこの事を言っていたのだ。
何を隠そうエルネスト自身もフィルス帝国のリーサ出身者だ。しかも、かなり訳ありの様で有里自身も何故、彼が前皇帝に拾われたのかまでは知らない。
エルネストにしても双子達にしても、世間や人に対して割り切ったものの考え方を持っていた。
それぞれの置かれていた立場や生活環境、関わっていた人間によって考え方が変わってくるものだが、この三人に関しては何処か似た様な所がある。
彼等を取り巻いていた環境・・・フィルス帝国の事を知りたい、と単純に思った。
フォランドの言っていた事は、歴史的には間違ってはいないのだろう。
でも、その国の人間にしか分からない事実もあるのかもしれない。
過去と現在のフィルス帝国を知りたい。
知ったからといって自分がその国を救えるなどと、そんな烏滸がましい事は考えてはいないし、関わりたいとも思わない。
だが、好きな人たちの故郷を知りたい。ただ、それだけの思いから本を読み漁っているのだ。
「ユーリ様、そろそろ夕食の時間です」
リリに声を掛けられ、はっとしたように顔を上げれば、既に日は傾きかけていて東側にある窓の外は静かに夜が訪れようとしていた。
「ありがとう」
しおりを挟み、読みかけの本を手に図書館から出た。
図書館の外にはランと第三近衛師団分団長のエイドが待っていた。
第一・第二近衛師団はアルフォンスと共にセイルへ行っており、第三近衛師団が城内を守っているのだ。
それは主に有里の護衛という任務として。
有里がいくら鈍感でも、アルフォンスがいなくなった途端に、自分たちへの警護が厳しくなったことは気付いていた。
信用されていないのだろうか?とも考えていたが、どうもその反対だったらしい。
この度の捕り物は失敗を許されない為、騎士たちを何度かに分けかなりの数を派遣している。
という事は、普段の城内の警備も、いつもより手薄になるという事。
更に今は女神の使徒がこの国に居る。この世界に住む人々にとっては、それは正に稀有な事で、奇跡だ。
国民の心が離れ荒れたフィルス帝国にとっては、きっと喉から手が出るほど欲しい存在。
己の権力を確固たるものにするために、それまでを肯定させるための象徴であり、駒として利用価値のある存在。
そんな彼女をこのまま手を拱いて、ただ見ているだけの筈がないのだ。
現に、有里がこの世界に来てから、彼女の知らない所でかなりのフィルス帝国の間者達が捕らえられていた。
そして、アルフォンスがいなくなった途端、さらにその活動が活発になってきている。
その現状について有里には軽くしか教えてはいないが、彼女の活動範囲を制限させるには十分な理由にはなっていた。
だが、あまりにも大げさすぎるのでは・・・と有里はちらりと後ろを振り返った。
なんだか医療ドラマでよくある『院長先生のご回~診~!!』のようだわ・・・
有里が自室へ戻るまでの道のり。廊下の所々に近衛兵が立っており、そこを過ぎる度に次々とその列に加わってきて、部屋に着くころにはざっと10名近い近衛兵に囲まれ、金魚の糞よろしくぞろぞろと歩いて来たのだ。
流石に部屋の中までは来ないが、こんな状態で城内を闊歩するのはもの凄っく、非常に躊躇われるので、言われるまでもなく自主的に有里の行動範囲は狭まっている事は言うまでもない。
部屋の前に着くと有里はくるりと近衛兵達に身体を向けた。
「あの、有難うございました。明日も宜しくお願いします」
そう言いながら頭を下げると、男たちはギョッとしたように半歩後ずさり「こ、こちらこそよろしくお願いします」と頭を下げた。
リリが部屋の扉を開け、室内を確認し有里を招き入れる様に端によれば、有里は再度彼等に軽く会釈をし、部屋の中へと入って行ったのだった。
扉が閉まり有里の姿が見えなくなっても、彼等は数秒そこに立ち尽くしていた。
有里は庭園や畑仕事の手伝いの帰りに、よく騎士たちが鍛錬している広場を通っていく。
その度に話しかけたり、かけられたりしている内に雑談するまでに仲良くなっていた。アーロンも驚くほどに。
普段、有里の護衛は近衛師団以外の騎士達が務めている。
主にレスターを筆頭に、シェスなど数名の先鋭が抜擢され、護衛の特別部隊を作っていた。
だが、この度の遠征でセイル出身だった彼等に招集がかかり、皇帝専属の近衛師団が城と有里の警護を担う事となったのだ。
しかも、有里を護衛するのが初めての彼等は、何時もの砕けた態度ではなく、どこか緊張した面持ちの彼女を見るのは初めてで、そのギャップに少し面喰ってしまう。
だがこの数日、交代で彼女の護衛をした者からは、好意的な反応の報告しか上がってこない。
その理由を今初めて知る者もこの中にはいるのだ。
申し訳なさそうに護衛され、自分たちを気遣う様に声を掛けてくれたりもする。
腰が低く、とにかく気遣いの人。・・・・まぁ、有里にしてみれば、何のとりえもない自分が手厚く警護されている事がいたたまれなくて、それが態度に出ているだけなのだが・・・
「・・・なんか、レスター達が入れ込むのも良く分かる気がする・・・」
「う、うん・・・なんというか・・・」
「「すっごい、良い人、かも・・・」」
数人が声を合わせて惚けたように呟いた。
正に笑っちゃうほど、率直な意見である。
意外と有里の護衛職は人気があり、その噂は近衛師団にまで聞こえてきていた。
所属部署は違えど、同じ騎士同士。互いに情報交換の名目で、交流はあるのだ。
皇帝の妃候補で女神の使徒。これだけの肩書があるにも関わらず、気さくで飾らない人柄。
普段高慢ちきな貴族令嬢しか見ていない彼等にとっては、心のオアシス。正に、癒し的存在だ。
彼女には身分など通用しないとは言われていたがその通りで、あまりに気さく過ぎてアーロンに『警備が難しくなる』とお小言を食らうくらい今では顔が広い。
「陛下がお帰りになるまで、何が何でも護るぞ」
エイドが今、改めて思った事を言葉にすれば、傍に居た者達は力強く頷き、各々の持ち場へと散って行ったのだった。
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ココだけのネタバレ
エルさんは、実はフィルス帝国からの当時のユリアナ皇帝を殺すための派遣された暗殺者でした。
それが何故か皇帝に気に入られ、反対に付きまとわれ、そのしつこさに根負けし、護り刀と呼ばれる位の側近になったのでした。
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