ゆめも

toyjoy11

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戻った公爵子息

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まず、父が誰とそんな交渉をするのかを探ることにした。
父はいつも金策で外に出ていた。
そんな中、屋敷内で交渉するとしたら誰だろうか?

一人は叔父。現在、ミディアム伯爵家当主をしている人。彼から父はいつも金を借りていた。
だから、叔父ではない。

一人は義母の実家の伯父。彼も金を貸してくれる側。
だから、伯父でもない。

最後の一人は、うちに最近よく来る商人ガモエル。
ガモエルは領地の貴金属を父から直接購入していた奴だ。

・・・前世では気付かなかったが、脱税だ。国に申告なく、財産を売る行為は違法だ。

・・・確実に彼だ。
ガモエルが父と血が伴う交渉をしていた。

つまり、ガモエルを排除しようと思う。

しかし、どうやればいいんだろうか?殺すだけなら、護衛兵に頼めばいい。しかし、ガモエルの金でギリギリ領地を保っていたと考えるとそれは無謀と言うものだ。

なら、どうする?

前世、私は第二王子のもとで帳簿整理をさせてもらっていた。
聖女様に喜んでもらうために、外貨を稼ぐためである。
無断で物を売ると言った違法行為はできないので、ちゃんとした形で設ける必要があった前世の俺は、当時珍しかった劇場への投資をしたのだ。演目は第二王子と聖女様の恋物語。
結果、聖女様は民衆の支持も得られ、懐も・・・。

なら、それをやれば、少なくともお金の問題は無くなる。
でも、それをするためには、以前スカウトした演出家や役者たちは今、この時代に集まっているだろうか?
確か、演出家はこの時期にも売れない作家をしていた気がする。しかし役者は違った気がする。それぞれ、普通に働いていたり、学生をしていたと記憶している。

でも、それでもだ、可能性があるなら、集めよう。
そのために何が必要だ?
金だ。
人員だ。
場所だ。

しかし、場所も人員もそして、金も無い。
なら、どうする?どうする?

そうだ、あの演出家は前世でよく『出資者』を募っていた。
ならば、まず、演出家を手に入れよう。
成長していないのなら、成長させよう。

そして、出資者を募ろう。
平民の演出家が出来なくても私ならきっとできる筈だ。

そう考えて、専属執事にお願いしようと彼の方を向いた。
彼はアワアワと焦っていた。

何を焦っているのかと思えば、頭を押さえながら、私がブツブツ言い始めて、そして、頭を何度も振り、そして、急に泣き始め、またブツブツ。そして、立ち上がってこちらを見たかららしい。

・・・確かに、焦るな、それでは。

専属執事のレントに抱っこしてもらい、私は自分の部屋に戻った。
レントは部屋から出ようとするのを止めて、今までの経緯を話した。
レントは、始め、何を言っているんだと言うような呆れたような顔をした。しかし、話が進むにつれ、真剣な眼差しになっていった。そして、妹と義母の命を父が奪うかもしれないと言う結論を言った瞬間、レントの顔は真っ青を通り越して、真っ白になっていた。
目に感情が無くなっていた。
そうさせない為の策の話を始めて、レントはいろんなことを質問してきた。

一つ一つ答えた。
出来るだけ丁寧に、真摯に答えた。

レントは、私を抱っこしなおして、教会に連れて行くと言い出した。
「悪魔につかれている。」
と言って。

「何をバカな。」
と私は否定したが、有無も言わさず、レントは父と義母に訴えた。父と義母に私が「知らない男の声が直接脳に聞こえて」と言うところを強調して訴え、前世のことや妹と義母の殺害の話は隠してくれた。
そして、今すぐ、王都の教会に連れて行かせてほしいと訴えたのだ。
知らなかったのだが、レントは王都にいる司祭と知り合いらしい。
義母はためらったが、父はたった一人の息子をそんな状態にしたくないと言って、すぐに馬車を準備して、私を王都へ送る様に護衛兵を8人。侍従やメイドもさらにつけて、王都の別邸に私を移動させる準備を始めた。もちろん、レントも連れて。

準備であわただしくなっている中、レントに
「信じてくれなかったのは、残念だ。」
と言ったら、レントは表情を変えずに
「今のセルジオ様にはお話しできません。しかし、私は貴方の執事です。」
と答えた。

準備が整い、私たちは、王都へ向かった。
姉と妹が困った顔でこちらを見ている。いや、困った顔じゃないのかもしれない、あれは心配している顔なのかも・・・。いや、声をかけることはレントに許されなかった。

「悪魔の言葉を信じているセルジオ様には申し訳ありませんが、口枷をさせてもらうことになりました。」
と言われて、口枷がついているからだ。

私は、家族が見送りに来てくれたのに何も発することもできずに、王都に行くことになった。

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