ゆめも

toyjoy11

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戻った公爵子息

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王都の教会まで、私は沈黙しなくてはならなかった。
だから、その時間は勉強にあてた。
いろんな本を様々なジャンルの本を読み続けた。

レントの言葉なんか聞きたくなかった。

1週間ほど経ち、王都に到着した。
私は隠されながら、レントの知り合いの司祭に会うことになった・・・のだが、護衛は教会に入ることが許されなかった。侍従たちやメイドたちもだ。一度、別邸に戻る様に教会の人たちに言われて、すごすごと帰らされた。
今、レントと私だけだ。

そして、司祭らしき人が来て、着替えを渡された。
レントに着替えを手伝ってもらい、着替える。
その後に、水場に連れていかれた。

着替えたばかりなのに脱がされて、風呂に入らされた。
また、違う服を渡される。

レントに着替えをさせた。なんだか疲れてしまって、自分で服の着脱が困難になった為だ。

その後、真っ白い部屋に案内され、何時間も待たされた。
食事は与えられず、水だけ許可された。

そのせいで頭がクラクラする。
気力だけで、椅子に座っている。

しばらくして、先ほどとは別の司祭が現れた。
透明なゼリーみたいなものがガラスの器に入っていた。
それを食べるように言われたが、既にフラフラしていて、手が動かない。
レントに目で無理だと伝えたのだが、レントに一口ずつ、無理のないように、それでも強引に食べさせられた。
吐き出したいのに、まるで、自らの意思を持っているかのようにそのゼリーは口の中に入っていった。

全部食べた後は、既に体が痙攣して、何もわからなくなっていた。

そこからの記憶は無い。

気付いたら、水色の部屋にいた。
長い髪の美しいこの世のものとは思えない青年に覗き込まれていた。
私は横になっていて、レントに膝枕されていた。

口枷は外れていた。
何か頭がスッとしていた。

青年に軽く頭を撫でられた。
「幼いのによく頑張りましたね。」
と楽器の音色のような声で言われて、一瞬、固まった。音色と認識したせいで言葉が分からなかったからだ。一度、音を飲み込み、時間をおいて、理解した。
「私が?頑張った?」
言っている意味が分からなかった。
私は本当に悪魔に憑かれていたのかと思った。

あまりに混乱していたため、そして、かの方の言葉を理解するのに時間がかかって、なかなか話が進まなかったが、それでも、焦らず、かの方もレントも教えてくれた。

まず、かの方はレントの幼馴染。そして、教主様だった。聖人として、この国の守りの結界を展開している人である。そう、レントの知り合いは司祭ではなかった遥かにその上位の教主様だったのだ。

次に、私は悪魔に憑かれて・・・正確には呪われていたが、同時に神の加護も受けていた。
私が度々聞いていた声は神の声で間違いないとのことだった。

つまり、レントは私の言ったことを信じていたのだ。
信じた上で、色んな矛盾を見つけ、ここに連れてきてくれたと知った。

私はレントにごめんなさいをした。レントは笑って許してくれた。

私は改めて、前世のことを二人に伝えた。
そして、恐ろしいことに前世を語りながら気付いた。

確かに私は呪われていたのだ。聖女に化けたあのマリアに。前世から現世に時間遡行した今現在も、私はマリアの呪いに罹ったままだったのだ。
呪いの内容は『矛盾を理解をするのを阻害』『魅了』『生贄』だった。
私の命は、呪いが解けるまで、マリアによって、生贄に出されていたのだ。

神様の加護を得ることで現世では抵抗出来て、考え直し、レントに伝えることが出来たが、それでも絶対的な主人たるマリアのことについては、全く疑問も持た無いようにされていた。
教主、セイレーン様が呪いを解いてくれなかったら、今世もかなり恐ろしいことになっていただろう。
想像に難くない。

最初からちゃんと前世の出来事だけを手繰る。

妹と義母の死。
姉と第二王子との婚約。
学園入学前に第一王子の無実が発覚
学園に入学
マリアと出会う
マリアは第二王子、宰相子息、魔法団長子息である私。騎士団長子息を虜にした。要は4股。なのに、何の疑問も覚えなかった。
彼女の為に、4人全員がいろんな貢物をして、マリアは贅沢三昧をしていた。
婚約者の姉が忠言するのは当然だった。
「慎みが無い。」「複数相手に、はしたない。」
と当然のことを彼女に言っていた。

そう、当然のことを。
明らかに行動や言動がおかしくなっていた私たちを何度も姉は止めようとしていた。

最終的にマリアを殺そうとしたのは、マリアを悪と確信したための結果だろう。
セイレーン様の言うには、マリアは確実に人間ではないんだそうだ。

そして、本来の聖女はマリアに入学してすぐ殺されていたという事実に気付いた。
アリア・ミルフィス。
当時は事故死で解決していたが、呪いが解かれて、マリアが毒殺したと気付いた。
何処が、どうやれば毒殺が自殺になるんだと前世の自分を責めたい。

そして、私はあんなに必死に私を守ろうとした姉を殺したのだ。前世では。
姉は私たちが姉を虐げて、バカにして、嘘つき呼ばわりをし続けたのにも関わらず、姉は私たちを守ろうと必死に頑張っていたのだ。

なのに、なのに、私は何の疑問を持つことなく、彼女の死刑を執行したのだ。自らの意思で。

なんと、私は愚かだったんだろうか。
家族をなんで、信じなかったんだろうか?

なんと・・・私は恐ろしい真似をしたんだろうか・・・。

涙が止まらなかった。


私たちはこれからのことを話し合った。
まずは妹と義母の安全の保障。
それは、兎にも角にも父から離すことだ。

父の真似をして、殺されたのなら、真似をしなければ良い、とりあえずは。
次にどうやって父の不正を暴くかだ。
証拠となる帳簿は父側の人間が管理しているだろう。
簡単に手に入るなら、義母に頼めばいいのだが、それにより義母は殺される可能性が高い。
なら、別の手が必要になる。
正直、既に父は不正をしているのを私たちが見ている。領地のものを不正に売買している。これは確実。
手段を講じていたら、セイレーン様が「私が手を貸そう。それならすぐだ。」と言い、手から鳥を出したかと思うとそれに何か言って、飛ばせた。
数分後、一人の青髪の青年が部屋に訪れた。彼の名前はケイリー・デキマスデス。彼を派遣するだけで、不正の証拠集めは簡単らしい。
彼に私からもお願いして、彼は了承してくれた。
次に、父が居なくなった後の話だ。
父はどういう処分になるかは不明だが、その間に領地が無くなっては困る。
その為、領地経営が不足なく行える人物が必要。
それについて話し合いの中心はケイリーがしてくれた。

父は排斥。これは確実に行う。
領主に私が立つこと。これは、直ぐにではなく、後ほどで。
私が成人するまでは義母の父、すでに引退した元伯爵に頼むこと。

次に彼女・・・姉は、マリアに抵抗できるだけの魔力を持っている。だからこそ、マリアに執拗に狙われていた。だから、姉の保護が必要。家族は残念ながら当てにできない。私を含めて、マリアに耐えることは困難だ。

だから、姉には一時的に出家してもらうことに。名目上はセイレーン様の側仕えにするとのこと。短期らしいけどね。
マリアのことが解決出来たら、家に戻ってもらえるようにするとのこと。姉と妹の二人には側仕えをしない間は教会学校に通ってもらうことになるんだそうだ。

そう、妹についても姉と同様に側仕えにするんだそうだ。恐らく、妹も抵抗魔力が強いんだそうだ。

つまり、ビリッケツは私のようだ。
父は魔法団長であるが、魔法以外はビリッケツ。私は父と同じくらい魔力はあるが・・・家族の中ではビリッケツ。私は父のそう言った才能を引き継いだらしい。
自分の中の自分に毒を吐いてしまう。

次に劇場について。
恐らく、演出家は現時点でこの王都のどこかにいる。
場所はなんとなく予測がついているので、そこは問題なし。問題は役者たちだ。
すると、レントが
「私の知り合いに掛け合いましょう。」
と言ってくれた。レントの交友関係が謎過ぎる。
脚本は前世では私が書いたものを使用した。今度もそれでいいだろうと許可が下りた。
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