ゆめも

toyjoy11

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見ることを止めた令嬢は元悪役令嬢だったらしい

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私はド近眼だった。
だから、分厚い眼鏡をかけていた。
ハードコンタクトレンズでは、私の視力を補強できなかった。
いわゆる、後天的弱視になるんだそうだ。

私には悪癖がある。
熱中すると時間を忘れてしまうと言うこと。
寝食を忘れ、明るいか暗いかなんかも忘れ、熱中する癖。

結果、就職したのはブラック研究所だった。
他の研究所は知らないけど、うちの研究所には私と同類が一杯いた。
サービス残業当たり前・・・と言うか、終業時間に気付かずに2徹3徹当たり前。24時間営業どころか72時間連続稼働がザラだった。
そして、ブラック研究所は、安全設定もしていないところだった。
結果、妙なテンションに気付かず、研究チームは研究室内に蔓延する一酸化炭素に気付かなかった。
研究室に運び込まれていた炭素ガスの栓を閉め忘れていたらしい。
加えて、気密性の優れた研究室で実験してたから・・・。

まぁ、当然の結果だと思わなくもない。
徹夜のハイテンションで全くそれが異常だと気付かなかったし、気が遠くなるのはきっと眠いからだと思っていた。
皆で栄養ドリンク飲んで、もうちょっと頑張ろうとか思ってたら、全員次々に倒れて・・・。

気付いたら、6人とも真っ赤な顔の偉い人の前に立たされていた。
そして、ものすんごく説教された。

結論:死因:一酸化中毒。
一応、事故。

目の前の真っ赤な顔の御仁の言うには私たちは死ぬ予定は無かったんだそうだ。
だが、私たちが作っていたものは、今後地球の寿命を延ばすのに、とても役立つものらしく、それに関してはとても感謝しているんだそうだ。

はい。
この時点で、私たちの脳は、自分が死んだことよりも研究していたものが実績を残すと言われてことで歓喜にのまれました。
みんなで、肩を組み合い、涙し、称えあいました。
正直、死なんかより、結果を残したことの方が重要だと言うのが、真っ赤な顔の御仁にも伝わったらしく、残念なものを見る目で見られ、なんか、私たちを無視して、色んな顔の御仁たちに私たちは割り振られ、あれよあれよとそれぞれ別の場所に運ばれてしましました。

なにやら、青い顔の御仁がなにやら言っていたような気がしたのですが、なにせ、眠くて。
3ヶ月の間に寝ていた時間は何時間だったんだろうか?
いや、むしろそんな生活を5年は過ごしていた気がする。

いやいや、先輩はそれをはるかに超えて活動していた。
私なんて、序の口序の口。

とか考えてたら、雷が落ちた。
物理的にも精神的にも。
目の前の御仁が鬼の形相で説教。



そして、気付いたら、青髪青目の公爵令嬢になっていた。

レディシア・カルネック、3歳。
雷に打たれて、全身やけどを王宮お抱えの医師に無理を言って来てもらい、治療中である。

***

結論、3歳の子供に落雷が起きて、死亡。でも、私が乗り移ったので記憶喪失と言うことになった。

・・・多分、あなた達の子は、お亡くなりになったんだと思うよ。
うん。ごめん。

いや、何と言うか、本当ごめんなさい。

体が動くようになって、私は後先考えず、そのことを伝えて、彼ら…レディシア・カルネックの両親に挺身低頭謝った。

初めは、私が混乱して、そんなことを言っているのだろうと思っていたらしいのだが、まず、母親が実感し、その後、父親も実感したらしい。
何がどこでそう感じたかは知らない。
でも、このご両親は気付いたらしい。

レディシア・カルネックと言う女の子は、とてもご両親に愛されていたことは分かった。
本当に申し訳ない…。


まぁ、暗い話はさておき、カルネック夫妻は私のことをわかってもなお、私を受け入れることを了承した。
そして、自分のことして、育てることにしたらしい。

でも、同じ名前と言うのはとても悲しいんだそうで、私の名前はレティシア・D・カルネックになった。
なんとなくだが、Dはダウト(嘘)の意味なんじゃないかとか思うけど、気にしないことにした。

教会の洗礼を改めて受け、その結果、やっぱり、魂が変わったせいで、属性とかも変わったとか何とか。

…はい。
ごちゃごちゃすみません。

初めっから説明いたします。

この世界は、剣と魔法のファンタジーな世界です。
そして、中世ヨーロッパな身分制度のある国です。

ネットで流行りのご飯チートが出来そうな文化レベルです。
でも、砂糖も塩も胡椒も安価なので、そこらへんは違いますね。

だって、魔法で植物成長促進ができる世界なんですもん。
むしろ、塩の方が高かったりしますね。

まぁ、世界背景はこんなんです。

そして、私が今いる国は王国。
私が所属しているのは、公爵家。筆頭ではないですが、4公爵のうちの1つです。

ここで、私の脳みそは「四天王のうちのひとり」とか抜かしましたが、無視することにしました。

で、カルネック公爵家の血筋は水と風の2属性を持っていることが多いらしいのですが、レディシア・カルネックは、前回の洗礼の際、雷しか持っていなかったらしいのです。しかも、それさえもまともに使える余地がないと言う結果だったらしいのです。

それを理解したのが、私が入れ替わるちょっと前の出来事。
そして、理解した彼女がやったことは「雨の日に金属の棒を振り回し、雷をわが身に落とせば、雷属性が強化されるのでは?」と言う危ない行動。

頭がいいんだか、悪いんだか。
この時代から言えば、天才だけど、その後のことや雷のことを考えると・・・。
・・・悪いなうん。

親の目を盗み、実行した結果、彼女はお亡くなりになり、私が入り込んだと言う悲しい結果に。

そして、私の属性はと言うと
『全属性+精霊眼』
と言う結果だった。

レディシアのご両親はとてもとても複雑な顔をしていた。

うん。私がわるい。ごめんね。

で、ご両親に相談。
今後のことについて。

一応、成人までしっかり育てるし、好きなことをやっていいと言われたけど、出来れば、成人後は結婚して、家を出て欲しいんだそうだ。結婚しなくても成人後は、出て行ってほしんだそうだ。

「はい。ご迷惑をおかけいたしますが、どうかよろしくお願いいたします。」
と言って、彼らに感謝しました。

本当に、彼らには申し訳ないことをしたと思う。

だから、彼らの為にも私は彼らの為になることをしようと思った。


彼らは腰痛持ちだった。
原因は椅子もだし、ベッドもだし、馬車もだと思われる。
この世界、スプリングが無い。
でも、私には塑性変形に適した材料も弾性変形に優れた材料も知らない。
加えて、鋳型ではない押出成形による金属加工の技術方式も詳しく知らない。
詳しく知らないので、私は早速好きにすることにした。

3歳児が一人で出歩くのはいろんな意味でNG。
なので、侍従抱っこで、あちこち移動することになった。
護衛騎士は、レディシア・カルネック嬢が以前からつけていた人が継続して着くことになっている。

身の安全を確保したうえで行動を開始したのだった。

***

行先は、ドワーフの名工がいると言われる王宮地下。
はい。
強制労働をさせられている模様。

そこに侵入。色々あって…。
一人子供を誘拐してきました。

一番、若い子…あれ?女の子かな?髭があるけど。

誘拐するにあたり、ドワーフさんの村長さん的な人に話し合いに行ったところ、この子を差し出されたんです。
ここで生き続けるより、私の元にいる方がよっぽどマシだって言って。

でも、身代わりの死体が必要とか言われたので、生きている羽根の少ない鳥を何羽か持ってこさせて、その場で首狩り。
吹き出す血しぶき。

鳥の羽は丁寧に回収。
肉はドワーフさんと護衛騎士さんたちの胃袋にIN!

炉に骨を突っ込んで焼き焼き。
その最中に見回りが来たので、私たちは撤収。
ドワーフたちはオイオイと泣き始める演技を始めたしね。


で、ドワーフのミレアちゃんをゲットしました。
ミレアちゃんは女の子で、20歳ですが、身長は120㎝だし、髭もあるしで、話し合いをみんなでした結果、精霊に変装することになりました。
皮ミノを装着。被り物も装着。
基本、公爵家職員用第二別棟内では何しても大丈夫と言うことに。
公爵家職員用第二別棟は、30年前に使われていたメイドたち専用の宿舎だったんだけど、老朽化の問題で、解体予定だったんだけど、放置されていたところ。
使用全盛期は、40人のメイドが寝泊まりしていたところだから、別に狭くはない。。隙間風が入り込んでるし、強度が無いってだけで。

ミレアちゃんにそのことを伝えたら、滅茶苦茶喜んで、聞いたこともない鉱物や木材の注文をしてきました。
侍従に手配をお願いしたら、あっと言う間に材料を丁稚っぽいのが持ってきて、そして、1日位かけて、内装は新品同様に鍛冶工房に変化(但し、外観はボロのまま)。強度や隙間風問題もミレアちゃんの技術で補強され、解決されましたとさ。チャンチャン。

ちなみに、カルネック夫妻は了承済みです。

で、それから半年ほどたったある日、目の前が大量の小人で溢れてました。
加えて、ミレアちゃんによって、スプリングコイル完成!
馬車にもベッドにもソファーにも取り付けられましたよ!勿論。

カルネック夫妻は腰痛が改善したし、来年に弟か妹も生まれるんだそうだ。
良かった良かった。

そこらあたりからカルネック夫妻の私への扱いがちょっと変わってきた。
いい方向に。

全面肯定型無視から、肯定歓迎型に移行してきている。

正直、個人的には無視のままで良いんだけどね。


あー逸れた逸れた。
まぁ、なんだ・・・精霊がまともに見えるようになったんですよ。
結果、前が見えない程精霊まみれ。
コケるし、ぶつかるし、大変。
でも、精霊見えない人にはいろんな意味で期待できないしなぁ・・・。

両親との話し合いの結果、
見えないなら、塞いでしまおう、視界事。

と言うことで、私は魔力封じの布で視界を塞ぐことになりました。
目隠しですね。

瓶底メガネの時も感覚で歩くとかしていたので、練習をちょっとしてコツを掴み、私は見ることを止めても生活できるようになりました。

現在12歳の春。
小学生になるらしいです。

・・・はい。
ちょっとの練習ではありませんです。めっちゃ頑張って訓練しました。はい。

他の3公爵は既に婚約者が12歳のお子さんが居ればいるらしいのですが、私は目を塞いでる関係上、婚約者がいません。
この王国には4人王子が居て、それぞれ、お子さんが王子に割り振られているのかと思えば、4つの家のうち2つは男の子だけなので、嫁は用意できず、婿を仕入れるんだそうだ。
本当、牛の出荷みたいな言い方でちょっと嫌な感じ。

だから、王子が2人余ってます。
しかし、私には縁談は無し。

まぁ、うん。しゃーない。

***
と思っていた時期もありました。
小学校…第一魔法学園小当部の入学に当たり、同時に入ってくる末っ子の第四王子が暗殺未遂に会いました。
第四王子は、伯爵家の側室の子。
後ろ盾が一番少ないところでした。
私とは同い年です。

で、命守りたいと言うことで、私が婚約者に。
ちなみに外見はとても男児と思えない程整った可愛い男の子らしいです。

初対面の時、第四王子ラクリス殿下は私の目を見て見るからに安心した雰囲気を醸し出してました。
何があったかは知りませんが、苦労なさったんですね。
可哀想に・・・。

ちなみに、婿入りと言うことになりそうなのですが、私は成人後、家を出なくてはいけません。
まぁ、カルネック公爵家には子爵の地位も余分に持っているらしいので、私たちはその地位になるようです。

なんか、カルネック夫妻、最近前より私に対して、優しいんですが、どうしたんでしょうか??


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