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スカートの後ろがもぞもぞする。
エレベーターの中には、男の人しかいなかったはず。
まさか、痴漢!
どうしよう!怖い!
お尻をまさぐられる。
ひっ!
怖くて声も出ない。
その時、エレベーターのドアが開き男女が乗って来た。
た、助けて!
震えて声が出ない。
「おい!お前!何してる!」
男の人の声がした!
後ろにいた男は、丁度開いたエレベーターのドアから出ようとして、慌てていたのか転んでいた!
声を出した男の人は、転んだ痴漢を警備員に引き渡していた。
ああ!もう大丈夫なのね・・・。
本当に怖かった!
私は知らず知らずのうちに涙が溢れて、男の人に感謝も言えなかった。
すると男の人は、私にハンカチを渡してくれた。
なんて優しい人だろう・・・。
でも、連れていた女の人に強引に引っ張られて行ってしまった。
もう会う事もないかもしれない男の人に、優しくされて感謝もできなかった事が心残りだった。
このハンカチを返したいけれど・・・。
私はショックでランチどころではなくなり、急いで帰って来てしまった。
マンションに入ると、由美子が帰ってきていた。
「あら、早かったのね。いろいろ買い物して、遅くなるかと思ってたんだけど・・・。どうしたの!顔色が真っ青じゃない!」
由美子はびっくりしている。
その顔を見て、ホッとしたら涙が溢れてきた!
「ちょっと!どうしたの!」
「・・・ッ。デパートに行ったら!痴漢にあって・・・!」
私が泣いているのを心配した由美子は、私をソファーに座らせて肩を抱いてくれる。
「皆守、怖かったね。」
「・・・うん。」
由美子には私の気持ちが分かるのね。
「・・・由美子、ありがとう。」
「何を言ってるの!そんなの当たり前でしょう!」
背中を撫でられて、少し安心する。
「皆守、犬に噛まれたと思って忘れなさい。今日は買い物に行ったんでしょう?何か良いものあった?」
「・・・ええ、ルージュの新色があったから由美子の分も買ったわ。それにスカートも買っちゃったわ。」
由美子は私が話すのに安心したのか、ウンウンと頷いてくれる。
「どんなスカート?着て見せてよ!」
「・・・ええ。」
私は自室に入り、スカートを着替える。
うん、サイズもあってるし可愛い。
こんな時に由美子がいてくれて良かった・・・。
一人だったら、泣いて家に帰れなくなっていたはず・・・。
あの男の人がいなかったら、私は死んでしまいたいと思う位ショックで、これからどこにも行けなくなっていただろう。
「・・・皆守?もう着替えた?」
部屋のドアがノックされすぐに開く。
「・・・皆守、似合ってるじゃない。細い腰が強調されてて私には似合わないわね。もう!皆守ったら、スタイルが良いから借りられないわ!」
由美子が茶化して言ってくるので、なんだか強張った心がほどけていく・・・。
「・・・ありがとう、由美子。貴女がいてくれて本当に良かった・・・。貴女は、私の理解者だわ。」
「理解者なんて大袈裟ね。友達なら当然の事よ。私に無い物をあなたが持っていて、あなたが無い物を私が持っているだけよ。それに、皆守のお陰でこの家に住まわせてもらっているんですもの。感謝してるのよ。」
私はびっくりする。
由美子がそんな事を考えていたなんて。
「私の方が由美子に感謝してるわ。無理なお願いを聞いてくれて・・・。」
「無理ではないわよ。私には渡りに船って感じよ。こんな豪華な家に住まわせて貰って、しかも服も化粧品も使いたい放題だし。人に知られたら羨ましいがられるわね!」
「由美子・・・。」
由美子の気持ちが嬉しかった。
本音で付き合える友達は由美子しかいない。
こんな私を気持ち悪いと思わずに、理解してくれて・・・。
「もう!また暗い顔をしているわよ!この家にいる時は、みんな忘れなさい!この家の中では、ただの若潮皆守なんだから!」
由美子は怒った風に言いながら、私を抱きしめてくれる。
「由美子・・・。」
私は由美子の肩に顔を埋めて思わず泣いてしまった。
~雅彦視点~。
「ああん!」
コンドームの中に射精して、さっさと女から離れコンドームを捨て去る。
「・・・ちょっと雅彦さん、酷いんじゃない?気分が台無しよ。あなた、今日はおかしいわ。」
女が恨みがましい顔をして言ってくる。
・・・確かにおかしいのかもしれない。
エレベーターで会った彼女が忘れられないのだ。
あの泣いていた名前も知らない彼女を。
「・・・。」
俺は無言でシャワーを浴びに行く。
あの後、無事に家に帰っただろうか?
こんなにも心配ならば、セフレなど無視して彼女に声を掛けるんだった・・・。
・・・また逢えたら、今度は声を掛ける。
いや、絶対に物にしてみせる。
俺は、今まで欲しい物は手に入れてきた。
会社を建てて大きくした。
女もセフレ以外にも、何人か彼女とは呼べない女がいる。
金と名誉、両方とも38歳の若さで手に入れた。
だから、女には困っていない。
だが、彼女を欲しいと思ってしまった。
だから絶対に彼女を手に入れる。
翌日、秘書が運転する車に乗り込み今日の予定を聞いていた。
「・・・木村、若潮商社からの返事はどうなった?」
「はい。我が社とは取り引きしないと言ったきりで、何度もアポを取ろうとしましたが社長も会長も取り合ってくれません。」
俺は眉間にシワを寄せる。
若潮商社は歴史のある大会社で、是非とも我が社は取り引きしたいと考えているのだ。
だが創始者の会長は、俺に会おうともしないし返事も素っ気ないものだ。
どうしたら良いのか。
「木村、会長の身辺は探っているか?何かあるだろう?」
「・・・はい。会長のご長男は、五年前に奥様と一緒に事故で亡くなってます。今の社長はご次男になります。ご長男には一人息子がいて、副社長となってます。社長と副社長の間に何かないか今調査中です。不仲とは聞いてませんが・・・。」
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「はい。」
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