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しおりを挟む「・・・石橋、雅彦?」
「はい。アクリナ株式会社の社長です。お断りしましたが、どうしてもとの事で・・・。」
「・・・分かりました。会いましょう。来週の月曜日だったら、時間があるはずですね。その時間なら都合が良いと連絡して下さい。」
「はい。かしこまりました。」
秘書の川端さんは、ホッとしたように頭を下げて出て行った。
石橋雅彦?
知らない名前・・・。
強引にされると断れない・・・。
こんなんじゃダメなのに・・・。
お爺様に怒られてしまう・・・。
やっと仕事を覚えて、お爺様に認めてもらい始めた所なのに、何事もないといいのだけれど・・・。
私はため息を吐いて、目の前にある書類に意識を集中し始めた。
月曜日、約束通り石橋雅彦と名乗る男性が、秘書と思われる男性とやって来た。
石橋雅彦さんの顔を見てびっくりした。
だって・・・!
「はじめまして、石橋です。・・・若潮さん?以前何処かでお会いしたことがありますか?誰かに似てる様な・・・?」
・・・!
「・・・いいえ。お会いするのは初めてです。どうぞソファーにお座り下さい。」
川端さんにコーヒーを頼み、石橋さん達をソファーに誘導する。
平静を装っていたけれど、心臓がドキドキしている。
「若潮さん、単刀直入に言いますが、我が社と取り引きをして頂きたい。若潮商社にしても、得になっても損は無いでしょう。これは我が社と取り引きした時の資料として持って来ました。」
ファイルを手渡されて、戸惑ってしまう。
「若潮さん、どうか考えて下さい。」
石橋さんが私を見る瞳にドキドキする。
「・・・検討してお返事をしますので、今日の所はお帰り下さい・・・。」
私は冷静になろうとしたけど、石橋さんは私をジッと見てくる・・・。
その視線に頬が赤くなる。
気付いたかな・・・?
そんな事ないよね・・・?
「・・・あの、石橋さん・・・。」
「はい?」
・・・!
「・・・いいえ、何でもありません。これから出掛ける用事があるので、これで失礼させて下さい。」
石橋さんは強い瞳で私を見てくるので、私は身体に火が付いたように火照ってくる。
川端さんが私の言葉を聞き、石橋さんを追い出しに掛かり、石橋さんは苛立ったように部屋を出て行った。
まさかこんな所で会うなんて・・・!
ああ、どうしよう・・・。
あの時は感謝の言葉も言えなかったのに、今日は部屋から追い出してきっと嫌われてしまった・・・!
~雅彦視点~。
副社長室から追い出されたが、何か釈然としない気持ちだった。
絶対に何処かで会ったはずだ。
だが思い出せない。
綺麗な顔であの優男だ。
一度見たら忘れないはずだが・・・。
「・・・社長?どうしました?」
「・・・木村、あの副社長を調べろ。徹底的に。何処で誰に会ったか、何処に行くのか。それと女関係もな。」
「はい。分かりました。」
木村の運転する車で俺は自社に帰る。
だが考えるのはあの男の事だった。
数時間後、仕事の早い木村が早速報告をしてきた。
「社長、若潮商社の副社長ですが、仕事熱心で知られています。休みを返上して仕事をする事もしばしばだそうで、休日は家か会社のどちらかにいるらしいです。ですが、女がいますね。同じ会社の秘書で、会長付きの第二秘書になっています。それと、女の家は副社長の名義で買われています。」
「・・・あの優男に女がいる?」
「はい。」
なんだか女がいると考えるだけでモヤモヤしてくる。
おかしいな。
女には不自由してないし、男との経験もある。
そんな俺があの優男を気にするなんて。
「どんな女だ?」
「副社長とは、大学の同期だそうです。今の所それ以上は分かりません。」
「木村、女を調べろ。何か隙があるかもしれん。」
「はい。」
釈然としない気持ちを持て甘し、仕事をこなしていく。
退社寸前に、木村がまた報告をしてきた。
「女ですが、副社長以外にも男がいますね。それどころか、結婚迄いくかもしれません。男と結婚指輪を買っています。」
「・・・フッ。寝取られたのか。良い気味だ。これをネタに脅せば良い。あの優男の慌てた顔を見られる。木村、若潮の今日のこれからの行き先を調べろ。」
「はい。」
木村が部屋を出て行くと、鼻歌を歌いたい位機嫌が良くなっているのに気が付いた。
おかしい。
何故、あの優男の事でこんなにも気持ちが触れるのか。
まあ、会社の事があるからだろう。
あの会長には、煮え湯を飲まされたからな。
だがそれもこれで終わりだ。
思い知らせてやる!
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