4 / 25
4
しおりを挟む私は由美子の部屋で落ち込んでいた。
いつもならば、この家に来たら直ぐに着替えているのに、そんな気にもならない。
「あら、皆守来てたの。着替えてないなんて、どうかしたの?何かあった?」
由美子が帰って来て、私を心配して聞いて来るので、今まで我慢していた涙が溢れてきた。
「やだ、どうしたのよ。泣かないでよ。」
由美子が私の涙をハンカチで拭ってくれるけど後から後から出てくる。
「由美子・・・。今日、あの人に会ったの・・・。痴漢から守ってくれた人・・・。」
「・・・皆守に気付いたの?」
「・・・いいえ、どこかで会ったかって聞かれたけど、会ってないって言ったわ。」
「それなら大丈夫よ。皆守が女装しているなんて、普通の人は考えないから。・・・いいえ、女装じゃないわね。本来の姿になっただけでしょ。」
由美子が私の肩を叩きながら慰めてくれる。
・・・私は、性同一性障害者だ。
身体は男でも、心は女だった。
父と母は理解してくれていたが、お爺様は男は男らしく、女は女らしくという昔の人だった。
だから、私はこの家を買った。
この家は、私が女でいられる唯一の場所だったから。
理解者の由美子が、私に付き合ってくれてこの家に住んでくれているの。
由美子には付き合っている人がいるけど、その人にも私の事は秘密にしてもらっている。
だって誤解するでしょう?
人から見たら由美子は男の部屋に住んでいるのに、違う男の人と付き合っているなんて。
由美子が可哀想・・・。
こんな私に付き合ってくれて・・・。
「ごめんなさい、由美子。」
「謝らないで。あなたは悪くないんだから。会ったって人どんな人なの?」
「アクリナ株式会社の社長で、石橋雅彦さんって人よ。」
「アクリナ株式会社?それならまずいかもしれないわね。会長が会いたがらずにアポも取らなかったから、きっと会社ができてまだ数年しかたっていないのかも。社長に回したけれど、社長は会長が会わない人とは会わないでしょうから。で、どんな人なの?」
「・・・素敵な人だった・・・。でも、凄く強引な感じがした・・・。アポの取り方も一歩も引かない感じがしたし・・・。」
由美子はソファーに座りながら嬉しそうに笑っていた。
「良いじゃない!強引でも、皆守が好きになったなら!」
私は頬を赤くして手を振る。
「ち、違うわ!まだ、好きって程では・・・!」
「良いじゃないの。今まで男の人と付き合った事も無いでしょう?強引に奪われてみなさいよ!」
由美子は私の肩をバシバシ叩き笑っている。
「もう!皆守ったら、可愛いんだから!絶対に石橋雅彦って人皆守に興味を持ったはずよ。一目会っただけの皆守に、会った事ないかなんて聞く位ですもの。これから絶対にアプローチしてくるわよ!賭けても良いわ!」
由美子は興奮気味にいってるけど・・・。
「・・・でも、取り引きしたいだけだと思うわ。」
由美子にはそう言ったけど、少し気になるのは本当。
石橋さんってどんな人かしら・・・?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件
ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。
せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。
クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom ×
(自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。
『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。
(全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390
サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。
同人誌版と同じ表紙に差し替えました。
表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる