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しおりを挟むその後、僕は何も知らないままだった。
マルガリーテ様は「知らなくて良い。」と仰っているので、そのままにしたのだ。
そして、いよいよマルガリーテ様は臨月を迎えた。
「マルガリーテ様、マルガリーテ様、どうしましょう・・・!侍医はまだですか・・・!」
僕の部屋でお話をしていたのに、急に苦しみ出したマルガリーテ様を見て、僕はおろおろするしかない。
「・・・カロン、心配要らん。陣痛が始まった様じゃ。アーサン!宮殿に戻る!輿を持て!」
アーサンは急いで出て行く。
侍医長のランキも慌てて来て、脈を見る。
「女王陛下、破水していないので今少し時間はありますが、お早く宮殿に戻りましょう!」
マルガリーテ様が苦し気に頷く。
「女王陛下!輿の準備ができました!」
僕はマルガリーテ様の左肩を支えて輿迄お連れする。
「・・・カロン、後宮から出るのではないぞ。心配要らん・・・。」
「マルガリーテ様!お願いです!お側にいさせて下さい!マルガリーテ様!」
輿に乗ったマルガリーテ様を追いかけようとするが、アーサンが慌てて止めます。
「カロン様!いけません!産屋に男が入ると、子供が穢れると言われています!女王陛下に産褥で亡くなって欲しいと思われるのですか!」
僕はアーサンに言われて、足を止める。
「そんな・・・!お近くにいたいだけなのに・・・!」
マルガリーテ様が乗った輿が遠ざかっていく!
僕は涙が出てきます・・・!
「カロン様、女王陛下が心配するなと仰っておりました。お気を楽にして待ちましょう。」
「・・・はい。」
僕は仕方なく頷き、部屋で祈ります。
マルガリーテ様が御無事にお子様をお産みなさりますように・・・!
どれ程祈っていたのか、外は暗くなっていました。
「カロン様!女王陛下が御無事に王女殿下を御産みあそばしました!」
アーサンが急いで来て言います!
「ああ・・・!良かった!マルガリーテ様の体調も良いのですか!?」
「はい!御両名様共にご無事だそうです!2時間での御出産で、安産だそうです!良かったですなぁ!」
僕は安堵の涙が出て来ます・・・!
ああ・・・!
良かった・・・!
「アーサン!今からマルガリーテ様にお会いできませんか?少しでもお話がしたいのです・・・!」
アーサンは渋っているけれど、早く会いたかった!
僕が折れないと思ったのか、アーサンは会いに行ってもいいか聞きに行ってくれた。
「カロン様、女王陛下がお会いなさるそうです。行きましょう。」
「はい・・・!」
僕は嬉しくなった。
マルガリーテ様の宮殿には、すでに輿や牛車が並んでいた。
「・・・アーサン、これはどういう事ですか?産屋には男は入れないと言っていたのでは・・・?」
「はい。ですから、王女様方や臣下の方々が訪れているのです。お会いできないかもしれませんが、女王陛下が呼ばれたらすぐにお会いできるようにです。」
僕は驚きました。
「・・・では、男は僕だけですか?」
アーサンは頷きます。
僕は怖じ気づいてしまいますが、それよりもマルガリーテ様にお会いしたい方が強かったのです。
僕は牛車から降りて、マルガリーテ様の宮殿に入ります。
アーサンは牛車に残りました。
宮殿に入ると女性達が僕を奇異の目で見て来ますが、僕は恥じ入りながらも足を進めます。
「・・・カロン様、こちらへどうぞ。」
タニソーリア様が、僕を見つけてくれました。
「はい!」
タニソーリア様の後を付いていくと、いつものマルガリーテ様のお部屋に来ました。
「・・・タニソーリア様、マルガリーテ様はもう産屋からこのお部屋に戻られたのですか?」
「ええ、女王陛下はとても安産でしたので、まだ体力も残っていますから。ですがカロン様、余分な事は言わずにいて下さいね。」
タニソーリア様は僕に言います。
・・・?
何の事でしょうか・・・?
マルガリーテ様のお部屋に入ると、マルガリーテ様はベッドに横になっていました。
「・・・マルガリーテ様!」
僕は駆け足でマルガリーテ様の元に行きます。
「・・・カロン、何を泣いておる?」
マルガリーテ様を見て、やっとほっとしました。
「良かった・・・!良かった・・・!マルガリーテ様・・・!」
僕はベッドの横に膝立ちになり、マルガリーテ様の手を握ります。
マルガリーテ様は僕の頭を撫でてくれました。
それだけで涙が止まりません。
「・・・タニソーリア、例の件はどうした?」
マルガリーテ様が言うと、タニソーリア様はため息を吐きます。
「・・・マルガリーテ様、これは露見したら国交問題になるのですよ?全く・・・。」
マルガリーテ様はふっと笑います。
「良いよ。我が軍隊が無能なはずがない。」
・・・?
何を言っているのか分かりません。
「・・・タニソーリア。」
「・・・はい。密書には成功したと書いてありました。一月後にはこのレテルリア帝国に入るでしょう。」
マルガリーテ様は頷きました。
政治の話しなら僕は口を出せません。
「・・・。」
「カロン、いい子にしていれば一月後にプレゼントをやろうかのう。」
マルガリーテ様は急に僕に言います。
「・・・はい。」
僕は頷きましたが、何のことか分からず首を傾げます。
何でしょうか・・・?
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