思想学部

ケーキ

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ニ年生

試合3⑤

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むりは思った。今更、何ができるって言うんだよ。

すると、すすむが現れた。

「君の夢は、世界中を冒険したいってことだろう?」

「何故、そうだと思うんだ」

「聞いたんだ。きせきさんに。」

「なんで…。あいつにもその事、話してない…。」

「じゃあ、やっぱり、君の夢は…?」

「いいや、俺にはもう夢はない。壊されたんだよ。」

「大人たちに?」

「あぁ。もう俺には夢はない。」

「あったとしても大人達から救うことさ。押し付けられた夢から目を覚まさせる。」

「そうか。でも、君は押し付けられてないんだろう?」

「俺は押し付けられたんだよ。夢を与えるって言われてな。」

「防・剣の会。それって、守りと攻撃に見えるけど、言葉だけ聞くと冒険に聞こえるよ。」

「くどいな。なんと言われようと、俺は…」

そうだ…俺は壊されたんだ。

2度も。

そう、1度目は親が夢を与えた。

しかし、外側の人間に、それらを壊される。

今度は外側の人間が、夢を与えた。その時は小さかったから、その男がすごい人に見えた。

だが、その男も居なくなり、親にも完全に壊されてしまう。

そうだよ。名前も“むり”だ。

俺がどんなに夢を見ようと叶わない。夢と理想そのふたつが重なり合うとむり、悪いものになるんだ。

さっき見えてた夢を与えてた男も、消えてしまった。

俺の考えは揺るがない。

しかし、目の前に、強く残るものがあった。

それはすすむだった。

どれだけ否定されても、全く堪えてない。

そればかりか、苦しくなってるのはあいつじゃなく、俺の方だった。

思えば、ずっと、この苦しさとともにあった。

その中にすすむの声が聞こえてくる。

「僕は何度でも立ち上がる。間違えても、僕は自分の望んだ未来へと進んでいく。」

「僕はみんなの幸せを望む。それは君にも同じだ。本当に今を望むのなら止めない。」

「だけど…!もし、君がもう一度進みたいと言うのなら、僕は…君の背中を押す!」

むりは言った。

「そうか、そうなんだな…。俺の負けだよ。すすむ。」

「もう否定ができないんだ…」


そして、僕らの思想学部の勝ちになった。

僕はすすむくんのもとに向かう。

「おめでとう!」

「ありがとう。」

ただ、その一言だけで、それ以上は何も語らなかった。


向こうでは、少し暗いむりくんの姿があった。

副部長の人が傍による。

「部長…あの…大丈夫ですか…?」

「悪いな。俺にはもう何も無い。1番の武器を失った。」

「そんなことないです…。私は部長に助けられてきたので…!」

「俺は、ほどこしを受けていいような人間じゃない。

今日でリベシンの思想学部は…」

そういいかけた時、1人の女の子が走ってきた。

「ゆめりちゃん!」

呼ぶ方を見てみると、そこにはきせきが居た。

「きせき…?」

「久しぶり!」

「記憶喪失になったんじゃないのか?」

「前に試合でゆめりちゃんのこと見たんだ。その時から段々思い出して!」

「じゃあ、もしかして、すすむに教えたのか?」

「うん…。昔から感じてたんだ…。

ゆめりちゃん悲しそうって…それが辛くて、悲しくて。」

「もしかしたら、助けてくれるかもって。」

「冒険のことも…?」

「一時期、沢山私に話してくれたから私でも気付くよ!」

「そうか…。心配させて悪かったな。」

「ううん。大丈夫!私はゆめりちゃんの友達だからっ!」

そう言ってきせきは微笑む。

昔と変わらない笑顔だった。

「ひとつ言っていいか?」

「うん!ゆめりちゃん!」

「そのゆめりちゃんって、俺、男だから。」

「ごめんね!だけど、私はゆめりちゃんの名前大好きなんだ!」

「仕方ない。」

「やった!夢に理想の理、ゆめりちゃんの夢はきっと叶うと思うんだ!」

「だといいな。」

2人はとても仲良さそうに話していた。

遠くから見ていた僕はなんだか安心する。

────────

「分かるよ。」

敗来は頷いた。

「名前って、考えられてないように見えて、一つ一つおもいが込められてるんだよな。」

「そういち、そう思わないか?」

隣を向くが、そういちはそこに居なかった。

探してみると、もう帰ろうとしている。

「行っちまうのか?」

「えぇ。終わりましたからね。決着も、思った通りでした。」

「どういうことだ?」

「私が、討論部について思ったことと同じですよ。」

「そういち、こたえを教えろよ。」

「自分で考えてください」

そういちは、その場を立ち去る間、考えていた。

終わったら、私が描いたものを、作ってみるのもいいかもしれないな。

ただ、決着をつけなければいけないことも時にはある。

懐かしいな、策取(さくしゅ)。

───────

試合が終わった。思想学部ってこんな感じなんだって思った。

「獅王先輩!」

「すすむくん、何かを変えてしまうような人だと思ってたよ。」

「そうだったんですか…?」
 
「うん。彼は、純粋で平等で…ただ、子供心を忘れない人なのかもしれないね。」

獅王先輩はあの青い空を見つめていた──────
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