リアル異世界生活 The beautiful world[TBW]

たんぽぽ

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Under World

真の地下世界

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そこは‥暗闇の世界。上空約5kmから下を見下ろすと各地に
赤い炎の粒が煌いているように見える。それらはこの地下世界の中心と思わ
れる中心部から水の波紋のように広がっている。
なんとも地下にこんな世界があったなんて今の俺たちにとっては
感動だけでしかない。竜は翼を羽ばたかせずに滑空しながら
中心部に向かっている。ちょうど風が竜の頭の部分にさえぎられて
俺達2人にはそれほど風は来ない。現実世界で例えるなら
飛行機の壁をなくして、エンジンをなくして‥翼が動いて‥
遅くて‥。― 竜やん!
 特に例える必要はなかった。
そう言えば‥今ここでログアウトしたら
どうなるんだろう。ダイブしなおしたとすれば普通に考えてまた
ここに現れる。すると‥この高さから落ちることになり、
一瞬で死んでしまう。つまり今はここにおとなしく乗っておけ、
ということなのだろうか。

「ピロロン!」
モンスター解析機がメッセージの着信を知らせる。

「ただいまより、イベント<地下世界に光を>を開始します。
クリア報酬には<伝説の光の剣>もしくは<紅炎の剣>が与え
られます。制限時間は3年と5カ月20時間です。
なお、これはダイブしている時間に限ります」

「イ、 イベント!?」
セイヤが目を丸くしてこっちを見る。

「ああ、そうみたいだ。なんか相当凄いことになったな。
 制限時間がそれだけ長いってことは‥相当でかい
 イベントで‥」

「そんだけ凄い報酬、ってことか」

「ああ」

「お前たち、ここから時間が地上の10分の1になる」
竜が少し後ろに首を傾けて言う。

「竜、それはどういうことなんだ?」

「そういうことだ。ついでに言っておくが私の名前はケーブだ。
 ケーブと呼んでくれ」
いや、それ説明になってないし!と突っ込みたいところだが、
どうせ竜のことだからこれ以上言っても教えてくれはしないだろう。
あとネットに載っている名前とは違うし。10分1なら‥つまり
ゲームをしている時間が10倍も多く感じるということだ。
これは凄い、いや世界中のゲーマーに羨まれるレベルの
ことなのかもしれない。

 いつの間にかだいぶ中心部に近付いてきた。ダイブ真下に見える
火の数も多きている。そして街を行きかう人々の姿も見えるかすかに見える
ようになった。人と言っても、恐らくあれらは全てNPCだろう。
このケーブが言うには今まで1人しか入口を通ったことがないということ
だから絶対全員NPCだろう。

「その者たちは誰だ?ケーブよ」
ふとどこからか声が聞こえる。
「は、地下世界に招かれた勇者でございます」

「然様か。よろしい、メインゲートを開けておく。そこから入るといい」

「ありがとうございます」
その声はどこかに消えていった。

「お前たち、着陸するぞ。しっかりと掴っておけ」

「え!ここはまだ地上から200mはあるけど」

「いいから掴っておけ」
ケーブは少し速度を緩め、1周少し旋回をする。
―翼の動きが急に止まる。と思ったら体に強い衝撃が走る。

「え!」

「着いたぞ。ここが地下の王都の中心、ディーア城だ」
落ちそうだが、勇気を振りしぼって降りてみる。
ケーブの足の方を見ると着地点を中心にだんだん色が現れていく。
30秒ほど眺めているとついにはそれは大きく立派な城になった。

「凄い‥こんな世界の中心にこんなものが隠れていたなんて」
セイヤがつぶやく。

「まだ続くぞ。町の方を見ていろ」
言われた通り、街の方を見ているとだんだん明るくなっていく。
ついにはこの世界が全てさっきまでの暗いイメージから、
地上と同じように明るい世界になってしまった。

「ケーブ、これはどういうことなんだ?」

「この世界は隠されている。上から見るとただの暗闇に赤い光が
あるだけかもしれないが、1度この地面に足を着くとその者には
この地下世界の真の姿が見えるようになる。どうだ?この世界の
姿は」

「はっきり言って‥とても信じられない。凄すぎる」

「同じく」
俺に続けてセイヤも同じ感想。

「じゃあ、ケーブは最初からこの世界が見えていたってこと?」

「そうだ」
ケーブは自慢顔で鼻息を吐(つ)くと後ろを振り返る。
するといつの間にかそこには4人の人間。全員王都の兵士らしい
武装をしている。お出迎えのようだ。腕には銃?のようなものを
持ち、整列してこちらを見ている。

「お待ちしていました」
前列の右側の兵士が言う。

「お出迎え御苦労。この者たちを失礼のないようにアンダークウィ―ン様の
 ところにお連れしてくれ」

「分かりました。失礼のないようにお連れします。ついでに副軍師、
 ヒロ様の伝言によると、ケーブ様はしばらく休んでおいてよろしい
 そうです。宿舎は用意してありますのでお使いください」

「ありがとう」
―そう言うと、ケーブは徐々に姿を変えていき、ついには人になってしまった。
それもスマートでイケメンの男。黒いコートを着て、背中には2本の剣を背負っている。



「え? ケーブ?」
人が‥モンスターになることは果たしてできるのだろうか。

「ああ、私は本当は人間なんだ。修行を究めれば高等魔術、<変身術>
 も使えるようになるぞ」

「‥すげえ」

「これが使えるようになるためには私でも5年はかかった。まあ、
 せいぜい修行を頑張ってくれ」

「しゅ、修行?」
セイヤが聞き返す。

「ああ、そのことについてはアンダークウィーン様から話があると思う。
 俺は詳しく知らない」

「はあ‥」

「強くなりたくないのか?」

「なりたい!!!」
セイヤが勢い良く叫ぶ。

「なら頑張れ。お前たちなら悪の魔王を倒すことができるはずだ」

そうしていくつかの疑問を抱えながらいわゆる女王様のところに行く羽目に。
強くなるためには、と思うと行く気満々なのだが、修行がきつすぎる可能性
も考えると本当に行ってしまっていいのか、という気がする。
しかし、ここまできたらもう行くしかない。ついでに妹もここに連れてこら
れるかも女王様に聞いておかなければ。
 こうして俺はこのイベントをクリアすることを決意したのであった。
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