魔法学院の最底辺

かる

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決意

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俺が会場から出ると、会長が目を閉じ、壁り寄りかかって誰かを待っているようだった。俺が横切ると会長は口を開いた。

「随分ひどいものを見せられたな。」

「いえ、そうでもないですよ。俺に対する扱いなんてこんなものが普通ですから。それよりも委員長、始末書貰えますか?」

「なんのだ?」

「魔法祭に途中で乱入し試合を中断させたことに関してです。」

「本当にお前はその始末書を書くつもりなのか?」

「えぇ、書かなきゃ周りまで非難の対象になりますからね。」

「教師や審判にも目撃者はいるだろう?」

「でも教師が外交科に手を差し伸べる利点はなんですか?生徒のためなどといった戯言を抜いてですけど。」

「はぁ、付いてこい。」

会長に連れられるまま後をついていった。

「付いてこい……か……。」

あの日から俺は風紀委員に入ったのだがまだ1か月ほどしかたっていないのにもう懐かしさすら感じてしまう自分がいる。

「これだ。」

俺は手早く始末書に内容や学籍番号、氏名を記入し会長に渡した。

「これでいいですか?」

「あ、あぁ……。」

「ではこれで失礼します。」

「お前……このまま3年間を過ごすつもりなのか?」

「そうですね……その考えもあったんですが……」



「このまま耐え忍ぶほど俺は利口な人間ではないので。」



「それってお前……」

「いえ別に学校に対して何かをしようというつもりはないんですけどね。でも、このままで終わるわけにはいきませんからね。正体をばらすのも一つの手かなーと思っています。」

「はぁ……好きにしろ。」

俺は風紀委員の会議室から出るとそのまま家路へと向かった

「なーんてな。でもむかついたのは事実だ。このままでは絶対に終わらせねえ。」

俺は強い決意を抱いた。

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「慧ちゃん、帰ったよー。」

「ただいま戻りました。」

「おー、二人ともおかえりー。」

二人は玄関から上がりリビングのほうへ来た。

「本日はその……すみません!私が不甲斐ないばかりに!」

桃が頭を下げたので俺は頬を書きながら弁明をするように話す。

「あー、全然いいよ。あの場所は明らかに異質な空間だったから抜け出したかっただけだし。」

「でもお兄様の地位が……」

まだ桃は根に持っているようだったので俺は強引に話をそらした。

「俺には地位も名誉も何から心配するなって!それよりもその後の試合はどうだったんだ?」

「無事勝つことが出来ました。」

「そっか、良かった。姉さんのほうは?」

「私も勝てたよ……でもやっぱり見に来てほしかったなぁ。」

姉さんが肩を落とし落胆をする。俺は申し訳なく姉さんに謝罪をした。

「ごめんね。これから謹慎で自宅謹慎の可能性があるから多分今年の魔法祭はもう参加できない。」

「いや、いいの!私のわがままだしね。でも、もう試合はしたくないかな……よし決めた!」

すると姉さんは何かを決意したかのように勢い良く立ち上がった。

「何を?」



「私今回の魔法祭辞退するね!」



「はぁ?」

正直予想もできないことを姉さんの口から聞き俺は理解が出来ずに首をかしげた。

「お姉さまがそうするなら私もそうさせていただきます。」

姉さんが言ったところ桃までもが賛同をして辞退しようとした。

「ちょ、ちょっと待てよ!どうしたんだよ二人して……。」

俺は慌ててなだめるように二人に問うと、

「私はあんな人々に見られながら応援されながら試合はしたくないの。」

姉さんの決意は固いようだった。俺はおせっかいだとだと思い、口出しするのをやめた。

「う、うん。なら口出しはしないけどさ……。」
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