最弱魔術師が初恋相手を探すために城の採用試験を受けたら、致死率90%の殺戮ゲームに巻き込まれました

和泉杏咲

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第4章

魔術の成り立ち

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「試験。もう、辞めたらどうだ」
「今更辞めるなんて……」

そもそも、国王は、三日過ごせば専属魔術師になれるとおっしゃっていましたが、辞退をする方法は何もおっしゃりませんでした。

「辞められるなら、辞めたいんだな?」
「それ……は……」

言葉に詰まりました。
まさかそれが、王国を司る王族が、受験者の命を無残に散らすものだとは思いませんでしたから。

「専属魔術師って、一体何なのですか?」
「……それを聞く意味は?」
「私は、専属魔術師は、世界の人を救う、価値ある仕事だと、教わりました。ですから、彼が、地元を飛び出してでも目指した事も、理解しています……だから……」
「目指したい……と?あれだけのものを見てもまだ?」

その人の声の温度が、一気に下がりました。
諦めろ、と目が訴えています。

「正直言えば、彼と同じ仕事に就きたいというだけの……とても甘い考えだったと……思います。それに、才能も無いので、記念受験……だと割り切ってもいました」

偽りのない本音です。
私は、専属魔術師というものを本当に軽く見ておりましたし、強い意志で目指していなかったのだと、認識させられました。
でも……。

「分からないのです……どうするのが、正しいのか……」

専属魔術師になりたいと願った、魔術の道を志した人間達を、何故殿下はあのように、虫を潰すように扱ったのか。
遠くから聞こえる噂しか、私達の耳には王族の事は届きません。
噂と御触れだけが、私達が王族の事を民の事を真剣に考える善意の方々であると、信じ切っていました。

愛する国民。
確かに試験直前に、殿下はおっしゃいました。
王族は、国民を世界から守るために、専属魔術師を従えて、共に、数々の困難と戦っていると。
……その愛する人に、あのような真似を何故、できるのでしょうか?
確かに生があり、直接声を交わしたはずの愛する人だったものを、あのように……足で……。

「専属魔術師は、価値があるものなんかじゃない」
「どういうことですか?」
「……魔術の成り立ちは、知っているか?」
「……四大元素と祈りの話……ですか?」

私がそう言うと、その人は手をあげて「風よ」と言いました。
変化が無かった空気に、急に流れが生まれ、私達の上を掠めていきました。
すぐにその人が手を握ると、風もさあっと止みました。
術使った直後のその人は、やはり先程と同じように、少し息苦しそうでした。
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