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4.なぜ彼女を好きになったのか

殿下のお姿のままよりは

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 さらにその頃、3バカのうち、2人がニーナに今にものしかかる勢いで詰め寄っていた。

「殿下、アレクサンドラ様。近い。近いです」

 美形に迫られると、普通の神経であれば天にも昇るような気持ちになるのだろうが、この2人に限っては冗談ではない。
 顔面凶器にプラスして、厄介ごとがのしかかるという、ありがたくもないオプションがついてまわってしまう。
 そっと、ニーナは顔を逸らしながら

「ええと、なんの話でしたっけ」

 ととぼけた。

「今、あなたなんて言ったの!?」

 アレクサンドラがぐっとニーナの肩を掴んで揺さぶってきた。

「ほら、もう一度言いなさい!ほら!」
「アレクサンドラ、ニーナが泡吹いてる!やめろ!」
「え!?」

 アレクサンドラの腕の中に、確かにカニのようにぶくぶく泡を吹いて倒れかけているニーナがいた。

「あらいやだ!一体誰がこんな酷いことを!」
「お前だろ!」

 エドヴィン王子がべりっとアレクサンドラからニーナを引き剥がすことで、ニーナの白黒していた目に光が戻った。

「げほげほっ」
「すまない、ニーナ。そこの凶暴女が」
「………………殿下、その言い方…………」

 ニーナはもう、エドヴィン王子が何故アレクサンドラとは絶対に結婚したがらないかはよく分かっていたが、だからこそ物言いに気をつけないと、本気でいつか命が取られるんじゃないかと心配し始めていた。
 ただ、現時点では

「やっ……やめろアレクサンドラ……苦しい……」

 せいぜい首を死なない程度に締めるレベルだったので、自分に火の粉が飛ばない内に本題に入ることに決めたニーナだった。

「だから、言葉の通りですよ。このまま殿下には別人のままリーゼ様と仲良くなっていただき、そのままベッドインしちゃってもらいます」
「そっ、そんなことが可能なのか?」
「少なくとも殿下のお姿のままよりは、まだマシかもしれません。それに……」
「それに?」
「………………いえ、なんでもありません」

 ニーナは、この方法には今まで以上の勝算があることに勘付いていた。
 何故なら、帰ってきたばかりのリーゼの様子がいつもと違っていたから。
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