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4.なぜ彼女を好きになったのか
間違いない。これは……
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それは、リーゼが変装したエドヴィン王子と城まで戻ってきた時のこと。
ちなみにエドヴィン王子はこの時、一度城の前でリーゼと別れ、リーゼが扉の中に入った後で変装を解いて城に戻っていたので、リーゼがあちこち連れ回していた男性がエドヴィン王子であることは、一切気づかれることはなかった。
「どうでしたか?今日の殿下とのお出かけは」
ニーナは、リーゼの着替えを手伝いながら、自分がさも近くにいなかったかのように尋ねた。
自分が喫茶店で見聞きした内容を決して口に出さないように、片手にしっかりカンニングペーパーを持った状態だったりするのだが、今のリーゼにはそのカンペは見えないので問題はない。
「……ねえ、ニーナ」
「はい」
「聞きたいことがあるのだけど」
「はい、何でしょう」
どうか、カンペに書かれている内容の範囲内であってくれ、とニーナは祈った。
「その……殿下がね、途中でアレクサンドラ様のもとに行かれたのよね」
「………………えーと………………」
本当は違うのだけど、そう言うことにすることにしたニーナは
「そ、そうなんですね」
「そうなの!きっとアレクサンドラ様との逢瀬のためだと思って、私その現場をどうしても拝み倒したくて後をつけることにしたのね」
「…………拝み倒し……ですか……」
「でもね、ほら……今日私、ちゃんと見える状態じゃなかったでしょう?」
その言葉に、ほんの少しだけ良心の呵責に苛まれたニーナだった。
「そ、そうですね……」
「でもね……」
「でも?」
そのでも、の言葉を言った瞬間のリーゼの顔を、ニーナは見逃さなかった。
「一緒に、エドヴィン様とアレクサンドラ様のことを探してくださった男性の方がいてね……とても親切にしてくださったのよ」
顔を赤らめ、少しもじもじと俯き加減で話す仕草。
間違いない。これは、リーゼがその男を異性として気にしているという確固たる証拠だった。
ニーナは、リーゼには絶対に見えないように、カンペを握ってる方の手でガッツポーズをした。
ちなみにエドヴィン王子はこの時、一度城の前でリーゼと別れ、リーゼが扉の中に入った後で変装を解いて城に戻っていたので、リーゼがあちこち連れ回していた男性がエドヴィン王子であることは、一切気づかれることはなかった。
「どうでしたか?今日の殿下とのお出かけは」
ニーナは、リーゼの着替えを手伝いながら、自分がさも近くにいなかったかのように尋ねた。
自分が喫茶店で見聞きした内容を決して口に出さないように、片手にしっかりカンニングペーパーを持った状態だったりするのだが、今のリーゼにはそのカンペは見えないので問題はない。
「……ねえ、ニーナ」
「はい」
「聞きたいことがあるのだけど」
「はい、何でしょう」
どうか、カンペに書かれている内容の範囲内であってくれ、とニーナは祈った。
「その……殿下がね、途中でアレクサンドラ様のもとに行かれたのよね」
「………………えーと………………」
本当は違うのだけど、そう言うことにすることにしたニーナは
「そ、そうなんですね」
「そうなの!きっとアレクサンドラ様との逢瀬のためだと思って、私その現場をどうしても拝み倒したくて後をつけることにしたのね」
「…………拝み倒し……ですか……」
「でもね、ほら……今日私、ちゃんと見える状態じゃなかったでしょう?」
その言葉に、ほんの少しだけ良心の呵責に苛まれたニーナだった。
「そ、そうですね……」
「でもね……」
「でも?」
そのでも、の言葉を言った瞬間のリーゼの顔を、ニーナは見逃さなかった。
「一緒に、エドヴィン様とアレクサンドラ様のことを探してくださった男性の方がいてね……とても親切にしてくださったのよ」
顔を赤らめ、少しもじもじと俯き加減で話す仕草。
間違いない。これは、リーゼがその男を異性として気にしているという確固たる証拠だった。
ニーナは、リーゼには絶対に見えないように、カンペを握ってる方の手でガッツポーズをした。
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