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4.なぜ彼女を好きになったのか
そこまで言うなら、何か賭けられますの?
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という、ついさっきまでの流れを思い出しながらニーナは、尻尾を振って今か今かと、ニーナが続きを話すのを待っている……これでもおそらくこの国で1位2位を争う美形を持つ2人への回答考えていた。
「それに?何!?何なの!?」
「だから近いですって」
まつ毛ばっさばさなアレクサンドラのまつ毛が、ニーナの顔にちくちく刺さる。「それ嫌味ですか?」と言いたくなるのを堪えながら、ニーナはさっと一歩後ろに下がった。
「とにかくいいですか?お二人とも」
「「はい先生」」
「…………ふざけてるならリーゼ様のところに帰りますけど」
「「それはまだダメ」」
「………………」
さっきは隊長。今度は先生。
この人たちは、自分たちがこの国でめっちゃ高貴な存在だっていう自覚はあるのか?
いや……それとも、自覚を落としてきたのか?なら拾わせなくては……。
「さっき言った、殿下を別人としてこの、婚約者試験の場にいさせて、リーゼ様との仲を深めるという方法は、ただこのまま殿下が殿下としてアプローチするよりもずっっっっと、効果的なのは間違いありません」
「そこまで言うなら、何か賭けられますの?」
どうして良家の娘が賭けという言葉を使うのかも、ニーナは恐ろしくて聞きたくなかった。
ニーナにはアレクサンドラが持つような宝石も持ってないし、お金を賭けるなんて論外だ。
でも1つだけ賭けられて、なおかつアレクサンドラがよだれを垂らしてでも欲しがるものを1つ知っている。
「蜜愛文庫初版本シリーズでいかがです」
「乗った」
アレクサンドラにしか効果がないことは分かっていた賭けの商品ではあったが、これの効力は十分すぎた。
ちなみに蜜愛文庫初版を集めているのはニーナではなくもちろんリーゼなのだが、まあ10冊くらいはこっそり引っこ抜いても大丈夫だろうと、ニーナは考えていた。怒られた時用に何枚か、アレクサンドラの私物をもらっておくことは計画済み。
こうして次の日から、殿下別人なりすまし作戦が始まったわけだが。
結果を言えば、これが最高に効果を発揮した……。
ただし、その効果を発揮するために、ニーナとアレクサンドラの、蜜愛文庫から抽出しまくった「溺愛大作戦」が何よりも不可欠だった。
「それに?何!?何なの!?」
「だから近いですって」
まつ毛ばっさばさなアレクサンドラのまつ毛が、ニーナの顔にちくちく刺さる。「それ嫌味ですか?」と言いたくなるのを堪えながら、ニーナはさっと一歩後ろに下がった。
「とにかくいいですか?お二人とも」
「「はい先生」」
「…………ふざけてるならリーゼ様のところに帰りますけど」
「「それはまだダメ」」
「………………」
さっきは隊長。今度は先生。
この人たちは、自分たちがこの国でめっちゃ高貴な存在だっていう自覚はあるのか?
いや……それとも、自覚を落としてきたのか?なら拾わせなくては……。
「さっき言った、殿下を別人としてこの、婚約者試験の場にいさせて、リーゼ様との仲を深めるという方法は、ただこのまま殿下が殿下としてアプローチするよりもずっっっっと、効果的なのは間違いありません」
「そこまで言うなら、何か賭けられますの?」
どうして良家の娘が賭けという言葉を使うのかも、ニーナは恐ろしくて聞きたくなかった。
ニーナにはアレクサンドラが持つような宝石も持ってないし、お金を賭けるなんて論外だ。
でも1つだけ賭けられて、なおかつアレクサンドラがよだれを垂らしてでも欲しがるものを1つ知っている。
「蜜愛文庫初版本シリーズでいかがです」
「乗った」
アレクサンドラにしか効果がないことは分かっていた賭けの商品ではあったが、これの効力は十分すぎた。
ちなみに蜜愛文庫初版を集めているのはニーナではなくもちろんリーゼなのだが、まあ10冊くらいはこっそり引っこ抜いても大丈夫だろうと、ニーナは考えていた。怒られた時用に何枚か、アレクサンドラの私物をもらっておくことは計画済み。
こうして次の日から、殿下別人なりすまし作戦が始まったわけだが。
結果を言えば、これが最高に効果を発揮した……。
ただし、その効果を発揮するために、ニーナとアレクサンドラの、蜜愛文庫から抽出しまくった「溺愛大作戦」が何よりも不可欠だった。
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