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6.二人が結ばれしまった夜

そこの殿方に抱きしめられたくて仕方がないのでしょう?

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「しっ……えっ……!?」
「はい」
「いや、で、でも……」

 ニーナは、さっきまでここぞとばかりにリーゼにお触りしまくっていたエドヴィン王子が、急にDTらしい反応をし出したのが酷くムカついた。
 なので、DTのことは全力で無視して、ニーナはリーゼに尋ねた。

「リーゼ様のお身体、今熱がすごいのでは?」
「ど、どうしてそれを」

 誰が365日ずっと体調管理してると思ってるんだ、この能天気娘は!と言いそうになるのをぐっと堪えたニーナは、リーゼの耳元に唇を寄せてこう言った。

「見ていればわかります。そこの殿方に抱きしめられたくて仕方がないのでしょう?」
「えっ!?そ、そんなこと……」
「ふふふ。そんなこと言って……ここをこうして触れられたら、どんな気持ちになります?」

 ニーナは、リーゼの耳元に息を吹きかけながら、首筋をつーっと指でなぞった。

「んっ!」
「ほら、汗が出てきてますよ」
「そ、それはニーナが……」
「いいえ、私のせいではありませんよ。リーゼ様のせいです」
「わ、私の……!?」
「ええ。そこの殿方を、受け入れたくて仕方がないのです」
「そんなこと……」
「ないとは、言わせませんよ。リーゼ様がよく分かってるじゃないですか。だって……そういう文章をいつも書いているのですから」
「っ!!」
「ほら、リーゼ様……」

 ニーナは、ここで最後の一押しを決める。

「あなたの中に入りたいと、そこにいる人もじっとリーゼ様を熱い目で見つめていますよ」
「そうなの……?」
「ええ、そう、ですよね?」

 ニーナは横目でエドヴィン王子を睨んだ。余計なことを言うなよ、という圧をかけるために。
 だけど、エドヴィン王子のあそこを見た瞬間、ニーナは安心した。
 目でも口でもなくあそこの方が、やはり正直だった。

「というわけで、リーゼ様と…………そこの方」

 まさかここでエドヴィン王子の名前を言うわけにもいかなかったので、それがニーナには限界だった。
 エドヴィン王子が不服そうな表情をしたのは分かったが「仕方がないですよね」と目だけでニーナが訴えたことで、エドヴィン王子は渋々頷いた。

「寝室の準備はすでに整っておりますので、ぜひお休みください」

 そう言うや否や、メイド服を着た人が数名、リーゼとエドヴィン王子の前に現れた。

「お、お前ら……」
「申し訳ございません……そこの方……様」

 その人間たちは、皆エドヴィン王子のお付きの騎士たちだった。
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