133 / 164
6.二人が結ばれしまった夜
そこの殿方に抱きしめられたくて仕方がないのでしょう?
しおりを挟む
「しっ……えっ……!?」
「はい」
「いや、で、でも……」
ニーナは、さっきまでここぞとばかりにリーゼにお触りしまくっていたエドヴィン王子が、急にDTらしい反応をし出したのが酷くムカついた。
なので、DTのことは全力で無視して、ニーナはリーゼに尋ねた。
「リーゼ様のお身体、今熱がすごいのでは?」
「ど、どうしてそれを」
誰が365日ずっと体調管理してると思ってるんだ、この能天気娘は!と言いそうになるのをぐっと堪えたニーナは、リーゼの耳元に唇を寄せてこう言った。
「見ていればわかります。そこの殿方に抱きしめられたくて仕方がないのでしょう?」
「えっ!?そ、そんなこと……」
「ふふふ。そんなこと言って……ここをこうして触れられたら、どんな気持ちになります?」
ニーナは、リーゼの耳元に息を吹きかけながら、首筋をつーっと指でなぞった。
「んっ!」
「ほら、汗が出てきてますよ」
「そ、それはニーナが……」
「いいえ、私のせいではありませんよ。リーゼ様のせいです」
「わ、私の……!?」
「ええ。そこの殿方を、受け入れたくて仕方がないのです」
「そんなこと……」
「ないとは、言わせませんよ。リーゼ様がよく分かってるじゃないですか。だって……そういう文章をいつも書いているのですから」
「っ!!」
「ほら、リーゼ様……」
ニーナは、ここで最後の一押しを決める。
「あなたの中に入りたいと、そこにいる人もじっとリーゼ様を熱い目で見つめていますよ」
「そうなの……?」
「ええ、そう、ですよね?」
ニーナは横目でエドヴィン王子を睨んだ。余計なことを言うなよ、という圧をかけるために。
だけど、エドヴィン王子のあそこを見た瞬間、ニーナは安心した。
目でも口でもなくあそこの方が、やはり正直だった。
「というわけで、リーゼ様と…………そこの方」
まさかここでエドヴィン王子の名前を言うわけにもいかなかったので、それがニーナには限界だった。
エドヴィン王子が不服そうな表情をしたのは分かったが「仕方がないですよね」と目だけでニーナが訴えたことで、エドヴィン王子は渋々頷いた。
「寝室の準備はすでに整っておりますので、ぜひお休みください」
そう言うや否や、メイド服を着た人が数名、リーゼとエドヴィン王子の前に現れた。
「お、お前ら……」
「申し訳ございません……そこの方……様」
その人間たちは、皆エドヴィン王子のお付きの騎士たちだった。
「はい」
「いや、で、でも……」
ニーナは、さっきまでここぞとばかりにリーゼにお触りしまくっていたエドヴィン王子が、急にDTらしい反応をし出したのが酷くムカついた。
なので、DTのことは全力で無視して、ニーナはリーゼに尋ねた。
「リーゼ様のお身体、今熱がすごいのでは?」
「ど、どうしてそれを」
誰が365日ずっと体調管理してると思ってるんだ、この能天気娘は!と言いそうになるのをぐっと堪えたニーナは、リーゼの耳元に唇を寄せてこう言った。
「見ていればわかります。そこの殿方に抱きしめられたくて仕方がないのでしょう?」
「えっ!?そ、そんなこと……」
「ふふふ。そんなこと言って……ここをこうして触れられたら、どんな気持ちになります?」
ニーナは、リーゼの耳元に息を吹きかけながら、首筋をつーっと指でなぞった。
「んっ!」
「ほら、汗が出てきてますよ」
「そ、それはニーナが……」
「いいえ、私のせいではありませんよ。リーゼ様のせいです」
「わ、私の……!?」
「ええ。そこの殿方を、受け入れたくて仕方がないのです」
「そんなこと……」
「ないとは、言わせませんよ。リーゼ様がよく分かってるじゃないですか。だって……そういう文章をいつも書いているのですから」
「っ!!」
「ほら、リーゼ様……」
ニーナは、ここで最後の一押しを決める。
「あなたの中に入りたいと、そこにいる人もじっとリーゼ様を熱い目で見つめていますよ」
「そうなの……?」
「ええ、そう、ですよね?」
ニーナは横目でエドヴィン王子を睨んだ。余計なことを言うなよ、という圧をかけるために。
だけど、エドヴィン王子のあそこを見た瞬間、ニーナは安心した。
目でも口でもなくあそこの方が、やはり正直だった。
「というわけで、リーゼ様と…………そこの方」
まさかここでエドヴィン王子の名前を言うわけにもいかなかったので、それがニーナには限界だった。
エドヴィン王子が不服そうな表情をしたのは分かったが「仕方がないですよね」と目だけでニーナが訴えたことで、エドヴィン王子は渋々頷いた。
「寝室の準備はすでに整っておりますので、ぜひお休みください」
そう言うや否や、メイド服を着た人が数名、リーゼとエドヴィン王子の前に現れた。
「お、お前ら……」
「申し訳ございません……そこの方……様」
その人間たちは、皆エドヴィン王子のお付きの騎士たちだった。
0
あなたにおすすめの小説
折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!
たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。
なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!!
幸せすぎる~~~♡
たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!!
※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。
※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。
短めのお話なので毎日更新
※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。
※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。
《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》
※他サイト様にも公開始めました!
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです
大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。
「俺は子どもみたいな女は好きではない」
ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。
ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。
ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。
何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!?
貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。
年増令嬢と記憶喪失
くきの助
恋愛
「お前みたいな年増に迫られても気持ち悪いだけなんだよ!」
そう言って思い切りローズを突き飛ばしてきたのは今日夫となったばかりのエリックである。
ちなみにベッドに座っていただけで迫ってはいない。
「吐き気がする!」と言いながら自室の扉を音を立てて開けて出ていった。
年増か……仕方がない……。
なぜなら彼は5才も年下。加えて付き合いの長い年下の恋人がいるのだから。
次の日事故で頭を強く打ち記憶が混濁したのを記憶喪失と間違われた。
なんとか誤解と言おうとするも、今までとは違う彼の態度になかなか言い出せず……
【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる