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6.二人が結ばれしまった夜

チンアナゴじゃなくて

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「お前たち、いったい何を……」
「訳は聞かないでください!でん……じゃなかった、そこの方様!」
「聞くなって……」

 見慣れた人間が全員、想定外のとんでもない格好で現れたら、戸惑うなという方が無理だ。
 だが、エドヴィン王子は彼らの向こう側にいる人物の姿を見てすぐに察した。そして思った。哀れ、と。
 でも思うだけだった。ここでその人物の名前を自分が言ってしまうと、何が起きているか分からず、ただ不安そうにしているだけのリーゼに自分の正体がバレてしまうと思ったから。
 それを、その人物……アレクサンドラやはり分かっていたので、妖艶で嫌味な微笑みを浮かべながらエドヴィン王子を見ていた。
 ここまでくれば、エドヴィン王子が誰に、何を望まれているのかは分かり切ってしまった。

「つまり、俺と彼女が寝室に行けばいいと?」
「はい」

 メイド服を着た騎士の一人が頷く。
 声と見た目のギャップの激しさに、エドヴィン王子は頭がおかしくなりそうになり、ニーナは吹き出しそうになるのを抑えるので必死、リーゼはただ首を傾げるだけと、なかなかなカオスな現場になっていた。

「だ、だがそれは……」

 エドヴィン王子はちらりとリーゼを見る。
 頬を薔薇色に染まった妖精のようなリーゼが、うっとりとした目でエドヴィン王子を眺めている。
 そんな恋焦がれた女を、状況はどうあれ寝室に連れて行ける機会は、今度はいつ訪れるか分かったもんじゃない。
 エドヴィン王子は、意を決して尋ねた。

「その……少し、休むか?」

 直接的な言葉を使わないことが、エドヴィン王子の限界だった。
 ただ、リーゼに本心が伝わっていたかは分からないが

「ぜひ」

 と、恥ずかしそうに囁いたので、エドヴィン王子はガッツポーズしてしまい、周囲にいたリーゼ以外の人をドン引きさせた。
 ちなみにその時に偶然エドヴィン王子の股間を目にしたニーナは思ってしまった。
 あ、あれはチンアナゴじゃなくてなまこだな、と。
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