135 / 164
6.二人が結ばれしまった夜
シチュエーションそのものが訴えかけてくるのだ。ヤれと
しおりを挟む
そんなこんなで、あれよあれよという間にエドヴィン王子とリーゼは到着してしまったのだ。エドヴィン王子が夜一人でリーゼを思い、これまた毎晩あれやこれやと口には出せないことをしている寝室に。
見飽きたはずなのに、エドヴィン王子には天国以上の特別な空間に見えてしまっている。それもそのはず。
「ここは……どなたかのお部屋?」
「それは、だな……」
可愛い妖精のような顔をきょろきょろと動かしながら、リーゼは自分がどこにいるのかを把握しようとしていた。
ただ、視力が(こちらの策略とはいえ)限りなく低いリーゼには、自室なのかそうじゃないのか区別がつかないはずだった。
なぜならば、灯りが一切つけられていなかったから。
それが……色欲まみれの幼馴染の仕業であろうことは、エドヴィン王子はすぐに気づいた。
「はぁ……」
「どうなさいました?」
「ええと、ですね……」
もう、この状況が何を示しているのかは分かる。
シチュエーションそのものが訴えかけてくるのだ。ヤれと。
それは、ずっとこの場所で夢見ていたことだった。
でもそれはこんな形ではない。
結婚式で純白のドレスに身を包んだリーゼと誓いのキスをして、指輪の交換をして、皆に祝福された後の、静まった夜で行われる初夜の儀式でこそ、妖精の純潔をもらうに相応しい。
エドヴィン王子は、アレクサンドラが聞いたら「DTの妄想、ぷっ」と鼻で笑われるようなことを本気で目指していたのだ。
体は、今すぐリーゼと1つになりたがっている。
けれど、心は初夜まで待てと訴えかける。
このままリーゼを寝かせ、自分は舞踏会に戻るべきだとも。
「あ、あの……」
ベッドに横になったら?
そう、エドヴィンがリーゼに言おうとした時に、それが起きた。
少し距離が離れていたリーゼに自分の方を向いて欲しくて、つい手を伸ばしてリーゼの腰を掴んでしまった。
そうして、くいっとリーゼをこちらに振り向かせるだけで良かったのだ。
それなのに。
「「えっ」」
ぱさりと、乾いた布の音と共に、リーゼのドレスが床へと落ちた。
普通なら身につけているであろう、下着類は……透明だった。
見飽きたはずなのに、エドヴィン王子には天国以上の特別な空間に見えてしまっている。それもそのはず。
「ここは……どなたかのお部屋?」
「それは、だな……」
可愛い妖精のような顔をきょろきょろと動かしながら、リーゼは自分がどこにいるのかを把握しようとしていた。
ただ、視力が(こちらの策略とはいえ)限りなく低いリーゼには、自室なのかそうじゃないのか区別がつかないはずだった。
なぜならば、灯りが一切つけられていなかったから。
それが……色欲まみれの幼馴染の仕業であろうことは、エドヴィン王子はすぐに気づいた。
「はぁ……」
「どうなさいました?」
「ええと、ですね……」
もう、この状況が何を示しているのかは分かる。
シチュエーションそのものが訴えかけてくるのだ。ヤれと。
それは、ずっとこの場所で夢見ていたことだった。
でもそれはこんな形ではない。
結婚式で純白のドレスに身を包んだリーゼと誓いのキスをして、指輪の交換をして、皆に祝福された後の、静まった夜で行われる初夜の儀式でこそ、妖精の純潔をもらうに相応しい。
エドヴィン王子は、アレクサンドラが聞いたら「DTの妄想、ぷっ」と鼻で笑われるようなことを本気で目指していたのだ。
体は、今すぐリーゼと1つになりたがっている。
けれど、心は初夜まで待てと訴えかける。
このままリーゼを寝かせ、自分は舞踏会に戻るべきだとも。
「あ、あの……」
ベッドに横になったら?
そう、エドヴィンがリーゼに言おうとした時に、それが起きた。
少し距離が離れていたリーゼに自分の方を向いて欲しくて、つい手を伸ばしてリーゼの腰を掴んでしまった。
そうして、くいっとリーゼをこちらに振り向かせるだけで良かったのだ。
それなのに。
「「えっ」」
ぱさりと、乾いた布の音と共に、リーゼのドレスが床へと落ちた。
普通なら身につけているであろう、下着類は……透明だった。
0
あなたにおすすめの小説
折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!
たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。
なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!!
幸せすぎる~~~♡
たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!!
※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。
※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。
短めのお話なので毎日更新
※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。
※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。
《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》
※他サイト様にも公開始めました!
【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです
大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。
「俺は子どもみたいな女は好きではない」
ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。
ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。
ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。
何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!?
貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。
【完結】初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
藍生蕗
恋愛
子供の頃、一目惚れした相手から素気無い態度で振られてしまったリエラは、異性に好意を寄せる自信を無くしてしまっていた。
しかし貴族令嬢として十八歳は適齢期。
いつまでも家でくすぶっている妹へと、兄が持ち込んだお見合いに応じる事にした。しかしその相手には既に非公式ながらも恋人がいたようで、リエラは衆目の場で醜聞に巻き込まれてしまう。
※ 本編は4万字くらいのお話です
※ 他のサイトでも公開してます
※ 女性の立場が弱い世界観です。苦手な方はご注意下さい。
※ ご都合主義
※ 性格の悪い腹黒王子が出ます(不快注意!)
※ 6/19 HOTランキング7位! 10位以内初めてなので嬉しいです、ありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。
→同日2位! 書いてて良かった! ありがとうございます(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる